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【あややノート】第10回 HUG for ALLが学習支援をした話①

こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。あっという間にもう10月。9月は暑くなったり涼しくなったり、台風で大雨も来たりして、毎日天気予報をチェックしては服装をコントロールする日々でしたね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

9月の訪問支援日はちょうど台風の影響で大雨が降ったりやんだりの一日。ちょうど駅から施設への移動のタイミングで大雨に降られたり、休憩中に「ちょっと様子見てくる」と屋外に出た子がずぶ濡れになって戻って来たりと、忘れられない日になりました(笑)。

さて、前回のあややノートでは「HUG for ALLのはじまりの話」をお話ししましたが、今回はお話ししたいのは2018年~2019年。一度「学習支援」に舵を切ったときの話をしたいと思います。

第一世代が中学生に

2018年、私たちが支援している中で、一番上の年代の子どもたちが中学生になりました。

中学生になると否が応でも意識せざるを得ないのが「高校受験」です。児童養護施設でくらす子どもたちは、中卒で就労した場合、施設を退所して自活することを求められます。施設で生活を続けるためには進学が必須。

そんな条件のもとでの高校受験はどういったものかを知るところからのスタートでした。

当時私たちの頭の中にあったのは「都立高校への進学」でした。職員の方々からも「できれば都立高校を狙えるといいのですが…」という想いをお聞きして「いったんは都立高校進学をゴールにおこう」と考えました。

「評定2.5」という目標

都立高校進学をゴールに据えて考えたのが、「中学校で評定2.5がとれる基礎学力をつける」という目標でした。

都立高校の内申点に影響するのは中3の成績から。そこで中1・2の間は定期テストにまずは慣れて、ある程度の点数を取れるようにしよう。そのために小学校のうちに特に「積み上がり教科」で苦手意識を持ちやすい算数の基礎学力と、すべての教科の土台になる読解力をつけよう。

そんな想いもあって実施したのが、中学生向けの定期テスト前勉強会と、小学生向けの算数プリント学習、作文+かるた学習でした。今日はまず、中学生向けのテスト勉強会の話をしたいと思います。

中学生向けテスト前勉強会

その名の通り、定期テストの2週間前と1週間前に、中学生と集まって2時間勉強に取り組むという会。部活でくることができない子どももいれば、特別支援学級であまりテスト勉強が必要ない子もいましたが、それぞれの状況に合わせながら、可能な子は全員参加で実施しました。

テスト勉強計画の落とし穴!

定期テストが初めての中1のときは、テスト勉強の計画を一緒にたてるところから始めました。学校で配られた予定表にみんな計画をたててはいたのですが、よくよくみると「あれ?」ということがちらほら。

例えば、英語のテストが終わった後に英語のテスト勉強をする計画を立てていたり、主要教科は2〜3時間しか勉強しないのに美術を10時間近く勉強することにしていたり、そもそもテスト範囲を間違えていたこともありました。

ワークブック提出の壁

また、子どもたちが通う中学校では、教科ごとにワークブックがあり、定期テスト前日までに、テスト範囲のワークに取り組んで提出するというルールがありました。「ワークを出してさえいれば"2"は取れる」ということで、ワークの提出は必須。

「テスト勉強ではまずワークをやろう」と決めて、ワークの範囲を確認。付箋を貼って分量もチェックしながら「これやるのにどのくらい時間かかる?」と聞いて、最低限その時間は確保する。その上で、頑張りたい教科をどうやって勉強したらいいかを一緒に考える。2週間前のテスト勉強会は、そんな作戦会議だけで終わることもありました。

1週間前のテスト勉強会は、子どもによって様々。ワークはほぼ終わっていて問題の出し合いで理解を確かめられる子もいれば、「まだ10ページある!」と必死で答えを見ながらワークを写す子もいます。HUGメンバーがいてもいなくてもいっしょでは?と悩んだこともありました。

”意味のある時間”にすることの難しさ

このとき感じていたのは、子どもたち一人ひとりの「学びへの向き合い方の違い」です。ワークを1週間前に終わらせることができる子は、テスト前勉強会がなくても勉強できる。ワークを終わらせることができない子にとっては、テスト前勉強会があってもテスト勉強まで行きつかない。

そんな違いがある中で、どう取り組めば子どもたちにとって意味のある時間になるのだろう?ということに、難しさを感じていました。

続けることの意味

中学生に対してはこの「テスト前勉強会」という枠組みを、実は昨年度までいろいろと形を変えながらも実施をしていました。”子どもたちにとって意味のある時間”にするために試行錯誤しながら続けてきたことが、今の「はたちクエスト」につながってきたと言えるのではないかと思います。

こうやって振り返ってみると、子どもたちの成長に合わせて、施設職員の方々とご相談しながら、子どもたちにベストだと思ったことにトライし続けてきたんだなと実感します。

この「学習支援」の時期は、小学生のほうでもいろいろとトライをしていました。次回の「あややノート」では、この時期に実施していた小学生向けの活動についてお話しできればと思います。

次回もまた読んでいただけるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。

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