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絵のない絵本②ぼくのいす


ぼくのいすは、世界一だ。


とてもやわらかい。

フカフカというより、ふわふわだ。

いつだって、どんなときだって座ることができる。

しかもすごい機能がたくさんついている。



ねむいときはぎゅっとしてくれて

かなしいときは撫でてくれる。


うれしいときや楽しいときにはニッコリしてくれて、

できるようになったことがあると、

踊るようにほめてくれる。


世界一のぼくのいす。


なのに最近、なかなか座れない。

なぜだか分かる?


ぼくは“おにいちゃん”になったからだ。


ぼくのいすには、いつも先約がいる。

仕方がないから、ぼくはいすにせなかをむけるんだ。

たまに、もたれたりしてアピールしてみるけど、ニッコリ笑って頭をなでるだけ。






ぼくもすわりたい。



ある時ママが“おいで”とぼくをよんだ。

なんだろ?



ママは、

ぼくの膝にあかちゃんをすわらせた。

ふわふわだ。

あったかくてふわふわの赤ちゃん。

いい匂いもする。



ぼくは赤ちゃんのいすになった。

いすになるのもいいもんだ。



ぼくはおにいちゃん。


ぼくは、世界一のいすにすわって、

あかちゃんのいすになった。



ぼくは、世界一のあかちゃんのいす。



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