
【あややノート】第20回「何のために生きるのか」
こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。HUG for ALLの代表ブログを「あややノート」として書き始めて20回目になりました。月日の経つ早さに改めてびっくりしています。
今回は、子どもたちと出逢ったことで、日々更新し続けている私自身の「生きる」ということへの価値観についてお話してみたいと思います。
何のために生きるのか?
私が30代になってから、この問いがずっと心の中にありました。
「結婚して、子どもを産んで、家庭を持つ」という「人生の価値」を無条件に信じていた20代。だからこそ、そのほかの「価値」には目がいかなかったし、考えることもありませんでした。
30代になり、「ああ、私は子どもを産まないという人生なのかもな」と思ったときに「じゃあ、私は何のために生きるんだろう?」という、自分の「人生の価値」に対する問いが自分の中に生まれたような気がします。
「人生は何かの目標を持って、そこに向かって歩いていかなくてはいけない」というある種の使命感というか、強迫観念のようなものに追われていたのかもしれません。
坂道を登り続けないといけないの?
でも、最近は「人生の価値」を無理に作らなくていいんじゃないかなと思うようになりました。
「being」の価値というか、その人の存在・生きていること自体に価値があって、目を向けるのはそこなんじゃないかなと。
「自分の人生の価値」を「目標」として定めて、逆算型で生きていく在り方ではなく、「今ここにいる自分」に目を向けて、「自分がどうなっていきたいか」ということから、目の前のことひとつひとつに向き合い、選択をしていく在り方。
その積み重ねが、結果的に「人生の価値」を生み出すこともあるのではないかなと思うようになりました。
頂を目指して坂道を登り続ける生き方ではなく、木々や花や風や音や光を楽しみながら、心と体の赴くままに一歩一歩、ただ目の前の道を歩く生き方。振り返ってみると、自分の歩いてきたところに道ができていて。その結果として「ここまで遠くに来たなぁ」と思うこともあれば、「同じようなところグルグルしてたなぁ」ということもあるけど、どんな道であってもそこには意味がある。
「生きる」って「坂道を登り続けること」ではないのかもしれない。この気づきは私にとってとても大きかったような気がします。
私がそう考え始めた理由
児童養護施設でくらす子どもたちは、本当に多様です。起業したい・海外で国際貢献したい・研究者になりたい・保育士になりたい・美容師になりたい・大工になりたい…など、いろんな夢を持った子どももいます。
でも、一方で「夢って言われても困る」という子もいます。「自分のくらし」を成立させたい。自分と大事な人たちが心地よく、たのしく、平穏で幸せにいられること。まず大事にしたいのはそれ。「こう生きていきたい」というイメージはあっても、大仰に「夢は?」と言われると、逆にしんどくなってしまう。
最近は、「ドリームハラスメント」「夢ハラ」という言葉もあるようです。「目標を決めなきゃいけない」「坂道の先のゴールを決めなきゃいけない」という感覚への違和感をもつ子どもや若者がいること。それを忘れないようにしたいと思います。
「将来の夢」「将来やりたいこと」という言葉に戸惑いを見せる子どもたちの姿と、まずは「毎日生きる」ことを大切にしている施設退所後の若者たちの姿から、新たな価値観への気づきがあったように思います。
まいにちべてる(日めくりカレンダー)
北海道の浦河町にある精神障害等をかかえた当事者の方々の地域活動拠点として有名な「べてるの家」。このべてるの家から生まれた言葉の「日めくりカレンダー」を、最近私は愛用しています。
この「日めくりカレンダー」で、私が一番好きなページの言葉を、最後にシェアします。
「残念ながら百点満点」
自分自身は自分のことを「不十分で、不満足」だと思って「10点」をつけたくても、実はもうすでに「人は存在だけで100点満点」というメッセージです。
10点を100点にするための生き方ではなく、100点の自分を大事にする生き方をしたいな…と思い、最近はこの言葉が自分の中でブームです。
どんな生き方だっていい
今回、自分自身の「生きる」ということに対する価値観の話をしましたが、目標逆算型で超がんばっていた自分も悪くないなーと思います。なんとなく、今の自分がその生き方にそぐわなくなってきた。そんな感覚のような気がします。
自分の生き方と、家族の生き方と、友人の生き方と、子どもたちの生き方と…。みんなそれぞれの想いがあって、それぞれに「どう生きるか」という価値観があるのだと思います。「これが正しい」というのもなければ、「これは間違っている」ということもない。
だからこそ、HUG for ALLでは子どもたち一人ひとりの価値観を、「そう在る」ことを、尊重していきたいです。そしてそのためには、HUG for ALLにかかわる大人たちそれぞれが、自分の価値観を尊重されていることが大切なのではないかと思います。
子どもも、大人も、等しく価値観を尊重され、認めあえる。HUG for ALLがそんなコミュニティに育っていくことが、私の願いです。これからも応援をいただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします。
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