『美 少年亭』のおはなし

美少年亭の放送が終わりました。収録は一日かけて行われましたが、テレビだとあっという間で、なんだか名残惜しいですね。

今回はその収録の日のことと、落語のこと、美少年さんについて私なりに思ったこと、考えたことを書き綴ってみます。

この先は番組内容のネタバレも含みますので、録画していて、これからご覧になる方は、観た後にぜひお読み下さい。

美 少年亭

今回の企画は「落語を2時間で覚えて披露する」というなかなかアグレッシブな企画でした。私もこの話を聞いた時に、「出来るのかな」と思いましたが、番組では見事バトンを繋いでくれました。

落語は短い噺で10〜15分。長くて30分〜1時間。今回は約15分くらいの「子ほめ」という噺を枕パートと本編5パート、計6パートに分けてのリレー落語でした。

落語家がやるリレー落語はせいぜい二人で、前半と後半に分けてやるものですが、6人で分けてやるってのもなかなか面白いですね。

15分を6人で分けたので一人2分半くらいです。2分半なら出来そうな気もしますが、現代語の普通の会話を覚えるわけではなくて、彼らがやったのは古典落語です。普段使い慣れない江戸言葉で2分半ですから、相当苦労したと思います。

「子ほめ」

今回は「子ほめ」というネタをやってもらいましたが、このネタは落語家の80%くらいがやるのではないかというほどスタンダードなネタで、「寿限無」も有名ですが、それに双璧をなすくらいやり手の多いネタです。特に前座と言われる修行の身の落語家が覚えるようなネタで、展開もわかりやすく、登場人物も少ないネタです。

落語の王道のストーリーで「教わったことを試して失敗する」という内容です。枕(本題に入る前の雑談)も作りやすく、本編に沿って「お世辞」をテーマにしたものなどを喋ります。

本編もシンプルで、八五郎が隠居さんの元へ訪れて、世間話をしながら、お世辞の使い方を教わる。お世辞を言えば人にゴチ(このネタではお酒を飲みたい)になれるというので、大人を褒めたり、最後は子どもを褒めて失敗します。

落語はこういう失敗を笑い飛ばすものが多いです。

落語を覚えるということ

今回は2時間で覚えてもらいましたが、落語を覚えるのは普通は数日(早くても3日ほど、平均で1、2週間、長くて1ヶ月)かかります。

いくら一人2、3分だとしても、覚えるのは容易なことではありません。それを今回みんなやってくれたんですから凄いです。

6人のメンバーに、落語家が一人ずつついて教えました。落語は普段マンツーマンで教わるってことはほとんどありませんので、教える我々も勉強になりました。

こういうところが覚えにくいんだとか、こういう言葉は分かりにくいんだとか、これから落語をやる上でも色々参考になってよかったです。

グループの絆と諦めない心

美 少年の皆さまにお会いしたのはもちろん初めてでしたが、とてもとても好青年の6人でした。みんなそれぞれがキャラクターを持っていて、お互いを活かしながらも、それぞれがピッカピカに輝いていて、会ってすぐにファンになっちゃいました。

バトンリレーで二人目の佐藤龍我くんが止まってしまった時も、他のメンバーが温かく見守っていました。カメラが止まっている時も、佐藤くんに他のメンバーが駆け寄って声をかけて励まし合っていました。

それぞれ自分の台詞でいっぱいいっぱいの中で、とにかくバトンをみんなで繋ぐんだというメンバーの絆が見えた瞬間がたくさんありました。

そして何より佐藤くん自身が、一人で戦う姿勢は落語家である私たちも心打たれるものがありました。私の年齢のほぼ半分の若者があれだけ必死に一人で戦い抜いているんですもの。

あの姿は、本当同世代の子達に見て欲しいですね。決して逃げることなく、落語に向き合ってくれました。ありがとう。佐藤くん。

那須雄登くん

私が教えた那須くんについてもお話しします。個室で2時間。本当にきっちりタイマーで測りながら、みっちり教えました。

まずは、私が見本を一回見せました。那須くんは初めて落語を見たようで、とても驚いていました。「落語ってすごいですね。言葉と所作だけで情景が全て浮かぶんですね」と落語を全て説明してくれるかのような模範的な感想を頂いて、僕の鼻も伸びました🥸

そして最初にやるべきはセリフをとにかく頭に入れてもらうこと。

ここでまず驚いたのが、那須くんは覚えるのが超絶早いです❗️

はっきり言って私より早いです。覚え方も独特で、三行くらいを三回読んで、それでその三行は覚えちゃうんです。そして次の三行を三回読んでまた覚えちゃう。一ページ進んだら、その一ページを三回読んだら覚えちゃう。

なので持ち時間の二時間の内、最初の30分で全部覚えちゃったんです。これには驚きました。僕の想定では、1時間半くらいかけて覚えて、残りの30分で演出していくという流れだったんですが、見事にそれを裏切ってくれました。

江戸言葉って、馴染みがないし、普段使わないので、本当に覚えにくいと思うんですがそれをササっと覚えちゃうんですもの。凄いですよねほんと。

落語には上下(かみしも)というのがあって、落語家が右を見たり左を見たりすることを「上下を切る」と言いまして、登場人物がどっちを向いているかというのもルールがあるんですが、これもすぐに理解してくれました。これもセリフが頭に入ってるからですね。

「子ほめ」というネタのクライマックスでは、実際その子どもが出て来たり、添い寝しているお爺さんが出て来たりと、それに対する目線のやり方も細かくやってくれました。

セリフをすぐに覚えてくれたので、所作も細かく教えられて、そこで終わりにしようと思ったんですが、まだそれでも時間があったので、最後は「笑わせる間」まで教えました。ここは早く突っ込む、ここは間を置く、ここはこういうトーンで言う、などなどおよそ初めて落語をやる人にはまず教えないようなことも彼には教えました。

だって全部吸収してくれるんですもの。教え甲斐がありますよね。それが最後のうちの師匠の感想の「落語家やってました?」に繋がりましたね。いやあ、本当に那須くんは凄かったです。

ジャニーズのすごさ

今回初めてジャニーズの方とお仕事させてもらいましたが、本当に私も勉強になりました。

ファンの方がなぜあれだけ熱心に応援されているのか。間近にいて、その理由が分かったような気がします。

昔ぼくが中学生の頃、母親がいきなりSMAPや嵐のコンサートに行きまくってた時期があって、どうして急にジャニーズなのって聞いたら「なんか応援ばしたくなるったい」とコテコテの博多弁で返されたことがあったんですが、今はその気持ちがよくわかります。

彼らのそばに居て、僕には母性があったのかなって思うくらいに、彼らに対する「頑張って」という気持ちや「ほっとけない」感情が湧き上がって来たんです。

そう。「母性をくすぐる」んです。とにかく。

こういうふうに思わせる人間ってなかなか居ないし、なれないですよ。かっこいいだけじゃない、頭もいいし、人間としてもいい。

ジャニーズのアイドルの凄さを改めて痛感した1日でした。

美 少年さんありがとうございました。

そしてスタッフの皆さま、打ち合わせから色々とありがとうございました。

ファンのみなさま、SNS等で絡んでくださり、また盛り上げてくださって本当にありがとうございました。

僕もこれから美 少年さんの活躍を見守って行きたいと思います。

この番組で、「落語」に初めて触れた方、ぜひ一度落語も聴きに来てください^_^

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

林家はな平

落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。