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企業と企業のマージナルマンであるアルムナイをどう活かすか(3)

前回は、企業の事業環境が変わり、オープンイノベーションなどの共創が増えてきており、より多様な視点で組織を理解し、企業と企業をつなぐ役割の人材が重宝され始めているというお話をさせていただきました。
今回は、働く個人の就業感と実際の働き方の変化を見ていきたいと思います。


転職やフリーランスの働き方を選択する人の増加

かくゆう私自身も3度の転職を経て今はフリーランスのような働き方(一応、自身で設立したトイトイ合同会社の社員ではあるが)をしているわけなのですが、世の中の転職者とフリーランスは増加の一途を辿っています。

転職者数の推移
総務省の労働力調査によると、転職者数は、2003年の238万人から、2022年には360万人と、19年間で約50%増加しています。

フリーランスの推移
内閣府の「フリーランス実態調査」によると、フリーランス人口は、2015年の1,236万人から、2021年には2,255万人と、6年間で約90%増加しています。フリーランス人口の増加は、2015年頃から始まり、近年は急速に増加しています。

また、転職はせずに企業に在籍しながら、他社や他団体で業務に従事する副業を希望する個人も増加傾向にあります。総務省の労働力調査によると、副業・兼業をしている人の割合は、2015年の6.3%から、2022年には28.4%と、6.7倍に増加しています。副業・兼業をしている人の割合の増加は、2015年頃から始まり、近年は急速に増加しています。

なぜ、転職やフリーランスの働き方を選択するか

企業側の理由

前回でも論じた通り、日本の労働市場では、従来の終身雇用モデルから離れ、転職が一般的になっています。若い世代や中堅のプロフェッショナルが、新しい経験やキャリアの成長を求めて転職する傾向が高まっています。これは、企業への忠誠心が低下し、個人のスキルや適切な機会を追求する動機が増えた結果と言えるでしょう。
また、特に技術分野においては、個人が専門知識を提供し、プロジェクトベースで企業と協力する委託業務が増えています。これは、人材不足の中、企業が柔軟なスキルセットを必要に応じて活用ことが理由になります。

個人側の理由

  • キャリア自律の重視
    従来、日本では終身雇用や年功序列などの制度が根付いており、安定したキャリアを築くことが重視されていました。しかし、近年では、個人の価値観や生き方を重視する傾向が高まっています。そのため、自分のキャリアを自分で主体的に考え、選択する「キャリア自律」が重視されるようになってきました。

  • キャリアの継続的発達
    従来、日本ではキャリアは一度築き上げればそれでよいという考え方がありました。しかし、近年では、技術革新や社会の変化などにより、キャリアを継続的にアップデートしていくことが重要視されるようになってきました。そのため、個人が主体的に学び、成長し続けることが求められるようになってきました。

今後の個人のキャリアの作り方はどうなるか?

私が顧問をさせていただいているプロティアンキャリア協会では、キャリアは個人のものではなくて関係性という説明をしています。今後の個人が持つようになるキャリア感を示しているように思っています。
関係性につては、個人にとっては社会との関係性、組織との関係性、そのような関係性をよりよくすることが自体がキャリアだとしています。その関係性の中で、個人と組織と社会が相互的に成長し合うことを目指すようになってくると考えています。

その上で、3つのキャリア資本の量と質を上げていくことが、今後のキャリアの作り方であるとしています。

そのように考えると、組織に囲われ続ける(会社によっては飼い殺し)という組織と個人の関係性は過去のものになっていき、個人が社会の中で、自身の価値を最大化するためにはどうしようか?という問いに対して、自身の経験価値を上げていくような働き方が増えるいくと考えられます。

このような背景の中では、転職やフリーランス、副業という働き方を手段として捉え、自身の価値を上げることで、組織の成長に寄与するという考え方に変わってきています。

次回は、このキャリア資本の質と量を上げていくために、アルムナイが有効であることを論じたいと思います。

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