夢よ踊れ

仮面ライダー龍騎を観た。

 みんながつらいつらいしんどいしんどい二度と見返したくないと口を揃えていうものだから、わたしも観るのを躊躇していた。まあ観るとしてもだいぶ後のほうにしとこうやと。が。あるとき、きっかけが出来てしまった。

佐野満だ。

 彼の最期をピンポイントで見る機会があったのだ。それを見て何を思ったか…そうだ。美しいと思った。
恐らくとても悲しい最期だ。つらい最期だ。「幸せになりたかっただけ」と言いながら消えていく最期に、しばらく呆然となった。だが、どうしてもあの映像が忘れられなかった。あの美しく悲しい最期を、わたしはしっかりと見る必要があるのではないだろうか。ということで、観ることにした。

 本当に観てよかったと思う。
未だ本編以外に手を出してはいないからこんなことが言えるのかもしれないが、全く後悔はない。観る前にしていた不安や心配は思いの外要らなかった。あれはなんて美しかったのだろう。その感想が正しいのかはわからないが。それと幻だと思っていたギャグ回のじつざいを確認出来たのもよかった。
あれ本当にあったんですね……

 まず誰の話をしていいものか。…いや、雑にまとめたこれを取り敢えず貼っておこう。

軽く説明しておこう。これは実際ミリしらだが、当方が視聴後に毎度やる答え合わせ、観た後の印象書き連ね儀式である。

 尺もあるので二人ほど言及しようと思う。まずは浅倉威だ。
観る前と観ていく中で印象が随分変わったキャラクターだった。獰猛で、危険で、荒々しく野性的。そして凶悪。
そういったイメージは視聴前からあった。しかしそれだけじゃない。頭は冴えている。知能が高い。察しがいい。思っていたよりも遥かに静か。ただ鉄パイプ振り回す凶悪犯ではなかった。噂の浅倉威、その実態も観なければわからなかっただろう。
彼は楽しそうにしている場面が多々あったので、わたしも楽しく観ることができた。どんなにズタボロになろうと楽しげに笑っている彼がとても素敵だったと思う。
人間というよりは「いきもの」と形容してしまったほうが個人的にはしっくりくる。というより、人間に向いていないのだなと感じた。まさに獣が人の形を取っている…こういう風に何度言われてきただろうなというくらいには陳腐な見解になってしまったけれど。
あの多数決で挙手してくれたのは忘れられない。

 次に、きっかけとなった男。佐野満
上記の通り、ただ幸せになりたかった若者だ。過ちはその手段にライダーになるということを選んでしまった点だろう。たぶん、他に色々あった。というより、ライダーにならなくても幸せになれた。なれたはずだった。「ああしてなければ」といった挙動の目立つ男であったと感じる。「こうするしかなかった」とも取れる。この男に辿り着くために観ていたところもあったが、彼が出るのが遥か先だった。まじかよ。
しかしあの終わりを序盤に叩きつけるのは鬼畜の所業に他ならないのであの心地よい重さ、悲しい美しさは終盤にこそ相応しいと思う。
辿り着いた44わはやはり、綺麗だった。

 まだ本編の余韻の中にいるが、わたしにはまだTVSPと劇場版が残されている。ミラーワールドからは出られない。戦わなければ生き残れない。(生き残れるとは言っていない)

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