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【はじめての真打】扇子の発注に行ったよの巻

真打になる時に必要なものの中に「扇子」があります。扇子屋に行くと「高座扇」と言うと出てきます。

この落語家の扇子は踊りなどで使うものとは少し違っていて、親骨が紙の幅と同じになっています。写真で見るとその違いがすぐにわかります。

舞踊扇子

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これがいわゆる舞踊に使われる扇子で、一番外の親骨が中骨と同じ細さになっています。閉じた時に紙が骨からはみ出るんですね。

高座扇

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そしてこれが高座扇です。親骨が違うのがわかります。紙の折り返しの幅と同じになっています。なので、閉じた時に紙が骨で隠れます。

見た目の違いはもう一つ、高座扇は無地だと言うことです。落語に使うので模様は入れないんですね。手紙になったり盃になったりしますので、具体的な絵を見せないことで「抽象性」を表現する。

お店で「高座扇」と言うと大体こっちが出て来ます。「白扇」というと舞踊の方の中骨タイプで紙が無地のものが出てくることが多いです。

ただ、落語家はこの「高座扇」を「白扇」と言うことが多いです。

それと、今無地と言いましたが、落語家が作る場合はワンポイントでネームを入れます。左から大体三番目の骨の辺りに芸名を入れます。これでお客様に配っても誰のかわかりますね。

ちなみに、落語協会で真打が出る度にその真打から扇子が頂けるので、落語家は扇子を購入することはありません。

扇子屋さんに行ってきました

そんなわけで、その扇子を発注すべくお店に行ってきました。お店というか事務所ですね。こちらは将棋や囲碁の棋士の方も御用達のところで、とにかくたくさん扇子を作られております。

骨の色

高座扇はまず骨の色を決めます。普通は上の写真の様な肌色というか竹の色という感じですが、これに色を付けることが出来ます。大体焦茶色っぽい感じですが、これもこれで渋くてかっこいいです。

紙の種類

紙も選べます。たぶん頼めば色々と別の紙でも可能なんでしょうが、印刷に適した紙があるそうで、先方から指定されたのは、普通の白い厚みのある紙か、越前という和紙か。和紙にすると値段は上がります。

越前は紙の色も真っ白ではなく、少しクリームっぽいというか黄色っぽい感じの風情のある紙です。

骨の厚み

これは扇子屋算で初めて知ったんですが、骨の厚みを薄くする加工も出来ます。この加工を何故か「モーニング」と言うんですけど、これがまたかっこよくなります。

骨一つ一つを少しずつ削って、扇子を閉じた時に厚みが薄くなる仕様になります。タバコを吸う所作なんかの時には口に咥えやすくなりますね。

ただ、強度は少し落ちるのでこれを嫌がる方もいるそうです。

骨の幅

骨を上から見た時の幅も変えられます。幅広くすることは出来ないですが、幅を細くしてシュッとカッコいい感じにする加工が出来ます。

これは見た目も細く粋な感じがしますが、開いた感触も変わります。細くなっている分、紙の折り返し幅が小さいので、開く感じがとても柔らかくなります。

柔らかくなりますので扇子を一枚開いて、ぱちっと閉じる「ハサミの所作」が難しいので、この扇子は開かないで良いネタの時にチョイスしているような気がします。

カナメの色

カナメのポッチは色が三種類。黒、白、透明とあります。これは骨の色とのバランスで好きに選びます。

骨の先を削るか否か

最後にこれはものすごく細かいところで、あまり気にする人がいませんが、扇子の先端を削るかどうかというのがあります。

上の写真を見るとわかりますが、骨の上の部分の木の色が少し明るくなっていると思います。これは気を少し削っている証拠で、90%がこちらのタイプだと思います。

ただごく稀に、全く削っていないのがあります。上までまーっすぐに伸びています。滅多に見ませんが、こちらを好む人もいます。

ちなみにウチの師匠はこの削ってない方でした。

この辺りも好みですね。

どこを優先するか

扇子を作るにもこれだけ選ぶ工程があって、本当に悩みます。選ぶ選択肢においてはかなり値段が跳ね上がるものもありました。具体的に言うと骨の色を変えるのが一番お金がかかります。

予算と相談しながら色々決めさせて頂きました。

高座扇っていうのは落語家の必須アイテムですから、「使う」という側面と、お客様にご祝儀のお礼に配る「御返し」の側面もあります。

この両方のバランスを見ながら考えていきます。

僕はかなり悩んで、両方に喜んで頂けるものにしたつもりです。また扇子が出来上がりましたら、こちらでご紹介したいと思います。

と言いましても完成は半年後となります😅

落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。