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小説、ショートショート

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たなかひゅうごの書いた小説、ショートショートの置き場所です。
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記事一覧

『鍋を』

 鍋をやらねばならぬ。  ひとりで。誰の手も借りずに。絶望。それ以外の感情。どろどろとし…

Hugo Tanaka
5か月前
6

平成十五年・ガンスリンガーズ

 一九六八年の十月二十一日。その日は国際反戦デーとやらで、僕の父親は、数千人規模の集団と…

Hugo Tanaka
6か月前
28

ドラゴンを、誘拐する

 もう十年以上前になるかなあ、新宿にある『ぼるが』って居酒屋で呑んでた時の話なんですけど…

Hugo Tanaka
6か月前
31

ある朝と針たち 【掌編小説】

 目覚まし時計が鳴らなかったらどうしよう。心配だ。  結局七時に起きるつもりが五時半には…

Hugo Tanaka
1年前
9

クラス・オブ・37564/虐殺教室

 銃声。  俺の目の前で、クラスメイトが撃たれた。名前はジャニスいやトレイシーだったか。…

Hugo Tanaka
1年前
15

ウルトラハッポーブレインデッドセンパイキッスオブベロシティ

「祖母ちゃんのさ、あ、兎じゃないほうの祖母ちゃんな、口の中に紙切れが入ってたんだよ。丸め…

Hugo Tanaka
1年前
28

『誰かいて、誰もいない』 #2000字のホラー

 叫び声で目が覚めた。  時計を見ると深夜の四時。冬のこの時間は、まだ暗い。僕の家は、築半世紀ほどの狭小住宅が密集する一画にある。住人らの高齢化も進み、徐々に空き家も増えている。その血管のように細く入り組んだ通りに、甲高い叫びがまた響く。 「助けてえ! 助けてよお!」  訛りを含んだ叫び声の主は、道を挟んだ向かいに住むSさんだ。彼女は、たしかもう八十歳をこしていたはず。息子さんは二十年ほど前に家を出て音信不通だという。その後すぐ旦那さんに先立たれ、以来ずっとひとり暮らしだ。数

『Hくんの家』 #2000字のホラー

 近所のバス停で駅前行きのバスを待っていると、道路を挟んだ向かいにあるアパートが目に入っ…

Hugo Tanaka
1年前
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