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”失敗”というタブーを取り除く。 FuckUp Nights Tokyoが届けたいのは失敗で終わらせないためのストーリー。

起業家の成功ストーリーではなく、失敗から得た学びのストーリーに着目するイベント、「Fuckup Nights Tokyo」。Impact HUB Tokyo(IHT)が日本で唯一のFuckup Nightsの開催団体として運営を始めて、今年でちょうど5年目を迎えます。

もともとはメキシコで始まり、今や世界的ムーブメントとなっているこのイベント。「ビジネス上の”失敗”を取り巻くタブーを取り除く」をビジョンに、日本でも未だ根強く残る「失敗は恥ずかしい」といったカルチャーを打ち壊し続けてきました。イベントのファンは増え続け、今では多くの人たちがビジョンと価値観に共感しこのコミュニティをサポートしてくれています。

現在は、IHTのコミュニティ・ビルダー三塩佑子と、高橋真美が主体となってイベントの運営を行っています。

今回の記事では私たちが、実際にイベントを運営しながら様々なFuckupストーリーに出会うなかで再認識した、このイベントの価値について綴っていきたいと思います!


”失敗”を取り巻くタブーを取り除きたい理由

起業家が多く集まるコミュニティであるIHTが、このFuckup Nightsの強いビジョンに共感し開催を決めたのは、起業家たちの失敗のストーリーが価値あるものとしてオープンに受け入れられるカルチャーが重要だと考えたからでした。いきなり一つ目の事業で成功を収める起業家やスタートアップはむしろ珍しいケースで、その多くが失敗を重ねそこから得た学びを活かして成長しています。しかし、ほとんどのスタートアップ界隈のイベントは成功の部分を切り取って物語るものが多い。それはまだ駆け出しの起業家にとってインスピレーションを与えるかもしれませんが同時に、多くのプレッシャーを同時に与えているのではないかと思います。

知りたいのは、輝かしいストーリーではなく、むしろ成功に向かうまでのリアルな過程であり、たとえそれが耳を塞ぎたくなるような辛いものであったとしても、どのような学びがあったのかという人間らしく泥臭いストーリーではないでしょうか。

「失敗を恐れて何もしないより、まずはやってみて、もし失敗してもそこから学べば良い」というのがIHTの運営チームの働き方でも重要なフィロソフィーのひとつです。そして、失敗を糧に次の一歩を気負いなく進み成長するには「失敗を取り巻くタブー」は煩わしいものでしかなく、そんなタブーは打ち壊そう!というのがFuckup Nights Tokyoの信念です。

失敗を学びに昇華するための思考プロセスを共有する

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Fuckup Nights Tokyoに登壇し失敗から得た学びのストーリーを話してくれたスピーカーたちは、総勢71名。(2021年3月時点)国籍やバックグラウンドも多様で、起業家に限らずフリーランス、冒険家などなど多くの「Fuckuppers(ファックアッパーズ)」たちが登壇してきました。「Fuckuppers」とは、スピーカーやイベントのオーディエンスを含めて、このムーブメントに参画している人たちの愛称です。

このイベントの醍醐味の一つは、失敗を学びに昇華するまでのストーリーと思考プロセスを聞けることです。中にはドラマティックなもの、もらい泣きするほど悲しいもの、悔しいもの、予想外の展開にびっくり仰天してしまうもの・・・など生の感情に触れることができます。経験した失敗を今はどう捉えているのか。聞く側は学びを得られますし、話す側も過去を振り返って自分の感情や思考と向き合う機会となるのです。 

そして登壇するスピーカーたちに、運営の私たちがまず伝えること。それは某有名スピーチイベントのように、上手いスピーチをしなくても良いんだということです。Fuckup Nightsの起源は、メキシコでバーに集まった起業家たちのたわいもない会話です。形式ばったスピーチではなく、まるでバーで知り合いに「失敗しちまったんだよ!」と話すようにカジュアルなトーンを心がけることが、当時の感情をリアルに伝えメッセージをオーディエンスに届けるコツなんです。


