狩野さんの想いをのせて part10

10月18日、まい子さんに会いに行く当日、私は狩野さんの家に向かった。
狩野さんに挨拶をすると返事がない。
とりあえず、パンツ交換させてねと、排泄介助をした。
そのあと、座位になりお茶を飲んでいただいた。
なんでだろう、本当に話さないな。
「どうしました?体調悪い?」と声をかけても無反応。
次男さんが横で「こたつ出したら話さなくなった」と話す。
「えー!まじか(笑)」と笑った。
とりあえず、途中にトイレに行きたくなるかもしれないからリハビリパンツの代わりだけ準備した。
狩野さんに「まい子さんに会いに行くから、車まで頑張って歩こうね」と声をかけて、手引き歩行した。
入浴介助で少し歩いているから、後ろを次男さんに支えてもらいながらスムーズに車まで歩くことができた。
その間も一言も言葉を発しなかった狩野さん。
きっと狩野さん、いろいろと心の中で考えているんだろうなと思った。
言葉に出さないだけで、思うことはたくさんあるはず。
もうすぐ、もうすぐ会えるよ!と声をかけた。

まい子さんがハンカチが欲しいと言っていたとのことで行く道中にお店によってハンカチを買った。
そのついでにお茶を4本買ってみんなで飲んだ。
そして、車は施設に向かって走り出した。
狩野さんの想い、家族さんの想い、そしてヘルパーの想いをのせて。


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