猛暑で高まる“フレイル”のリスク
こんにちは、ヒューマンケア協会の辻野です。
今年の夏、心配されているのが「フレイル」。特に猛暑による「フレイルの悪循環」が懸念されています。
フレイルとは、健康な状態と、心身が老いて歩けなくなるなどの要介護状態との中間のことです。
フレイルの歩き方には特徴があります。手の振りが少なく、足が上がらず、すり足になり、体の左右のふらつきが大きい。また、歩幅が狭く、歩行速度が遅いこともあります。
急な体重減少や筋力低下、疲労感、歩行速度の低下、運動習慣の欠如などの5項目のうち3つ以上が当てはまるとフレイルの可能性が高いとされています。
東京都健康長寿医療センターによると、日本の高齢者の8.7%がフレイルで、フレイルの手前であるプレフレイルを合わせるとおよそ半数になります。
しかし、フレイルは高齢者だけの問題ではありません。実際に歩く様子を観察すると、着地した時に膝が大きく曲がり、ももの筋肉で膝の関節を支えられていない状態で歩いている人が多い。全体的に筋力が弱くなっており、このまま40年、50年経つと、さらに筋力低下が進行し、最終的には「フレイル」という状態になってしまう。今、若い人でもそういうリスクが非常に多いのです。
若い人でも懸念されるフレイル。そのポイントとなるのが、この“暑さ”です。今年は非常に暑いですが、外に出る習慣がなくなり活動量が減ると食欲もなくなり、食べる量が減ると筋力低下に陥り、活力が減って悪循環に陥ることで「フレイル」のリスクが夏場に高まるというデータがあります。
まさに、“フレイルの悪循環”に陥る可能性があるのです。
そんな中、ある画期的な試みが始まっています。電気の使い方でAI(人工知能)がフレイルを検知するというのです。
健康な人は電気の使い方に変動が見られますが、フレイルで弱っている方はあまり変動がありません。活動的な人は、出掛ける時には電気を切り、掃除や洗濯の時には電気を使うなど、電力の使用量の変動が大きいのです。
中部電力では、30分ごとの電気の使い方を100以上の観点からAIが分析してフレイルを検知し、その人が住む自治体に知らせるサービスを昨年4月から開始しました。連絡を受けた自治体が、フレイルが疑われる人に声掛けなどを行うといいます。
昨年度は3自治体で導入されましたが、今年度はさらに10自治体で、合計13自治体で導入予定です。
フレイルを予防するために重要なのが運動習慣です。効果的なトレーニング方法として、まず股関節の運動から始めます。少し浅めに椅子に座り、このままかけっこするイメージで、自分に無理のないスピードで1分間行います。次に膝の筋肉のトレーニングです。座った状態で足をまっすぐ伸ばし、手を胸の上でバッテンするとお腹にも力が入ります。テレビを見ながらでもできます。
人生100年時代。元気に歩き続けるためには、フレイル予防が重要です。
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