アニメ版星のカービィ6話はプロパガンダ工作を表現したお話

2000年初頭にアニメ化された星のカービィ。それで扱われる話は100あり、中には世の中を風刺した話も多く存在する。今回はそんなアニメ版星のカービィ(以下アニカビで統一)の6話を紹介する。

6話のリンク

https://www.youtube.com/watch?v=JfzO_FGwbYE

●あらすじ

6話で登場するものとしてテレビがあり、それが作中での舞台プププビレッジに住む住民全員に配られる。6話はそこから展開されていく。

デデデ大王によるテレビ配布が住民に行われたのち、CMで商品紹介や天気予報、ドラマと様々な話題を提供することを宣伝する。そのことは住民の関心を惹かせるには十分だった。

展開が急に変わるのはその後、怪獣が現れたという報道が出てきてからである。街に襲い掛かろうとする怪獣、それに対してデデデ大王が対抗するという展開。大王が主張したのが「カービィを狙っている」というもので、それを土台に上手く切り抜けるには「カービィを追い出すこと」と更に主張するのであった。

しかし、それはデデデ大王がカービィを村から追い出すための口実であり、実際には怪獣を含め全て捏造であった。もちろんそのことは住民は全然知らない。あるキャラを除いては。

早い段階からおかしさに気づいたのがフームで、洗脳された住民からの圧力を回避するべくカービィを守ろうとする。メタナイトもそれに気づいていたようで、両者は協力して真相を暴こうとする。

フームはメタナイトから大王の城の地下室が怪しいという情報を知り、そこに潜入した。そこでフームが見たものは、なんとデデデ大王とエスカルゴンが怪獣の着ぐるみに周辺の風景をかたどった撮影用のセットを使用していたというもので、怪獣が襲来した話そのものがフェイクであったことを証明していた。

その後フームたちはデデデ大王の野望を阻止することに成功、大王はドッキリと主張してあっさりと嘘であったことを認め、事態は収束したのであった。

●内容

アニカビ6話の中で重要だと思われる個所を取り上げる。

1 まずは口実づくりについて

デデデ大王(以下デデデ)はカービィを追い出そうとするために、怪獣が襲来したという実際はありもしないことを報道した。この話自体は嘘なのだが、重要なのはとにかく嘘でもいいのでもっともらしい内容にして多くの相手に信じ込ませることである。デデデがやったのはそれで、「カービィを追い出せ」と重ねて発信することにより村の住民を嘘を本当だと信じ込ませることに成功、カービィを追放しようと目の色変えて行動させるよう仕向けた。口実は嘘でもいいので本当っぽく作り込んで信じ込ませることで、政治においては目的達成のために多用される最も基本的な手段である。

2 次に宣伝について

デデデは口実づくりのために映像を駆使して風景づくりおよび着ぐるみ製作に力を入れている。それは住民に対して本当であるかのように錯覚させやすいからで、映像が視覚に刻み込ませるために最も最適なものであることを強調するものとなっている。口実が嘘なら当然映像も偽になるわけで、あたかも本当に起きているかのように作り込み、視聴する側に刷り込ませるのである。それが映像を用いる事の大きな利点で、技術革新によりもたらされた戦争の一形態としての活用も可能となった。テレビの誕生と普及は間違いなく情報戦における強力な武器として利用されるきっかけをつくり、洗脳の為の手段としても非常に強い効力を保持している。事実、ネットの普及により昔ほど重視されなくなってきているとはいえ例の病原菌騒動により思考・行動が仕掛け側に誘導される人の多さが目立っていることで、洗脳ツールとしてはいまだに強い影響力を持っていると言える。

3 最後に思考・行動について

デデデが仕掛けた、テレビを用いた情報戦により多数の住民が洗脳される状態に陥った。テレビが映し出す風景が自然のうちに自ら考えて行動するという基本動作を封じてしまうことを見事に表現している。テレビの凄さに多くの住民が興奮しているところに、突如として偽報道を仕込むことで一気に信じ込ませることにデデデは成功させた。テレビの持つ特徴の1つに映像の流し見があり、それは能動的な活動を封じるところにある。テレビそれ自体が一方的に、それも宣伝する側にとって都合の良いことを中心に流すため、黙ってそのまま次々と流れてくる映像を見続ける者が出てきてしまう。実際に病原菌騒動ではテレビで流れているがままのことを疑いもせずにそのまま信じ込み、言われたとおりに行動し、結果的に後悔してしまう人が続出してしまっている。普段から自分で調べる・考えるということをしなければあっという間に敵が仕掛けた情報工作に引っかかるということをこの話ではきちんと教えてくれているのである。

●まとめ

アニカビ6話は現実世界におけるメディアによる仕掛けをわかりやすく視聴者に伝えてくれている。子供から大人まで幅広い層が見やすいつくりになっているので、一度上で紹介したリンクにアクセスして見てみることをおすすめする。

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