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コンプライアンスの基本⑤

■コンプライアンス違反への対応

(3)事後対策(再発防止)のポイント
 
①社内における確認体制の強化
人為的ミスによるコンプライアンス違反の発生を防ぐには、社内における確認体制を強化することが効果的です。
例えば、金融機関や上場会社等では、3つの防衛線が浸透しています。
3つの防衛線とは、「第1線所管部門」・「第2線バックアップ部門」・「第3線内部監査部門」の3段階でチェックを行い、コンプライアンス違反等のリスクを抑制しょうとする考え方です。複数部門によるチェックによって慎重を期す点で、企業規模に関わらず有効です。

②取締役相互間の監視強化
企業のコンプライアンス違反は、取締役の主導により発生するケースがよくあります。これは、取締役が私腹を肥やすために、自らの有する権限を悪用してしまうことがあるからです。取締役主導のコンプライアンス違反を抑止するためには、取締役相互間の監視を強化するべきです。
例えば、取締役会において「詳細な業務報告を求める」・「部門や業務を複数の取締役に担当させる」などして、取締役がコンプライアンス違反をしやすい状況を作らないようにする必要があります。

③定期的なコンプライアンス研修の実施

コンプライアンス違反は、各従業員の知識不足や意識の低さが原因となって発生することもあります。そのため、定期的にコンプライアンス研修を実施して、全社的にコンプライアンスの意識を浸透させることが違反防止につながります。
従業員向けのコンプライアンス研修については、法務部門やコンプライアンス部門がプログラムを組んで提供するか、または、外部弁護士や研修会社に対して、プログラムの提供と講師の派遣を依頼するのが一般的です。

④内部通報窓口の設置
公益通報者保護法に基づき、内部通報窓口を設置することも、コンプライアンス違反の防止の観点から効果を発揮します。また、既に設置されている場合は、あらためて窓口の存在や利用方法を周知し、「コンプライアンス違反があった場合(または違反と思われる場合)には、内部通報窓口の活用をしてください」とメッセージを発信することも効果的です。

⑤危機管理対応マニュアルの整備
コンプライアンス違反が発生した場合に備えて、危機管理に関する対応マニュアルを整備しておきます。
危機管理マニュアルで定めるべき事項としては以下の例が挙げられます。
・対応の責任者
・対応担当者の役割分担(統括担当、調査担当、被害者のケア担当、広報担当要等)
・対応手順
・報告、連絡等の方法
・相談先の外部弁護士
・懲戒処分の検討手順、考慮要素
・再発防止に関する検討手順
・その他
 

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