『君たちはどう生きるか』(宮崎駿)

スタジオジブリ宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』を観て来ました。感想を喋るだけでネタバレになりそうなので、観てからご覧になることをおすすめします。


僕は好き

この作品は私にとってかなり好きな作品になりました。ジブリの中でも3本の指に入ったと思います。

映画の公開前にテーマとかメッセージを何も提示しなかったのが本当に良かったと思います。

だから、この映画は観る人によってみんな違う感想を持つと思います。

落語もそうなんですけど、自由に作品を感じるってめちゃくちゃ大事で、そういう意味では私は何回も観に行って確かめそうな映画です。

遺言

この映画は一言で言うと、宮崎駿の遺言のような作品でした。宮崎駿という人がアニメ映画を作って来て、いよいよ本当に最後の作品を作ったんだなと。そう思えるメッセージがたくさん散りばめられていたように思います。シン・エヴァを観た時にも思いましたが「ああ、もうこれで宮崎駿作品は見納めか…」と少し寂しくもなりました。

このセリフは宮崎駿自身が言ってるなというものがたくさんありました。

「君たちはどう生きるか」

というより

「宮崎駿はどう生きて来たか」

の方がしっくりくる作品ですね。

好き嫌いが分かれるのは仕方がない

一度見てもわからない内容(何度見てもわからないかもしれない)なので、こういう作品は賛否があるかもしれません。

だけど、私はこういう作品の方が圧倒的に好きですね。

一から十まで説明してくる作品はむしろ好きじゃありません。

最近はそういう作品が好まれているようですが、わかりやすい内容を求めている人は、この作品に否定的になるかもしれません。

内容が分かった上で苦手という人も一定数いると思います。

宮崎駿の表現

ストーリーとかメッセージとかを気にしないで観ると、相変わらずの宮崎駿の表現に驚かされました。

一つ一つの人間の動き、動物や虫の動き、とにかくザ・ジブリと言った感じで、懐かしさを感じました。

現実と異世界を繋げる宮崎駿のうまさ

この作品は、第二次世界大戦期の日本で青年が母を亡くし、田舎へ疎開するところから話が始まります。

そして疎開先のお屋敷の裏で見つけた塔の中に迷い込む。そして異世界へと入っていきます。

ここの必然性を描くのがとってもうまいんですよね。千と千尋の時はかなり唐突に迷い込んで行きますが、今回は母とか青鷺とか、色々な要素があって入り込んでいきます。

その描き方が上手いんですよね。

空襲の話が始まったので、また風立ちぬのような作品になるかと思いきや、がっつりファンタジーでした。そのギャップがすごいです。

最後に感じた寂しさ

宮崎駿という人は何度も引退を示唆しながら撤回して来ましたが、今回は年齢的にも内容的にも、最後の作品になるんだよなあと思うと寂しくなえいました。

シン・エヴァを観た時の感覚と似ていますね。

もちろんジブリの遺伝子は続いて行くんでしょうけど、宮崎駿という人の長編はもう観られないと思うと、寂しい気持ちと同時に、同時代に生きた自分を誇らしく思います。

映画の中で、大叔父さんが主人公の真人に13個の石を積み上げて世界の均衡を保つように促しますが、真人はそれを拒否して自分の中にある悪を受け入れて友達を作りたいと言います。

この部分がすごく印象的で、大叔父が宮崎駿自身で、真人は後継者で、その思いが伝わらないという描写にも見えました。

いずれにしても、宮崎駿監督にはとにかくたくさんの感動をもらったので感謝しかありません。

宮崎駿さん、ありがとう。

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