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【あなたの知らない落語の世界】第2回 「落語家って何?」

落語家について定義してみます。これも、かなり意見が分かれるところで、噺家の間でもたびたび議論になります。落語家にもフリーという存在があったりして、果たしてフリーの落語家は落語家なのかとか、その辺の意見はそれぞれが違うと思います。今回は、そもそも落語家は何をもってして言うのかを考えてみます。

前回の落語と同様に三つの要素で考えます。

①師弟
②生業
③自己紹介

私なりに考えた落語家の要素です。

①師弟関係がある(あった)

まず、落語家になるには誰かの元に入門しなくてはなりません。その時点で、師弟関係が出来ます。そして、結果としてその師匠が落語協会なのか落語芸術協会なのかで所属先も自動で決まります。なので、たまにお客様に「どうして落語協会に入ったのですか?」と聞かれますが、入門→落語協会なので順序が逆なんですね。

落語協会においては、自分が二つ目までに師匠が亡くなると、また別の師匠のところに行って、いわゆる移門(一門が変わる)しなければなりません。大体は、惣領弟子(師匠の弟子の中で一番上)のところに行く場合が多いですが、自分しか弟子がいない場合は別のところに行きます。

つまり、一般の人が「今日から私は落語家です」というわけにはいかないというわけですね。これは、東京でも大阪でも同じです。誰かの元にまず弟子いりをして噺家となります。

②落語を生業としている

当たり前ですが、落語を生業としているのも落語家の条件です。落語家は基本的にはアルバイトは御法度(最近はあまりないかもしれません)となっていて、もしやっている人がいるとしてもあまり大っぴらにはしませんね。お笑い芸人さんとか役者さんは当たり前のようにアルバイト生活を送りながら夢を目指すということがあるようで、その部分は全然違いますね。

ただ、落語以外の仕事がダメかというとそんなわけでもなくて、例えばイベントの司会とか余興などで依頼があれば出ることはあります。簡単に言うと、芸名で仕事をする副業は問題ないということですね。木久扇師匠の木久蔵ラーメンはその成功例の一つですよね。最近はほとんどいませんが、芸人の傍で飲食店をやったりする人も昔はいたようです。ラジオやテレビもその一つでしょう。そういうことを一切しないで落語一筋という人も中にはいます。

ただ、どんな副業をしていたとしても、落語を生業としていたらそれは落語家だと思います。

③自己紹介で「落語家」と言える人

社会人で落語をする人がいます。天狗連なんて言い方もありますが、社会人の方がやる落語は全国であり、全国大会まで存在します。また、落研というのもあります。大学が主ですが、落語研究会というのもアマチュア落語の一つです。

たまに地方紙なんかで「社会人落語家」と言う文字を目にします。この時に噺家は違和感を覚えます。「落語家」というのはプロという意味を含んでいるからです。この社会人で落語をやる方は、学校の先生だったりお寺のご住職だったり仕事は多岐に渡りますが、あくまでそちらが本業です。

なので、噺家とそうでない人を区別するために考えたのが「自己紹介」です。

落語家は自己紹介で当たり前ですが「落語家」と言います。だけど、おそらく社会人をしながら趣味で落語をやる方は自己紹介で「落語家」とは言わないと思います。まず、本業の仕事を言って、趣味で落語をやっているという言い方になると思います。ここが落語家との違いになるかと思います。


以上が私が考える落語家の定義になります。私の見解なので、正解ではありません。落語家それぞれの定義があるかと思います。

噺家とか落語家とかちぐはぐに出て来ますが、揃えた方が良さそうだなと思いながらこの文章を書きました。

落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。