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ゾンビ世界を独自ルールでサバイバル!

ゾンビ映画でありコメディ映画。残酷なのに笑える。ゾンビサバイバルをポップに描いた映画『ゾンビランド』

異様にポップで残酷!独特なゾンビサバイバルコメディ

感染すると凶暴なゾンビになってしまう謎の新型ウイルスが大流行し、あっという間に地球全体がゾンビランドとなってしまった世界。引きこもりの大学生コロンバスは独自に編み出した「生き残るための32のルール」に従ってサバイバル生活をしていました。そんなある日、異様に戦闘力が高い(そして甘いお菓子のトゥインキ―をこよなく愛する)タラハシーや、人を騙してサバイバルする詐欺師姉妹のウィチタとリトルロックと出会います。この全く気の合わなそうな4人が衝突したり協力したりしながらゾンビのいない土地を目指すゾンビサバイバルコメディ映画が『ゾンビランド』です。ポップな映像と気の抜けたコメディ、容赦ない残酷描写とご機嫌な音楽など、様々な要素が詰め込まれた一風変わったゾンビ映画となっています。

「ゾンビ映画あるある」が詰め込まれた生き残るための32のルール

神経質なコロンバスはゾンビランドで生き残るために独自に考案した32のルールに従って生活しています。この32のルールがゾンビ映画でよく見る行動パターンや死亡パターンが詰め込まれた「ゾンビ映画あるある」になっているのが最高です。例えばルール2「二度撃ち」はゾンビに一撃食らわせてホッとしていると再び襲われる、という「あるある」を元に作られています。他にも「トイレに用心」「後部座席を確認しろ」などもよく見るパターンですし、「ショッピングモールは補給基地」も往年のゾンビ映画の名作を彷彿とさせます。このルールのおかげでコロンバスが様々な危機を回避したり、時にはそのルールを逸脱してでも何かをすべきだと決心したりするところがこの映画の肝の一つです。

後のオスカー俳優も!名俳優たちがゾンビランドで伸び伸びと演技

コロンバス役のジェシー・アイゼンバーグは神経質で引きこもり、だけど勇気を出して行動する主人公像を見事に体現しています。相棒のタラハシー役のウディ・ハレルソンは明らかにヤバい人物なのにどこか憎めない佇まいが最高です。ウィチタ役のエマ・ストーンの生き残るために自分という武器を使う詐欺師っぷりもいいですし、リトルロック役のアビゲイル・ブレスリンは名子役らしくゾンビ世界で普通の子どもらしい生活ができなかった子どもという役を見事に演じています。この「引きこもり」「ゾンビハンター」「詐欺師姉妹」というバラバラな4人が衝突しながらファミリーのようになっていくという物語に説得力をもたらしているのはこの4人の俳優の演技力と言っていいでしょう。さらに大物俳優の思わぬカメオ出演などもあり、見どころ満載です。

独自ルールでサバイバル!この世はでっかいゾンビランド

ゾンビ映画でよく描かれるテーマに「社会が一変してしまうことの恐怖」や「極限状態でむき出しになる人間の本性」などがあります。しかし『ゾンビランド』ではそういった恐怖はあまり描かれません。コロンバスはゾンビパンデミック前も後も他人との接触を避けてましたし、ウィチタはいつでも他人を信用していません。それぞれが単独でこの過酷なゾンビランドをサバイバルしてきました。しかし4人が出会ったことで他人と触れ合い、助け合い、信用することを学んでいくのです。彼らを見ていると、独自ルールを守らないと危険で、一つ油断すれば死んでしまうような過酷なゾンビランドと、我々の住む普通の社会は同じようなものだと感じるのです。だったらこの世界も楽しむ方向でサバイバルしていこう!と強く思うのです。

Text/ビニールタッキー

映画『ゾンビランド』はこちらから▼

ビニールタッキー プロフィール

映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」管理人。海外の映画が日本で公開される際のおもしろい宣伝を勝手に賞賛するイベント「この映画宣伝がすごい!」を開催。Twitter:@vinyl_tackey