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「ワガママ魔法使い」製作裏話 #2

おはなし

むかしむかし街から離れた森に魔女が住んでいた。魔女は人よりも長く生きるので気味悪がられてしまい一人で住んでいました。ある嵐の晩に旅人が訪ねてきました。ちょっと怖かったので隣の物置に旅人を泊めました。

旅人は嵐が過ぎ去るまでの暇つぶしにと今まで旅したところのお話をしました。かつて住んでいた街と森のことしか知らない魔女はとても興味深く、旅人の話を一字一句逃さぬように聞き入りました。その夜大きな木が倒れてきて、魔女の家を潰してしまいました。

嵐が過ぎ去ったあと、荒れた森を魔法で治している魔女。自分の家が潰れているのに、まず森の木々や動物たちのために動いています。お礼や申し訳なさも含めて旅人は家を直すことにしましたた。

森を治し夕方帰ってくると、家の横にテントが立って、旅人が夕食を用意してくれていた。世界一の魔女なので家を元どおりにすることは簡単なのだが、倒れてた木をどけ、中から使えそうな家具を出して濡れないように小屋に入れてくれているのを見ると、なんだか魔法で直すのは申し訳ない気がして直しませんでした。何よりもう少し彼の旅の話を聞きたいと思ったのは彼女自身の気持ちでした。

その夜は彼の持っていたテントでいっしょに寝て、たくさんの話を聞いた。動物ではなく人と久しぶりに話をした魔女はなんだか心がドキドキしていました。

少しずつ森を治す魔女、少しずつ家を元に戻す旅人、これから何日もそういう生活が続きました。1日森を治して帰ってくると彼がご飯を作って待っていてくれる。夜は外でご飯を食べ、そのあとはテントの中でたくさんの話をしました。

だんだん森も治ってきて、家も普通に直って元どおりになってきました。世界一の魔女は魔法で一瞬に直してしまうこともできるけれど、彼が汗を流して直してくれた家は今まで以上に好きになりました。家への愛着はそのまま彼への愛へと変わっていました。
魔女は自分の気持ちに気付いてしまい、明日また旅立ってしまう彼にどう接していいかわからなかった。いつもと違う様子に彼が気がつく。

「どうしたの、今日は体の調子が悪いの?」
「いつもの調子じゃないかもしれない。」
「それは大変だ。今日は早く休んだほうがいい。」
「…… 調子が悪いから明日もいっしょにいて欲しいな。」
「そうだね病の君を置いて去ることはできないよ。でも君は癒しの魔法が使えるのにどうしたんだい。」
「この病を治すことはできないわ。」
「君は森さえも治すことができるのに、治せないものもあるんだね。」
「だって、だって、…」
真っ赤な顔をした魔女に彼が言う
「だって?」
「恋の病は治せないのよ!」
その顔はもう真っ赤になって火がつきそう。恥ずかしくて顔をあげられない魔女は容姿もあってかただの女の子です。
「それじゃあ、その病治るまでいないといけないかな。」
「えっ、それって...。」
「僕も君のことを好きになってしまったということだよ。」
顔を押さえてなく魔女の頭にそっと手を置こうとした途端、魔女は抱きつき大声で泣いている。彼の手は優しく彼女を包んだ。そしてなぜこんな森に一人で住んでいるのか、どれだけ辛いことがあったのかに思いを馳せた。しばらくして魔女が、
「魔女は恋をすると魔法を失うの。そうするともう私は魔女ではなくなるのよ。」というと、
「僕は魔女を好きになったんじゃない、ある一人の女性を好きになったんだよ。どうか君のそばに居させてくれないか。」と言う。

そうして森の中の二人の生活が始まりました。

こんな妄想をしていました。これ絶対曲にできないですよね。どうしよう。(^^;)


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