トリネタって何でしょう?
来年の披露目に向けて、トリで出来るネタをブラッシュアップしていく日々が続いています。新しく仕入れるというより、今までやったネタの中でベターなものを選んでそれを磨いて行く方が良いだろうと考えています。
披露目はおそらく普段お越しになっていなかった方々もいらっしゃると思うので、わかりやすいのが良いと考えて稽古しています。
さてそんなトリネタですが、芸人によっても考え方は様々です。トリでやるわけですから、大ネタ(あまり好きな言い方じゃありません)というのはありますが、この大ネタとされる要素が様々です。
時間が長い
当たり前ですがトリでやるネタは長いことが多いです。寄席で言うと持ち時間は30分。少し長くなって35〜40分でしょうか。だけど、長いから難しいってことはありません。というのは落語家は落語を覚えるのは当たり前なので、長いのを頑張って覚えましたで褒めてもらえるのは前座までです。
なので覚えるというのは必須として、やっぱり長いということは単純にお客さんの時間を長く奪うわけですから、長いなら長いだけの良い落語にならないといけませんね。ある師匠に言われた言葉で、
「3分の落語をやってつまらない人は30分やってもずっとつまらないよ。」
というのがあり、これはいつも肝に銘じています。長い短いではなく、自分の落語自体を面白くしないといけないです。
ストーリー性がある
トリネタはストーリー性があるものが多いですね。30分語るわけですから、隠居と八五郎がただ喋るだけというような噺はあまりありません。場所の移動、時間の経過、変化も多くて、この先どうなるんだろうという物語の力があります。
人情噺がそうですね。大金を拾ったり、富くじに当たったり、ターニングポイントがあります。そういうストーリーの力を借りて喋ることが出来ます。終わりも、めでたしめでたしということが多いので、トリでやるにはもってこいですね。
結局は自分次第
大ネタとかトリネタとかって、客観的に見ればこうだろうというのはありますが、このネタをトリでやろうと最終的に決めるのは演者です。なので人によって変わります。
目白の柳家小さん(五代目)師匠はトリで『道灌』をやったそうです。前座のやる短い噺です。これは極端な例ですが、トリで短いネタをやろうが、長いネタをやろうが、その噺でお客様を帰す自信が有れば良いわけですね。
はな平はどうするの?
そんなトリネタ。僕は来年どうしましょう。
トリは12回あります。今のところは全部変えたいとは思っていますが、その時になってみないとわかりませんね。何度も通ってくださるお客さんのことを考えると変えた方が良いかなとは思います。
寄席によって持ち時間も違うし、お客さんの雰囲気もガラッと変わるので、そういうニーズを考えながらこれから稽古したいと思います。皆さま、ぜひ足をお運び下さい^_^