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菅田将暉、熱演の乱打!KO必至の力作

活躍が止まらない人気実力派俳優・菅田将暉。彼の渾身の演技が叩きつけられた『あゝ、荒野 前篇・後篇』を観れば、そのスゴさがもっと響くはず!

これぞ菅田将暉の神髄! 驚異の憑依演技は必見中の必見

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菅田将暉は、日本の俳優において特殊な存在だ。トップクラスの人気を誇るスターにして、これまで多くの映画で振り切った演技を披露してきた。『溺れるナイフ』の野性味あふれる高校生、『そこのみにて光輝く』の荒々しい衝動が抑えられない少年、『生きてるだけで、愛。』のナイーブな編集者――。中でも圧倒的な存在感を放つのが『あゝ、荒野 前篇・後篇』。少年院帰りの主人公がボクサーとして覚醒していく姿を、狂気すら感じさせる驚異的な憑依演技で見せきっている。白熱の試合シーンに激しい濡れ場、体当たりの熱演とはまさにこのこと! 本作を観る前と観た後では、俳優・菅田将暉への印象が180度違っているといっても過言ではない。

ここまでやるか?な死力を尽くしたボクシングシーン

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本作の売りは、やはり生々しいほどに臨場感たっぷりのボクシングシーン。プロ顔負けの過酷なトレーニングに打ち込んだ菅田の肉体の躍動には、惚れ惚れさせられると同時に彼の役者魂を感じずにはいられない。個人的に推したいのは菅田将暉VS山田裕貴の試合シーン。菅田演じる新次と山田扮する宿敵・裕二の対決が見せ場の一つになっており、「意識が飛んだ」という逸話もあるほどのガチな肉弾戦が展開。オーディションでこの役をつかんだ山田の鬼気迫る力演含め、熱量がとんでもないレベルだ。

また本作は菅田将暉とヤン・イクチュンという日韓のスターがコラボした激レアな作品でもあり、ふたりの演技のぶつかり合いも壮絶!

未来を予見?いま観ると怖すぎる物語がスゴい…

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菅田将暉の演技だけでも強烈だが、そこに終わらないのが本作の強み。本作の原作は、演劇界のみならず、時代に大きな影響を与えた寺山修司。そこに、日本の現代社会の闇に切り込み続けてきたスターサンズと岸善幸監督が大胆な設定を次々と盛り込み、いま見ても衝撃的な作品に仕上げた。その最大の特長は、物語の舞台を1960年代から2021年の近未来へと変更したこと(本作は2017年の映画)。東京オリンピックを終えた後、政策に反発した者たちの反政府活動……デモや、テロが頻発しているというシチュエーションなのだ。コロナ禍のいま本作を観てみると、非常にシニカルでブラックな(それでいて、どこか現状を予見しているような)設定に驚かされる。物語の強度が半端ではないのだ!

Text/SYO

「あゝ荒野」前編はこちら▼

「あゝ荒野」後編はこちら▼

SYOプロフィール

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマ・小説・漫画・音楽などカルチャー系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。トーク番組等の出演も行う。Twitter:@SyoCinema

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