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見て、さわって、語ってみよう!

 早くも18回目となる「はぐ♡ラボ×もっくん珈琲お茶会」。今回のタイトルは『コンドーム♡アレコレ~見て、さわって、語ってみよう!~』です。

 私が性教育を手がけている大きな動機のひとつに、若気の至りの失敗があります。20歳を目前に初交体験を迎えた私は、当時全く妊娠を望んでいなかったにも関わらず、「コンドームをして」と言えずに状況に流されてしまった…という経験をしました。幸い妊娠には至らなかったのですが、月経が遅れ、10日あまり誰にも相談できずに不安な時間を過ごしました。
 行為自体に後悔はなかったけど、避妊の知識があり、「女性だって強くなくちゃ」と思っていた自分にとって、きちんと避妊を切り出せなかったというのは30年近く経っても忘れられない「失敗」でした。

 情けない、苦い経験だけれど、30年前の自分にとってそれは随分と高いハードルだっただろうなとも思うのです。
 性教育の講話の折の大事なネタでもあるこの失敗体験を、(特に保護者向けの時には)私はこうも語っています。「だけど、考えてもみて。それまで本で読んだことはあっても、見たことも触ったことも友だちと話したこともなかった物について、初体験という状況だけで頭はオーバーヒート、しかも相手がソレを望んでないことが明らかなのに(相手は私の最後の月経がいつだったかを訊いて、「じゃあ大丈夫だね」とヌカシた)、果たして「コンドームを着けて」と切り出せるでしょうか?」と。
 いくら避妊の知識があっても、自分の意思を相手に伝えることができなければ意味がない。語る言葉を持つこと、コミュニケーションの力を持つこと、フラットなパートナーシップを築けること。これらの準備がなければ、せっかく性教育がなされても自分の体と心を守ることにはつながらない。知識を与えられるだけでは不十分で、その知識を使えるような力を、お家での関わりを通じて育てることがとても大事なんですとお話しています。

 時は経ち、今では中学校の保健体育の教科書に「コンドーム」という言葉が記載されています。私の中学時代を思うとこれは大きな進歩だと思います。とはいえ、性感染症予防のひとつとして、「コンドームを正しく使うこと」とあるだけで、コンドームがどのような道具で、どのように「正しく使う」のか、具体的な記述や写真等は載っていないので、内容としては不十分にもほどがあるのですが(笑)。

 では、大人が子どもたちにコンドームを語れるかと言うとどうでしょう?実は私自身、「コンドーム」と人前で口にできるようになるまでかなり長い時間を要しました。 初体験の相手と違い、結婚したパートナーは自主的にコンドームを使ってくれる人だったので、私があえて口にする必要はなく、ましてや女性がコンドームを選ぶという視点はつい最近まで持ち合わせていませんでした。

 幸い、一番上の子が18歳になるまでに私も成長できて、誕プレとして3種類のコンドームを贈ることができるようにまでなりました。女の子がコンドームを選んだっていいじゃない。だって、二人の素敵なひとときのための道具なのだから。という言葉を添えて。

 今回のお茶会のサブタイトルは、私のそんな苦ぁ~い失敗体験から生まれた「満を持しての」呼びかけなのです。
 まず大人が、大切なこととして、男も女も関係なく、語れるようになりたい。見て、さわって、語る言葉を手に入れたい。コンドームをしなさい!でもなく、するかしないかも含めて、きちんと向き合えるように。

 今回はそんな語り合いの場にしたいと思います。

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