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女子も見るべきヤクザ映画

自称無類の映画好きのわたし、どんなジャンルも好んで見るがバイオレンス、ホラー、サスペンスは特に好き。
リアルにビビって声出したいとか、手に汗握りたいとか、見たくないけど見たいとか、生きたいけど死にたいみたいな矛盾してる感情。

中でも最近のヤクザ映画はアツい。

綾野剛×藤井道人『ヤクザと家族』はよかった。
昭和、平成、令和と移りゆく時代の中で生きるヤクザはどんな生き物か、非道な存在のヤクザの「心」を描いてエモーショナルな気分にさせられた。


そんなある意味「感動的な」ヤクザ映画に我々日本人がほっこりしかけた矢先、「ちょっと待った」と言わんばかりに白石和彌監督が世に放ったのが孤狼の血。


『凶悪』をはじめとしたアウトロー作品を得意とする監督が「ヤクザってのはこういうものだ」と教科書的に教えてくれた。
舞台は昭和63年の広島、暑い暑い8月、呉原東署のマル暴刑事・大上(役所広司)の元に広島大出身のエリート新人・日岡(松坂桃李)が配属され、物語はスタートする。
正直女子にはなかなか興味の湧かない話だと思う。
だけどわたしが熱弁をふるいにふるって、同じ職場の同期と先輩に見てもらったところ2人とも「おもしろかった」と言っていたし、LEVEL2も自発的に見てくれた。
だから、監督、役者、脚本、演出、全てにおいてかなりのクオリティーだと言っていいと思う。
ストーリーや登場人物の相関関係が難しいと思うなら、Wikipediaを流し見してから見るとより良いと思う。(ただ、ストーリーのところはラストまで全部ネタバレされてるのであまり読み込まない方がいいと思う)

映画としてちゃんとしっかり「オモシロイ」孤狼の血から3年、それを数百倍凌駕するくらいのアツさで上映されたのが『孤狼の血LEVEL2』である。

大上亡き後、呉原東署のマル暴として広島の治安を守る日岡だが、上林(鈴木亮平)の出所によって全部が全部「わやくちゃ」になるストーリー。

バイオレンス度120、耐性がない人は所々薄目で見ることになると思う。
だけど絶対目を背けることはできない。
というか背けさせてくれない。
だって、上林(鈴木亮平)が怖いから。

この世に上林が実在していなくて本当によかったと心の中で合掌してしまう恐ろしさ。
出所してからフルスピードで人を殺しまくり、親父の仇である日岡を追い詰めていく。
上林vs日岡の闘いは見ているうちに自然と歯を食いしばり、手をぎゅっと握って見てしまう。
そうまでして殺し合う背景にある人間模様がLEVEL2の見どころだ。

血も涙もない悪魔で外道な上林が、日岡が送り込んだスパイであるチンタ(村上虹郎)に凄むシーンが心に残る。

「われ、なんで極道しとんな。残飯恵んでもろうて生きとってもどがんもならんけぇじゃなぁんか!」

子どもの頃から居場所が無く孤独に生きた人間の究極の末路こそ上林。
同情の余地はない。でもそうならざるをえない人間は僅かだが確かに存在し、その存在を無きものとしているのが社会である。

「残飯恵んでもろうた」という店のオバちゃんに「ソンホ!止めんしゃい!」と止められればチンタを踏みつける足をどかす上林。
「こがいなことお父ちゃん生きとったら許されん!」と平手打ちを食らわす五十子環(かたせ梨乃)のことは表情も変えずに撃ち殺し「たいぎぃんじゃワリャア!」と怒鳴る上林。

ああ上林も人間なんだとホッとしてしまう。


見ているとアドレナリンが噴出し爽快な気分にさせられるLEVEL2はぜひ女子に見てほしい。
ただただ殴るだけ、殺し合うだけ、暴言を吐くだけ、そんな作品はおもしろくないが、孤狼の血はそうではない。
「グロいのはちょっと。。」と敬遠している女子たちこそ、ウワァ、、と思いながら一度見てしまったらもう抜け出せなくなると思う。

目下撮影中という新作上映の際には、映画館で鑑賞する女子が増えたらうれしい。
(わたしはLEVEL2を両サイドおじさんに挟まれた見た!)

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