『マッドマックス2』 午後ローを予習する。
そろそろ夏の終わりを感じる。といっても自宅療養中で外には出られず、空気感の変化など知りようもないのだけれど。ただ、なんとなく、もう夏も終わりだなあと感じる。
そんなしんみりした雰囲気を吹き飛ばす「2週連続! マッドマックス」ということで本日の午後ローは、シリーズで一、二の人気を誇る(個人的感想)『マッドマックス2』です。一九八一年の作品。
暴力とスピードの神話「マッドマックス」のイメージはこの作品で確立され、そして、今につながっていると言っても過言ではないだろう。たぶん。
前作からは予算も大幅に増え、世界観の要とも言える極悪改造車やバイクが大増量。悪役の扮装も、より蛮族チックになり、よりSFファンタジーとしての要素が強まったと感じる。キャラクターもそれぞれ強烈に印象に残る造形となっている。ホッケーマスクのヒューマンガス、尻丸出しのウェズ、あとブレードのついたブーメランを素手で受け止めようとして指がなくなった奴に、ウェズのバイクの後ろに乗ってた金髪の彼氏とか、とにかくビジュアルイメージが凄まじい。多感な子ども時代に見たせいか、夢でうなされたぐらいである。そういう経験は必要だよね。
本作以降、映画にとどまらず、マンガやアニメといったあらゆる創作作品にモヒカン蛮族が大量発生した。代表的なところだと漫画『北斗の拳』だろうが、他にもよく見かけたものだ。あとはプロレスラーのロード・ウォリアーズなどは名前からして、まんまである。モヒカンというヘアスタイルの認知度を爆上げした作品でもあるのだ。
シリーズの世界観として、石油などの資源を巡って戦争が勃発し、人類が衰退するという大前提がある。現在にも通ずる話だとは思うが、マッドマックスが作られた七〇年代にもすでにその危機はあった。僕はちょうど生まれる前後あたりの話なので、記憶はほとんどないが、有名なオイルショックである。第四次中東戦争をきっかけに始まる原油生産の段階的削減や、イスラエル支持国への石油禁輸などによる経済危機である。当時、中東にエネルギーを依存していた先進諸国へのダメージが特に大きく、世界的に経済が停滞し、混乱した。東西冷戦や、核開発競争などもあって、今にも世界的な戦争が起こるという終末感は当時、実際にあったのだろう。
まあ、それは今でもそうなんだけどさ。
そんな不安定な時代だからこそ、人は確かなものを欲するのかも知れない。
これから生まれるだろう、新しい神話に期待しているよ。僕は。
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