徒歩旅「地図使用禁止」

Googleマップの検索機能など、非常に便利な時代になりました。
徒歩や車、公共交通機関に至るまで、目的地までの最短ルートが瞬時に検索できます。かく言う自分も、これまで京都〜鹿児島、岡山〜鳥取、名古屋〜滋賀など長距離を徒歩で旅してきましたが、Googleマップの検索ルートに沿って歩いていたのも事実です。

AIに己のゆく道を決められている。
効率ばっか求めてもおもんないなと思い、今回は地図使用禁止というルールと、道中にタスクを課して歩いてきました。

目的:「1日で名古屋から大垣へ向かう」
ルール:地図検索およびネット検索使用禁止

そして道中に以下のタスクを課します。
Task①:万場大橋から庄内川を渡る
Task②:あま市を経由する
Task③:祖父江の森へ向かう
Task④:一宮市から愛知を出る
Task⑤:大垣城へ向かう

最短ルートを避けまくるタスクです。歩いたルートはウォーキングアプリで記録しました。
ウォーカーの皆様、ならびに愛知県民の皆様は鼻で笑いながら読み進めていただけますと幸いです。

金山から万場大橋へ

金山駅

8:00に名古屋市金山の自宅からスタート。
地図が使えないので、とりあえず金山駅前から西方面へ向かうことに。万場大橋の場所もいまいち明確に分からないので、庄内川に着いたら川沿いに歩いて橋を探さなければいけません。

今日はこの道路案内標識を探しながら歩くことがカギ。これを見落とすとわけの分からん場所へ辿り着きかねません。津島が表記されているので方角に間違いはないようです。

中川運河から望む名古屋駅のセントラルタワーズ
近鉄烏森駅

佐屋街道から中川区をのんびりと、とにかく川に突き当たるまでは真っ直ぐ歩くことに。
余談ですが、烏森の読み方で自分は「かすもり」と言ってるのに、名古屋の知り合い何人かから「からすもり」だよ何言ってんのとめちゃくちゃバカにされました。何で出身者が認知してないねんと思ったお話です。

とかウダウダ言ってる間に庄内川に突き当たりました。とにかくこの辺りの橋を片っ端から見てみようと思ったら、、

万場大橋

一発目に見つけてしまいました。しかも突き当たりの一番近くで。庄内川の川沿いをウロウロしないといけないのかと思っていたのでラッキーです。一つ目のタスクはこれでオッケーなので、さっさと橋を渡ってあま市に向かおうと思います。

あま市を目指す

さてここから西に向かうわけですが、怖いのは名古屋高速の下の道を何も考えずにぼーっと歩くと、蟹江や弥富、果ては三重県の桑名へ着いてしまうということです。標識を見落とさないよう気をつけて、どこかから北西の方角へ向かう必要があります。

始める前に調べたことですが、そもそもGoogleマップで最短を検索するとあま市は経由しないんです。清須市の方から一宮市へ向かうルートになるんですよね。自分で決めたこととは言え、何であえて遠回りを選ぶんでしょうか。僕の人生みたいです。

途中で名古屋高速がカーブしだしたので、方向が狂う危険を感じて高速の下の道を外れました。そのまま真っ直ぐ県道115号を歩くと、

わりと簡単にあま市に入りました。2つ目のタスクもクリアです。

祖父江の森

祖父江の森? 祖父江が稲沢市西部の地名であることは知っていたので、尾西地域の自然公園か何かかな?と思いつつ、とにかく稲沢と書かれたの道路標識を探すことに。今はあま市にいるので、ただ単純に稲沢の標識に従うと国府宮や稲沢市街に着いてしまうだけなので、どこかのタイミングで進路を北西に帰る必要があります。方向も見つつ行き先も確認しつつ、わりと気をつけないといけなくなってきました。

稲沢を発見。ただここで曲がってまっすぐ北へ向かってしまうと、国府宮を経由して祖父江への最短にはならないかもしれない。できることなら最短で行きたいなと楽な道を考えてしまった自分が愚かだったと、この1時間後ぐらいに気付くことになります。

ん? 津島市?

景色は田園風景に。まだ西へ向かいます。
のどかな日和にウダウダと鼻歌なんか歌いながら呑気に歩き続けていると、、

津島市街に入ってしまいました。最短を求めて結果的に遠回りになってしまった良い例です。とにかく進路を北へ。
以前の会社では愛知県全体を飛び回る仕事だったので地理感覚はある程度はあるつもりです。ただカーナビ頼りの車での移動でしたし、見たことある場所はあっても行き方までは分からないので、知ってる場所を探しながらの行程になります。

そのまま愛西市へ突入。この辺りは市境がグネグネしているので、津島市にいると思ったら愛西市にいたり、いつのまにか稲沢市にいたりと今いる市が分かりにくいイメージがあります。

ここで始めて岐阜県の地名が出てきました。祖父江に行く必要がないのなら左へ曲がって、海津から大垣へ向かった方が早いんじゃないかなとか思いつつも、今はひたすら稲沢を目指します。

時刻は13:00。ようやく稲沢市です。
お腹すいてきたなと思い、なんで津島で食べてこんかったんやと後悔するぐらい、この辺りは飲食店が少ないです。

歩いていると川を見つけ、川沿いを歩けば木曽川へ近付けるんじゃないかと安易な発想で川沿いを歩くことに。この日は風が強くて、更に河川敷ということもありかなり寒いです。天気予報は晴れだと言ってましたが、この辺りで小雨に遭いました。