感情をオープンにすることで生まれる「登壇者とオーディエンス」を超えた関係性

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思考プロセスを共有し、スピーカーが感情をオープンにして話すことで生まれる化学反応は、運営側にとっても毎回刺激的です。登壇するスピーカーたちは失敗のストーリーを人前でシェアすること自体初めて経験する人たちばかり。その体験の共有が、講義のようなスタイルではなく、あくまでカジュアルに話すことで、スピーカーとオーディエンスという境界線のないフラットな関係性を作り、一体感をもたらしています。

もちろん、失敗を人前で話すというのは簡単なことではなく、勇気のいることですが、今まで私が運営してきた中で登壇して後悔したという声は一度も聞いたことがありません。むしろ、「参加させてくれてありがとう、改めて人生を振り返って、自分と向き合うことができたよ。」という声を必ずイベントが終わった後に聞いてきました。

イベントに参加した人は、メッセージを受け止め挑戦してみたかったことに挑んだり、起業家をサポートしたり、さらには自らもFuckup Nightsのムーブメントにスピーカーとして参加しようと気持ちが変化する人もいます。こうしてメッセージが広がっていくのを目の当たりにすると、運営している私たちも毎回とてもやり甲斐を感じています。

スピーカーは常時募集中です!読者の皆さんのなかで、何か共有できる「FuckUpストーリー」がある方は、ぜひこちらのリンクから登壇申し込みをお願いします! 

新たな局面を迎えるFuckup Nights Tokyo

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世界的な大きな変化の渦中で、Fuckup Nights Tokyoも変容しています。2020年は、1月に満員御礼となり100人近くが参加したオフラインイベントを最後に、オンラインイベント開催のための試行錯誤を重ねてきました。

初めてのオンラインイベントでは、参加者の名前が全て運営者高橋の名前になってしまうというトラブルが発生したり(笑)、ライブ配信がうまくいかなったりと多くの失敗も経験しました。Fuckup Nightsを運営していて面白いのは、世界中のローカル運営者たちを見ても失敗に打たれ強く、失敗してもそこから学ぼう!という前向きな姿勢が常にあるからだと思います。(Fuckup Nightsのイベントで起きた失敗シリーズを特集したら面白いかもしれないですね!)

一方で、オンラインイベントに移行したからこそ、スピーカー同士の交流が今まで以上に深まったり、参加者が世界中から集まるようになったりと良いこともたくさんありました。

2021年は、さらに新たな局面を迎えます。今まではオフライン→オンラインへの切り替えが大きな変化で、イベントのフォーマットや立て付けはあまり変えてきませんでした。ですが、オンラインイベントに対して参加する側も行動様式や心理が変化している中で、このまま同じものをオンラインバージョンで続けていても、私たちが本当に届けたい価値は届きにくい!と気づきました。これからは既存のフォーマットに囚われず、このイベントの価値を最大限に届けられるにはどうしたらいいのか?を追求し、新しいFuckup Nightsを作っていきます。


失敗に対する恐怖とタブーはなくならない

「失敗というタブー」を完全に取り除くことができたら、このイベントは必要なくなってしまいます。ですが今まで運営してみて感じるのは、失敗に対する恐怖やタブーは実は完全になくなることはなく、いつの時代にも、どの世代にも、常に付きまとっているものではないか、ということです。

大切なのは、失敗するのが怖くても、失敗して悔しくても、その恐怖やタブーさえも乗り越えて立ち上がることではないでしょうか?だからこそ、誰かがどん底から這い上がる時の後押しとなり、挑戦する勇気を与えるようなストーリーを届け続けることが、Fuckup Nightsの最大の役割なのだと思います。

皆さんにとって、まだ失敗が怖いものでしかない、のだとしたら、是非一度Fuckup Nights Tokyoにお越しください。新しい視野が広がり、心配していたことが実は大したことないじゃん!と気づくかも?

Fuckup Nights Tokyoのイベント情報は以下のリンクからイベントページをフォローしていただくと、随時確認することができます。次回のオンラインイベントは、5月上旬を予定しています。是非イベントでお会いしましょう! 

Fuckup Nights Tokyoに関する記事は、今後連載シリーズを予定しています。

次回も是非お楽しみに!

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執筆:Yuko(Impact HUB Tokyo)
写真提供:©︎タツミ カズキ


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