Next Gen Statsで楽しむNFLデータ~Rushing Stats編

続いてはRuhing Stats編を。こちらもPassing Statsと同様に移動距離やディフェンスとの距離、ディフェンスの人数などをもとに、RBのプレイスタイルや、ブロックなどの環境に対しての傑出度等、従来のスタッツに現れない部分を数値化できるスタッツが増えてきている。

Passing Stats編はこちら。

【Rushing Stats】

・EFF

こちらはRBのプレイスタイルを特徴づける指標。Efficiencyということで効率という意味であるが、定義は「1ヤード獲得するのに(横方向も含めて)何ヤード走っているか」となっている。つまりOTの外を走るような横方向のランが多いRBはこの値が大きくなると考えられ、縦に突き進むようなランが多いRBは小さくなると考えられる。それでは今季のNFLで上位にランクされている選手を見てみよう。

Jonathan Taylor IND 3.03
Nick Chubb CLE 3.33
James Robinson JAX 3.39
Ezekiel Elliott DAL 3.45
A.J. Dillon GB 3.46

この面々を見ると確かに当たりに強そうなRBが並んでる印象があるが、Jonathan Taylorが1位となっているのは、独走する場面では当然、数十ヤードに渡って直進するので、このような機会が多いと必然的に小さくなるためである。このためいかに縦に直進するか?というプレイスタイルを特徴づけるスタッツとしては微妙である。その目的のためには次に紹介するTLOSの方が有用である。

・TOLS

ランプレーでスクリメージラインを超えるまでの時間。こちらもEFFと同じくいかに縦方向のランが多いかというRBのプレイスタイルを特徴づける指標であるが、スクリメージラインを超えるまでの数字なので、独走の影響を含まない分、目的に対してはより有効である。上位の顔ぶれは、

A.J. Dillon GB 2.55
Antonio Gibson WAS 2.57
Leonard Fournette TB 2.59
Darrel Williams KC 2.65
Austin Ekeler LAC 2.66

先ほどのEFFと比べるとA.J. Dillon以外のメンツはかなり変わっているのがわかる。先ほど1位だったTaylorは2.77秒、Chubbは3.1秒とキャリー100回以上のRBの中で最長。外のランも多いが独走が多いのでEFFでは上位にランクされているのだろう。EFFが小さい割にTLOSが長いRBは独走の機会が多いRBと見ることができるかもしれない。ちなみに、スクリメージを超えるまでの時間と言えば、ラインのブロックを見極めるまで待って走る独特なスタイルでならした元PITのLe'Veon Bellの数字が気になるところだが、彼は2016年に3.07秒、2017年に3.09秒と予想通りリーグ最長クラスのTLOSを記録している。

・RYOE、RYOE/Att、ROE%

こちらもPassing Stats編のxCOMPなどと同様に、Next Gen Statsが得意とする、ブロッキングなどの環境の割にどれだけやっているかを数値化した画期的な指標である。ランプレイ毎にディフェンス選手の距離や人数から想定される獲得ヤードが見積もられ、その見積もりよりどれだけ獲得ヤードを稼いだかがRYOE(Rushing Yards over Expected)、1キャリーあたりがRYOE/Attである。ラッシングヤードなど、従来のRBのスタッツはブロッキングのおかげと言われることも少なくないが、こちらは言い換えるとRBの力でどれだけヤードを稼いだか?を見ていることになる。RYOE/Attの上位の顔ぶれを見ると、

Jonathan Taylor IND 1.7
Nick Chubb CLE 1.45
Javonte Williams DEN 0.99
Elijah Mitchell SF 0.71
James Robinson JAX 0.59

となっており、Jonathan Taylorの異常さが数値でも見てとれる。ラン1回あたり、2ヤード近くブロッキングから想定される以上のヤードを稼いでいるという、信じがたい数字だ。Nick Chubbもデビュー以来毎年1ヤード以上のRYOE/Attを記録しており、極めて優秀なRBということができる。

RBの重要な仕事としては、ブロッキング以上にどれだけヤードを稼げるか?だけでなく、ブロッキング以上のランをどれだけ出せるか?も重要である。例えば3rdダウン(or 4thダウン)ショートなどでは短いヤードであっても確実に進める、当たりに強いRBは貴重である。ブロッキング以上のランを出せる確率がROE(Rush over Expected)%である。こちらの上位は、

A.J. Dillon GB 50.5%
Damien Harris NE 46.7%
Jonathan Taylor IND 45.5%
Antonio Gibson WAS 44.2%
Nick Chubb CLE 42.9%

1位はわがパッカーズのA.J. Dillonというのが嬉しい。ロングゲインはないが確実にエクストラヤードを積み重ねてくれる頼もしさが数字に現れている。2位のDamien Harrisにも同様のことが言える。地味ではあるが注目したい2人だ。

・8+D%

こちらは8人以上がボックスにいたプレイの割合。ディフェンスを前がかりにさせてディープのカバーを手薄にさせるという、言ってみればRBの存在感でどれだけパスオフェンスを助けているか?、という指標とも言える。ランキング上位は以下である。

Derrick Henry 36.53
Mark Ingram 32.85
Elijah Mitchell 31.9
Chuba Hubbard 31.67
Austin Ekeler 30.08

1位は見る前から想像がついていたが、案の定昨年の2000ヤードラッシャー、Derrick Henryである。フルタイムで出場しているRBでここまでディフェンスを引き付けられる選手は他にはいない。毎年のように30%を超える8+D%を記録している特異な存在である。

このようにこれまでは獲得ヤードなどでしか評価できていなかったRBのプレーであるが、Next Gen Statsでは、独走TDを多く生みだせるRB、ショートヤードを確実に取れるRB、ディフェンスを引き付けることができるRBなど、様々なRBの「どのように素晴らしいか?」を数字で見ることができる。ページにアクセスしてデータを眺めるだけでも面白いので、ぜひ気になるRBのスタッツをチェックしてみてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?