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家を買ったよ

2021年6月、41歳で、独身フリーランスにして家を買いました。

「マイホームを持つのが目標です!」という目標の持ち方は人口に膾炙していますが、わたしには当てはまりません。
いつどこに住みたくなるかわからないのに、家を買ったら気持ちが不自由になるんじゃないか。人生を固定するようで気が進まない。そんなふうに思ってきました。

ところが、40歳のある日、不意に家が買いたくなったのです。

理由はいくつかあります。

一つ、自分に稼ぐ力がついた手応えを感じていたので何かでそれを表現したかった。
一つ、会社を登記して酒販免許を取る拠点が欲しかった。
一つ、那覇に引っ越したかったが、賃貸住宅を渡り歩くことに飽きていたので借りる気が起きなかった。
一つ、一度、分譲マンションの品質を見てしまった。
一つ、那覇という街が好きだと確信をもって言える。

以上のような具体的な理由がありはしたものの、一番の理由は、もっと抽象的な、「40歳を過ぎたから」だったように思います。

好きなように生きてきました。

生き様を変えるたびに引っ越しをして、色々な暮らし方をしてきました。
25歳で実家を出てまずは北新宿で大学時代の先輩とシェアハウスをしました。初めて住宅手当をもらえる会社に勤めた時は調子に乗って渋谷の神山町でひとり暮らしをしたこともあります。東京を離れてからは、千葉のいすみの田畑カフェ付き古民家で十数人の共同生活をしたり、沖縄では那覇のゲストハウスの相部屋に住んだり。沖縄では、その後、宜野湾・宜野湾・首里真嘉比と移り住みました。東京の空気が吸いたくなってまた部屋を借りようとした時は、どこでもよかったので地下鉄の路線図の上でひとりコックリさんをしたら表参道になりました。まさか自分が南青山に住むなんて想像もしていなかったのが面白かった。ここは気に入って、沖縄との2拠点で3年ほど住みました。その後、港区南青山と渋谷区渋谷という徒歩20分程の近距離で2つ部屋を借りることに(*)。沖縄の恩納村に部屋を借りて南青山は解約し、鎌倉を加えた3拠点で暮らした時期もありました。流石に3拠点はからだが足りないと反省したのですが、好奇心旺盛に生きていたら、そうなってしまいました。これに加えて、約3ヶ月×2回、地球を一周する船の上で暮らしていたこともあります。
わたしの居住遍歴をわたし以上に網羅しているのはAmazonで、送付先リストには過去に住んだ住所がずらり。15年で20に届きそうな勢いです。

*コトの顛末はこちらに → https://note.com/humandiversity/n/nb6d97f4cc9c6

そうして、2020年の2月に、わたしは40歳になりました。その時の住まいは、沖縄の恩納村でのひとり暮らしと、東京の渋谷での拡張家族Ciftのシェアハウス。
結婚する気配はまるでなく、でも何か、人生にアンカーが欲しいと思い始めていました。

就職して、結婚して、家を買う。そうやって人はいかりを降ろしていって、人生を固定していくものですよね。子どもが生まれてさらに重心が下がる人もいる。わたしは、「自由」を最優先に生きてきた結果、前の2つがないので、家くらい買ってもいいのではないかと思ったのです。

今までみたいな、自由・好奇心・直感・縁・運・行動を偏重した生き方は、気力も体力も続かないんだと38歳の時に自覚していました。これからも挑戦し続けるためにも、もう少し長期的な目線を持って、自分に合った根をはって伸びていきたい。これからの自由は、しっかりはった根の上で表現していきたいと思ったのです。

買って最高、大正解

「零細企業の経営者って、いくら稼いでいても、どれだけ長くやっていても、悲しくなるくらい社会的信用がないんだよ。」以前に、法人成りしたフリーランス仲間がこぼしていたのを覚えていました。だから、買いたいって言ったってそりゃ簡単にはお金を貸してもらえないだろうと思っていました。

ところが、買うと決めて、物件も決めて、やるべきことを全部やったら、銀行2つ目で貸してもらえました。ちなみに1つめは門前払いでしたが。
やったことは以下に。

一つ、仲のいいバンカーに相談
一つ、確定申告の書類以外に、2つの銀行の出入金明細をすべて公開
一つ、親に「家を買う」と報告
一つ、信頼がおけて、親身になってくれる不動産屋さんに全張り←ここ最も重要

(不動産屋さんのリンク、聞かれる前に貼っとくね。)
https://www.elephant-life.info

中でも、親に報告することを勧めてくれたのは不動産屋さんのクリーンヒットでした。物件を決め手付金を払い、銀行に住宅ローンの申し込みをして仮審査が通った段階で言われた通りに報告したら、思いのほか、一つでもアンカーを下ろそうとしている娘の状態を喜んでくれたのか(推測)援助をしてくれました。

かくして、2月の誕生日が来る前、40歳のうちに「買いたい」と動き始め、41歳になって、6月末には契約・引き渡し。審査に結構な時間がかかったところから見るに、当落線ギリギリだったのかもしれませんが、何はともあれ、銀行様の信用を得てお金を貸していただき、マイホームを手に入れたのでした。

住み始める前に巻き起こったリフォームの嵐についてはまた別で書くとして、3ヶ月後の9月末に引っ越し。つまりは、結果的に立地のいい安めの中古マンションを買って、自分の好きなようにリノベするという、一番おしゃれで賢い(浅倉調べないしは思い込み・笑)方法に落ち着いたわけです。満足。

住み始めて3ヶ月経ちましたが、それはもう、家にいる時間のクオリティの違いを日々、味わっています。4LDKあるので、飽きない。ずっと憧れていて、いつかもし自分で選べる日が来たら絶対に最優先で選ぶと決めていた色味濃いめの無垢の幅広フローリングを実現させたので、すべすべで柔らかい木のぬくもりがどこに立っていても座っていても、足の裏を喜ばせてくれます。リビングに造作してもらった大テーブルは、仕事の資料をわーっと広げてもまだ余裕で食事をするスペースがとれます。小上がりの畳間は、ストレッチに最適。仕事部屋を完全に隔離したスペースにできたので、気分の切り替えもばっちり。出勤時間5秒でめちゃめちゃ捗ります。家のなかに、色々な居場所があるって、最高なんです。

希望通りに本屋と飲み屋に事欠かないけれども、リビングからの眺めは隣のお屋敷の木々という自然を感じられるロケーション。都会で、徒歩10分圏内になんでもあるので、日々の細々した用事を徒歩で済ませて、サッと大好きな家に帰ってこられる。まさに、家が心のオアシス・人生の一丁目一番地になりました。

家で過ごす時間がパーフェクトに大好きで最高にリラックスできると、心のゆとりが全然、違います。癒しやリラックスや安らぎを求めてどこかに行こうとしなくてよくなる。それだけで、こんなにも時間・お金・エネルギーの浪費がなくなるなんて、思っていませんでした。

夢のマイホームって、つまりはこういうことだったのでしょうか。道理で人口に膾炙しているわけです、マイホームという夢が。

重心高めに足取り軽く、いつでもどこにでも飛び立てる自由を謳歌する人生に、家の所有なんて一番必要ないと本気で思っていました。でも、いざ思い立って買ってみると、ヒットアンドフライの野良人生に、そうとは知らずにかかり続けてきたサバイバルのプレッシャーから解放されている私がいます。アンカーで人生を固定するのも、案外いいものなのかもしれません。

2022年、家を買って初めてのお正月を記念して。
この幸せがずっと続きますように。

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