《「そして今日も、朝日」開演直前!》キャスト×福名 座談会
福名企画_俳優

《「そして今日も、朝日」開演直前!》キャスト×福名 座談会

福名が書いて、演出する企画

  2月16日(土)に初日をむかえる、無隣館若手自主企画vo.l28 福名企画「そして今日も、朝日」。開幕を前に、作・演出 福名を4人のキャストが囲んで座談会を開きました!稽古の様子や作品のテーマ、企画の経緯などうちうちな話題までじっくり語り明かします。

福名理穂(福)…無隣館演出部で、本作の作・演出を務める。ぱぷりかを主宰し、全公演の作・演出を担当している。
堀夏子(堀)…青年団所属。「東京ノート」「ソウル市民」「日本文学盛衰史」などに出演。
秋本ふせん(秋)…俳優。これまでscscs、大橋可也、地点などの作品に参加。ひとり多ずもう実行委員会。
佐藤岳(佐)…無隣館三期生。「GHOSTs」(作/演出 パスカル・ランベール)などに出演。
矢野昌幸(矢)…無隣館三期生。オフィスマウンテン「能を捨てよ体で生きる」などに出演。

企画がはじまるまで

堀:どういう経緯で公演することになったの?
矢:多分、無隣館を知らない人もいると思うんですよ。ぱぷりかの福名さんしか知らない人にも向けてお話ししましょう。
堀:今までの経歴とかね。
福:そうですね。福名理穂と申します。いつもは、ぱぷりかという劇団で公演を打たせてもらってるんですけど、2年前ぐらいから無隣館の演出部に在籍していまして、平田オリザさんのもとで学んでいます。そこで、演出部に課せられた、“若手自主企画”という企画公演の企画書を提出する課題がありまして、その企画書が通ったんです!そこで無隣館若手自主企画という枠組みで、2019年2月にアトリエ春風舎にて公演することになりました。

より生々しい公演にしたいなと

堀:どういう公演をしたい、とかあったんですか?
福:ぱぷりかの時も結構メインとして考えているのは、なるべく“嘘のない状態”、できる限り“反射”とか“普段会話をしている人の状態”とか、つまり芝居があんまり芝居がかっていないお芝居といったことです。ぱぷりかの公演よりも生々しい公演にしたいなと今回の福名企画では思ってます。今回もワンシチュエーションということもあって、転換もなく、“その場にいる人たち“の60分を見せていきたいなと。

堀:今作のテーマはありますか?
福:仲のよかった同級生の死をきっかけにこの物語は始まってるんですけれども、「死をテーマに」というよりももっと自分が感じる“日常の変わらなさ”、人が亡くなったっていう自分の中では大きい出来事と、何にも変わらない日常、というものに重きを置いて書き進めています。なのでテーマとしては、“変わらない日常”と、“周りの人と繋がっているという状況”だったり、身近な人との、「この人たちとも先があるのかないのか、あってほしいな。小さなことから大切にしていけたらなぁ。」という思いだったりします。

日常的なニュアンスを、会話を大事にやっていただけるだろうと思える方に

堀:この俳優4人を選んだ理由があれば、聞いてみたいです。
福:やっぱり生々しさに重きを置いて今回公演を打とうという思いがあったので、どっちかというと大きい芝居よりも、ちょっとした、日常的なニュアンスを、会話を大事にやっていただけるだろうと思える方にお声がけしました。佐藤岳くんと秋本ふせんさんは、会話に重きをおいている役者さんだろうなぁと感じていて、矢野さんは、結構大きい芝居をする方なのかなと思っていたんですけど、ぱぷりかのWSに来ていただいたときにすごくナチュラルにお芝居をしていて、衝撃を受けました。堀さんは、前にアンドロイド版の「三人姉妹」に出演されていて、佇まいがすごく印象的な女優さんだなぁと感じていて、オファーさせていただきました。一度もお会いしたことはなかったんですが、パッとお声がけさせていただいて、ありがたいことに快諾していただいて、今回の四人で公演を打つことになりました!
堀:下北のカフェが初対面だったね。
福:そうですそうです。
堀:すごい小さい人でびっくりした(笑)

