黒門亭

昨日は久しぶりに黒門亭に出ました。真打になってからは初めてです。トリの馬治師匠は「芝浜」をネタ出しされていたので、会自体の雰囲気も一気に年末感がありました。普段から勉強会で使っているせいか、思わず座布団を自分で返してしまいました。二人でやる勉強会などは必ずそうしちゃいますからね。習慣は怖いです。

さて、わたしは「洒落番頭」。この噺、隙あらばやっているのですが、昨日は間違って店の名前を前半は「伊勢屋」でやってしまいました。なのになぜか後半は「尾張屋は終わりや」のくすぐりを放り込むという。鹿芝居の稽古ばかりで頭がぼーっとしてますね。くわばらくわばら。だけど、面白いもんでそれでも尾張屋の件はウケるんですよね。意外とお客さんはふんわり聞いてるんです。楽屋も隈なく聞いてるわけじゃないので誰も気が付きません。意外とそんなもんですね。

「芝浜」を聴いていて思ったのは、この噺ほどみんなが知っている噺ってあるのかなあって。もちろん「寿限無」「子ほめ」なんかもお馴染みなんですけど。人情噺でここまでお馴染みのフレーズがオンパレードの噺もないなあって。しかもそのお馴染みのセリフが洗練されていて、あえてみんな大きく変えないというか。この噺の工夫って、セリフ以上に感情描写になってくるのかなあって。

そんなこと思っていました。

僕がこの噺を教わって、上げのお稽古の時に言われたのは「この噺は最近ドラマチックにやりすぎる傾向があるけど、やっぱり落語なんだよ。あまり力を込めずに喋る方が良いと思う」ということでした。僕もまさにそう思うんですよね。どうしても、夢にさせるとことか、3年後の告白とか、感情を大きく出さなきゃいけないところはあるんですけど、あくまで落語なんだという気持ちで、演劇のようにしすぎないようにしなきゃと思っています。会話劇ですよね。

12月、福岡でやりたいのでまたお稽古します。

落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。