ローカル線の可愛い電車が走って来ました。これが名鉄尾西線みたいです。この周辺は畑や造園屋が多く、景色がかなり広いです。僕の地元みたいです。

祖父江町に入ったので祖父江の森を探しながらウロウロしていると案内板がありました。

地図がなくても来れるもんですね〜。祖父江の森は思っていたのとはちょっと違いました。自然豊かな大きな森があって、野鳥観察とか池釣りとかそういうのを想像してましたが違いました。運動場やプール、図書館など市民の公共施設でした。もののけ姫みたいなのを想像してたのに。

濃尾大橋から岐阜へ

タスクも順調に進み、いよいよ愛知も最後になってきました。以前の仕事で祖父江にもよく来ており、見知ったコンビニもちらほら見えてきました。ちなみに僕は稲沢市や一宮市のこの辺りの雰囲気が好きで、個人的に尾張の深淵と呼んでいます。

仕事で来た時の記憶を頼りに歩いていると一宮市はあっさり入れました。後はここから県境となる木曽川を渡れる橋を探せば良いだけです。

標識に濃尾大橋が見えてきました。

聖徳寺跡

織田信長と敵国の濃姫が結婚する際に、濃姫の父である斎藤道三と信長が面会したと伝わる聖徳寺です。いわゆる結婚前の親御さんへのご挨拶ですね。ここでの信長の振る舞いを道三はかなり気に入ったそうで、奥さんの父に好かれるほど心強いもんはないですね。
そしてこの史跡のアクセスの良さ。バス停から徒歩0分。

船橋跡

木曽川のほとりまでやって来ました。橋がない昔は大名行列や来賓者の訪問時には大量の船を川に並べ、板を乗せて橋にする船橋というスタイルだったそうです。木曽川レベルの川に並べる船なんかどれだけの艘数がいるんやろと興味津々でした。

濃尾大橋

17時半頃、尾張と美濃を結ぶ濃尾大橋へ辿り着きました。木曽川が大きすぎるのでこの川に架かる橋は巨大なものが多いです。横風が寒い中、渡りきるのに10分ほどかかりました。

歩き旅の一番の感動は県越えの瞬間ではないでしょうか。その日1日の1番の盛り上がり。日は暮れかかってますが、日没までに岐阜へ入ることができました。残る後半戦はとにかく大垣を目指して歩いて行きます。

大垣の町

愛知と岐阜ではやっぱり道の雰囲気が変わるなと思いながら、大垣の道路標識を探します。
歩いているうちにすっかり日が暮れてしまったのですが、夜の歩きは暗さで標識や方向感覚を見失うので迷いやすいです。まして冬場の寒い時期だと自然と歩くスピードが速くなり、かなり疲れやすくなる時間でもあります。1日で終わるなら良いですが、これが数日間続く歩き旅の時は翌日に響くのでお勧めではありません。

羽島大橋

羽島市から安八町へ。橋を渡っていると真横に凄い勢いで新幹線が通過します。

時刻は19時半、安八町を抜けるといよいよ今回の目的地である大垣市へ入ります。
子供の頃に大垣城へ行った記憶から多少は知っているのですが、目的地の大垣駅とタスクの大垣城は方向が同じなので、大垣駅か大垣城の標識を探して進みます。
ただ大垣城へ行かなければ大垣駅にゴールができないという謎のタスクを自分で作ってしまったので、市街地に着いたらまずは大垣城を探す動きになっていきます。

大垣大橋

今日の感想の1つですが、とにかく長い橋が多いです。この一帯は北部から流れる川が一気に伊勢湾へ集まる地形であるため仕方がないことですが、総じて歩道の道が狭いので他の通行人に気を遣わなくてはいけません。

大垣大橋を渡れば徐々に大垣の市街地に入っていくので、夜の市街地で大垣城を探して歩き回ります。

市街地を彷徨うこと30分、大垣城の案内板を発見。街中をグルグルしていたのでもはや東西南北の方向感なんて分かっていません。

繁華街に入ると安心感がありますが、時間的に人通りはかなり少ないです。

大垣城

20時半頃、大垣城に到着。当然ですが夜なので城内へ入ることはできませんが、公園へ入ることはできたので白くライトアップされた美しい城を眺めることができました。
関ヶ原の戦いでは石田三成の拠点ともなった有名な城ですが、ゴールを関ヶ原にしてもシンボル性があって良かったんじゃないかと血が騒ぎました。

大垣駅

21時、大垣駅に到着。
後からマップで調べたところ、最短ルートだと42kmほどでしたが、タスクを課していたことや、津島まで大回りしたり、道に迷ったりのルートも含めて約53kmの総距離となりました。
そのわりに休憩や昼食時間も含めて12時間48分はなかなか速いペースで歩けたのではないかと思います。

到着して特に何かするでもなく、すぐに電車に乗って名古屋へ帰りましたが、新快速だと40分ほどで名古屋に着きます。いつも歩いた後はそのあっさり感に切なさを感じてます。

おわりに

名古屋に住むようになって2年半になりますが、これまで名古屋から岐阜、鵜沼、岡崎、西尾、半田など歩き回って来ましたが、今回のように地図を見ずAIに頼らない旅がそもそもの基本であるような気がします。
「昔の人はそんなものなかったでしょ」とかそういう話ではなくて、完全に自分の力である徒歩旅で他の力を使ってるようでは自分もまだまだ未熟者やったなと痛感しております。
自力での到達、これを基本ベースに今後も色々な歩きに挑戦していこうと思います。

長文でしたが最後までお読みいただきありがとうございました。

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