福:みんなどうして引き受けたとかありますか?
矢:僕は、無隣館の自主企画初めてなんですが、あ、でもみんな初めてか。
佐:僕も初めてです。
堀:みんな初めてだね。
矢:まず前提に福名さんが無隣館演出部の中でとても信頼できるということがあって、前にOFFOFFシアターでの公演を観て「あっ、これ来るな」って思ったんですよね(笑)
福:あ、そこから観てくれてたんですね。
堀:どの辺りでそういう風に思ったの?
矢:まずまず一番思ったのは、他の公演でも思ったんですが、福名さん、役者の選び方が一番うまいと思う。
福:あ、ほんと(笑)
堀:キャスティングが絶妙ってこと?
矢:いや、絶妙というか、すごい俳優使ってて、まずそこがデカかったですね。
堀:すごい人っていうのは?
矢:多分今のベテランっていうか、この若さでこういう人たちに信頼されてるんだ!っていう。
堀:あー、確かに。経歴ある俳優さん多いもんね。
矢:20代中盤なんて、あんまり信頼されてなかったりするわけじゃないですか。それなのにすごいなっていう。あ、あとENBU出身で、ENBUっぽくないというか。あんまりはじけてるっていうイメージじゃない感じですかね。でも、その中でちょっとENBUっぽさもある感じというか(笑)妙なハイブリット感を感じてました。で、ぱぷりか前回公演の「きっぽ」を観て、「あー、もうこれは絶対来るな」って(笑)
堀:あ、それで興味を持って、WSに参加したんだ。
矢:そうです。
福:矢野さんの時は、ト書きメインのWSだったね。
矢:そう、ト書きメインでセリフはない、っていう。
福:夫婦だと思って私が書いたセリフが、青年団の川隅さんと矢野さんのペアだとお母さんと息子に見えてきたりして新鮮でした(笑)

堀:岳くんは?なんでオファー受けたの?
佐:僕は、オファーされた時に、他に出演する予定の方々が面白そうだったから、ですかね(笑)
福:色々キャスト変わっちゃったりしましたが(笑)
矢:制作の井上くんキャストに入ってたりしたからね(笑)

堀:私は福名さんのお芝居を一回も観たことなくて、どうしたもんかなぁとも思ったんだけど、福名さんがやりたいと言っていた、「少人数の芝居でセリフとかに頼らず、微妙なニュアンスを表現していく」ってことが、今自分が興味を持ってることとぴったしハマったからですね。今まで、メソッドでやってきたというか、間とか声とかそういった身体に染み付いたものが堅苦しくて、自分でやってても「またこの音だな」とか、「またこの感じでやっちゃってるな」とか。自分の中でお芝居がちょっと限界かもと感じている時にお声がけいただきました。これは今の自分にとっても合ってるかもしれないと思い、実際にやってみて、「あ、合ってたな」って今思ってます。だからこれに慣れてきて、前の状態に戻っていかないようにしたいなと思います。
福:岳くんはそういう型とかあんまりないイメージだよね。
佐:僕はこの中ではキャリアは一番短い方なので、まだあんまり型とか感じるほどやってないのかなぁって感じですね。

福:ふせんさんは、どうして決めたの?福名企画。
秋:とりあえず無隣館で福名ちゃんと知り合って、授業を通じていろんな人と知り合う中で、福名ちゃん面白いなって思うようになって。で、WS行ったりとかしてたからかな。そもそも仲が良かったんだよね(笑)
堀:そういうのも大事だよね
秋:それで何か一緒にやりたいなって思ってたりして、ちょうどタイミングよくお話しいただけたので、「やるやるー」って感じだね。
福:そうだね。誕生日が1日違いだったりとかして(笑)ふせんさんって気兼ねなく喋れる雰囲気ありません?
全:あー、確かに。
堀:仲がいいってことは波長が合う、とかそういうことなんだろうね。

