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芸劇ミュージカル「バイオレット」 ※ネタバレ注意

観劇の止め処無い感想です。三十路の書き殴りです。あくまで、主観です、悪しからず。

追記:夫からどんな舞台見てきたの?と質問され、「社会問題と絡めた感じは映画『カラー・パープル』、右手に小栗旬・左手に生田斗真な感じがドラマ『イケパラ』なので、両者のハイブリッドな感じだった」と回答して「ファッ(゚Д゚)!?」となってた。

4/19(金)夜、池袋の芸劇で「バイオレット」というミュージカルを思い立って見てきた。早めについたのでウェストゲートの広場で、即興ジャズセッションを聞きつつ気持ちを高める。皆さんとても上手で音楽が心地よい。
さて、会場の2階プレイハウスは中サイズで役者の方の息遣いが伝わり、満足な箱。

S席1階、目が悪いので、この距離がギリギリ。オペラグラスはメガネonメガネで訳わからんから、舞台観劇は出し惜しみしないと決めている。

本題のミュージカル。

良かったです。主人公バイオレットは不遇な青春を歩んできたが、旅のバスで2人の黒人兵士と出会う。あ、ちなみに役者さんは服装とか文脈で黒人を演じてるので、普通に客席から見ると、小柄な負けん気強い女性に首ったけのイケメン2人の構図です。はい。あとバイオレットのトラウマである顔の傷も、文脈で演じてますので、普通に素敵で歌声が魅力的な女性です。はい。商業ミュージカルですから、はい。…しかし、イケメンの魅力は物凄い。若いツバメを愛でる気持ちを本当に理解しだした三十路のこの頃。

モンティ、あ間違えたモンゴメリ。彼のバイオレットへの愛も本当だったんじゃないのかな。真剣なフリッツとの対比で、どうしても軽い男という立ち回りだったけど、モンティ、とても素敵だった。バイオレットと一晩過ごして、夢うつつで彼女の膝枕で泣いたのは、明るく振る舞う彼が心の中では本当は怖かったからじゃないのかな。グリーンベレーに志願したことを勇敢だと褒めて貰いたかったのに母は泣いたと言ったけど、命を犠牲にしないと社会的な地位や名誉を得られない黒人の立場や、息子が今後直面する壮絶な死の予感に涙する母の気持ちも分かり、とても苦しかったなぁ。結果的に泥沼のゲリラ戦になったベトナム戦争の前線に送りこまれて、いいように使われる悲しみを理解しながら、それでも選ばれて行くのだと誇らしげに母に報告するモンティが、軽い男な訳がない。確かに女性とのランデブーはフットワーク軽いが、生きて帰れない危うさを理解していて、それでも今この時を楽しみたかったんだと思える。別にバイオレットも「普通の女の子」だし、落とせるなら落として良いじゃん。フリッツ、君はバイオレットに尻軽と怒ったけど、モンティの良い意味での軽さや思い切りが悔しかったのだよね。
またここで再び会おうと約束をしたのもモンティだし、バスから降りたバイオレットに駆け寄ってはじめに抱きしめたのもモンティだよ。いや俺が先に見つけてた…という事は通用しないのじゃ。高校時代の古文の先生も「恋はタイミングが全て」と、授業で教えてくれたよ。
しかし、バイオレットもモンティと寝たことを責められて「一歩踏み出してと言ったのは貴方でしょ」って、その踏み出し方はたぶんフリッツ意味してないよ笑 ガーンだよ。
ここはシビアなギャグと受け取った瞬間でした。
フリッツの受け取り方はさておき、バイオレットも思春期に男子から裏で自分を賭け事の対象にされた事実を知りながらもその子と寝た過去があるから、彼女なりに素直に男性の誘いに踏み出したのは立派よ。モンティが「俺が初めてじゃなかったのか、前の人は優しくしてくれたのかな」って、本当に素を時々出しちゃうよね。
フリッツ「軽い優しさで二倍傷つくのは彼女だ。」
モンティ「彼女が傷つく時には、俺はそこにはいない。」
また!悲しい本音と素が出てるよ!

フリッツは慎重で賢く、愛情深い男性で、バイオレットへの愛もよく伝わったし素敵だよ。主役カップルは文句なしにこの2人よ。でも、モンティの愛なくしては語れないよね。モンティーーー!!!(ミキティー!!!の音声に変換ください)

おっと、いけないいけない。魅力的な二番手につい肩入れしちゃうのは、女の性ですよね。小学生の頃は犬夜叉の鋼牙が大好きで、肩入れは筋金入りなのですよ。

一番手!フリッツの素敵なところ!
だって一番手だから。素敵なのは当然なんだけど、敢えて良います。
「バスから降りてきた君を、見せてあげたいよ。素晴らしかったよ。」
傷の呪縛から解き放たれた彼女の表情を見て心掴まれたんだと分かるセリフ。
というか、役者さんの長身でスラッとしたスタイル、色気のある強い目力は、くっ…眩しい。客席に一瞥する仕草が、なんともイケメン!(語彙力w イケメンしか言ってない。)
舞台人はお客を1人でも多く落とすというけれど、会社の厄介なダイバーシティに富んだオジサン達に日々揉まれて荒んだOLなんてイチコロだぜ!!赤子の手を捻るように落ちたよね。カッコいい…。フリッツーーー!!!(スタッフゥーと変換)

あとは個人的にはそうだなぁ。消えない傷や悩みは人と分かり合う事はできないし、差別や迫害に苦しむ世界は終りが見えないけど、その世界に何を見て、何を求めるのかは、千差万別。本人の意志の世界には他者は実際のところ踏み入れられない、そんな事実を感じた鑑賞後でした。

ミュージカル、また行きたいな。

終わり

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