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文化功労者の木村大作氏、巨匠チャン・イーモウの新作「愛しの故郷」を絶賛

中国映画界の巨匠、チャン・イーモウが製作総指揮をとった「愛しの故郷(ふるさと)」が、11月6日から1週間にわたり、東京のグランドシネマサンシャインで限定上映された。

この映画は、5つの短編で構成されたオムニバスのホームコメディ。中国の東、西、南、北、中部5つの地域でのエピソードを通して、人々の「故郷」に対する思いをオールスターキャストで描き、笑いと感動に満ちたハートフルな作品となっている。

1本目は、「チャン・イーモウからの出演オファーを断った」と大口を叩くお調子者の話で、北京という名の主人公を名優グォ・ヨウ(葛優)が演じている。
2本目は、中国南部の田舎町にUFOが出没するという話が広まり、テレビ番組スタッフ3人が調査に乗り出す話。彼らの前には村長、商人、発明家が現れるが、彼らは何やら秘密がありそうな…。
3本目は、アルツハイマー病で記憶が昔に戻ってしまった教師のため、息子と教え子たちが協力し、教師が中国東部千島湖の村で教育支援をした際の、思い出の授業を再現させようとする話。
4本目は、カリスマインフルエンサーの女性と、砂漠でリンゴ栽培に取り組む後輩が、母校の設立記念日を祝うため中国西部に帰郷する道中の話。
5本目は、過疎化が進む村で起きた、ある画家とその妻のユーモラスかつロマンチックな話。

この映画は今年10月1日の国慶節連休中に中国で公開され、11日間で興行収入10億元(約155億円)を突破、11月13日までに合計28億元(約434億円)の大ヒットを記録した。

チャン・イーモウと木村大作との縁

チャン・イーモウはかつて、日本でも話題になった中国・日本合作映画の「単騎、千里を走る。」の中国編監督を務めたことがある。この映画の撮影を担当した木村大作氏のために、今回「愛しの故郷」の配給会社が特別に単独上映会を設けた。

氏は今年8月に東京都狛江市の名誉市民となり、10月には撮影の分野で日本初の文化功労者に選出された、日本を代表する撮影技師・映画監督。かつて共に作品を作ったチャン・イーモウの新作「愛しの故郷」を公開前に鑑賞した。

「この映画のコンセプト、そしてチャン・イーモウ氏の手かけた作品だからなのか、子供たちの表情が抜群に素晴らしい。中国の若い監督の今後の活躍にも期待が高まる作品だった。特に3番目の『最後の授業』がおもしろかった」と作品を絶賛した。

木村氏は「単騎、千里を走る。」撮影当時の思い出も話してくれた。
「私は普段はあまり身なりに気を遣わないタイプでしたが、撮影で多くの中国人スタッフと共に作業するので、毎日違う服を着るように気を付けていました。しまいには中国人スタッフから、おしゃれな人だと評判になりました」
実は、当時彼が着ていた服のほとんどが、「単騎、千里を走る。」で主役を演じた高倉健からのプレゼントだったという。
「今回チャン・イーモウ氏の新作鑑賞のために、あえて健さんから頂いたジャケットを着てきました」

配給会社は木村氏の映画へのコメントに喜び、「コロナ禍でも大勢の日本人が映画館を訪れています。いい作品は簡単に国境を超えます。今後も全国での順次公開を目指して頑張っていきます」と意気込みを語った。

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池袋にあるグランドシネマサンシャインにて

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