細かく演出がつくから楽しい

福:あ、あとは?何話そう。福名メソッド?(笑)
矢:福名メソッド聞きたいですよねぇ。
秋:聞きたい聞きたい。
福:ないよ(笑)
秋:あ、じゃあ稽古をしてみて、衝撃だったことは?
堀:本読みの段階から結構イメージを伝えてくれるのが、結構衝撃だった。
「本読み嫌いなんですよ」って言ってたのに読んだらめっちゃ言ってくるからわああーみたいな(笑)
福:へー、あ、そっか(笑)
堀:あとすごく細かいニュアンスが違ったときに、「あ、さっきの方が良かった」とか「もっとこんな風な感じ」っていう、自分の中でも説明できないようなちょっとのブレを、大体の場合バレないんだけど、福名さんには「あ、バレた」って思う。細かく演出がつくから楽しい。
秋:ト書きもすごい細かいよね。書いてる段階から細かいイメージがあるんだなって思う。
堀:「ビールに触れる」で、「ビールを一口飲む」みたいに分かれてるし。細かい。
矢:ちょっと映像的ですよね。
堀:あー、確かに。

堀:福名さんが思い描くイメージについて話す時間がたっぷりあるよね。どんどんシーンを繰り返しやるというよりかは、一回やってみて、そのあと丁寧にイメージを説明するというか。

福:どっちがいいとかありますか?
堀:セリフ覚えるんだったら細かく何度も繰り返した方が覚えられるけど、そうするとリズムになっちゃう部分もあるからなぁ。
福:どっちかというと、その時に出た状態を知れたらなぁと思っているので。
堀:じゃあ細かく切って稽古、というよりはバーっと繋げてみたいんだ。
福:あー繋げて観たいですね。その時の感情がどうしても変わっちゃうと思うので。なるべく繋げていった方がいいなぁって。急に爆発しなきゃいけないシーンの直前直後で区切るっていうのもね。

いろんなものが削られてるけど伝わるシーンを増やしていきたい

佐:ちなみに、企画書段階で言ってた無言劇的な要素はまだ生きてるの?
福:うん、ちょっと生きてるんだよね。もっと間のあるシーンがあってもいいと思ってる。まだ動きの方を体に馴染ませる時間が必要だったりするけど、もっと入ってくるのを遅くして間をたっぷりとったりとか、会話はないけど二人の中で目線とか動きとかでやれるシーンがあったりしてもいいなと思ってる感じです。当初は無言劇をやりたい!って思いがあって企画書を書いたんだけど、あまり明確な思いがなくちょっとつまづいて、もっと自分のパーソナルな部分から物語を描こうと思ったらやっぱり無言劇ではなくなるなと思って。でももっと会話がなく、いろんなものが削られてるけど伝わるシーンを増やしていきたいなと思っています。

秋:すごく間を大事に思っているんだろうな、っていうのは感じていて、それこそこれまでやっていたクセで、早い段階で反応して、サッと台詞を出す、みたいなことが自分も安心するしやりがちなんだけど、そうじゃないことをやりたいと思っているんだろうな、っていうのは感じている。多分そこに福名さんが大切にしている“繊細さ”、みたいなことが出るんだろうなと思ってます。

堀:あ、もうこんなに喋ってる。あんまり長くなると文字起こししんどいよね(笑)
福:じゃあそろそろお開きにしましょうか。
2019年、2月16日(土)から、2月24(日)
無隣館若手自主企画vol.28 福名企画「そして今日も、朝日」
アトリエ春風舎にて上演いたしますので、もしお時間よろしければ、ぜひ観に来てください!よろしくお願いします。

全:よろしくお願いします!

無隣館若手自主企画vol.28 福名企画 「そして今日も、朝日」
|2019. 2/16(土)〜24(日)
|アトリエ春風舎
|出演:堀夏子(青年団)、秋本ふせん、佐藤岳(無隣館)、矢野昌幸(無隣館)
☆チケット予約受付中!
http://www.komaba-agora.com/play/7332                        
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福名が書いて、演出する企画
ぱぷりか主宰、無隣館演出部の福名理穂です。演劇作品を書き、演出しています。 会話劇を中心に人との繋がりで生まれる虚無感を描きます。「孤独な気持ちを抱えていても本当は一人ではなかったり、歳を重ねても大人になりきれない人々」を描き、観た後に人の温もりを感じるような作品を作りたいです。