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海外旅行は不甲斐ない自分と対峙する行為か?(前編)

facebookには「ノート」というサービスがあって文章を書き留めておけるのですが、まるで存在しないかのような扱いで埋もれてしまうため、メモとしても使えないのが実際です。日常的にfacebookを利用していても、ノートなる機能が存在していることを知らない方も多いのではないでしょうか?

2011年の東日本大震災を経ての想い、40歳になっての雑感、会社での人事異動などを書き記していますが、その過疎っているノートを閉めるにあたって1本だけ残しておきたい日記があったので、このnoteというサービスを借りさせて貰いたいと思った次第です。

所謂、noteの流儀には沿っていないでしょうし、他人様に読ませる文体になっておりませんが、気になったことを綴り留めながらAIのように使い方を機械学習してゆきたい所存です。

2014年5月31日 投稿

3月のフィリピン旅行を思い出しながら打ち始めた散文であり、旅行ガイドどころかフィリピンの魅力を何も伝えられないことは自覚しつつも、備忘録として打ち始めている。

大学時代からの学友であるKは準大手ゼネコンに就職し、外野からは永遠に思えたスリランカでのダム建設工事から帰国していた。
「暫くは日本で営業側の事務仕事だ」と帰国祝いを兼ねた酒席で話していたが、数ヶ月したら突然に「こちらは9年間、日本の冬を知らない。週末をマニラで過ごしては如何か?」とだけ書かれた本文と、カラオケ店での1枚であろう派手な衣装の蝶が舞っている画像が添付されたメールが受信トレイに紛れ込んでいた。

このKという学友とは卒業後も程よく親しい関係であるが、それと同時に煙に巻かされ続けて来た歴史でもある。ずっと五里霧中なのである。

秋葉原の少し高い飲食店で飲んでいれば、やおら「AKBが見たいから案内しろ」と言い出しては2軒目が慌てて調べたAKBカフェだったりするし、行く気もないガールズバーのキャッチを冷やかし続けた挙句に「よし河豚鍋を食いに行くぞ!」と来た道をUターンする曲者でもある。
キャッチの兄ちゃんもポカーンなのである ( ゚д゚)

自分にとってフィリピンは未知の国であるし、マレーシアより遠いという間違った認識しか持っていない異国であったが、煙に巻かされ続けたKの意表を突くべく10分後には「すぐに行くから待っていろ」とメールを返信し、それから2週間と経たずにマニラ空港のイミグレに並んでいる事になる。

果たして、この返す刀で渡航を決めたのには奴も面食らったらしく、作戦は成功だった(と後で聴いた)のだが、問題はフィリピンと云う国の治安に有った。
Webで検索してもマニラ周辺には目ぼしい観光名所は殆どなく、書き込まれるのは治安の悪さとナイトライフの古めかしい情報ばかり。
まぁ、Kの事だから夜のクラブ活動を織り込んでおく必要があり、一通りの隠語やルールなどには目を通しておいたが、それも保身の1つである。

 

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マカティ地区の優良カラオケCCでは、決まった曲で蝶が舞います

 

さて、その治安については「外を歩く時は手ブラ、人前で携帯を操作するな、財布も出すな、ホールドアップされたら金をすべて置いてい後ずさりしろ」などの気の滅入る忠告をメールで受け、また何時もの大袈裟だろうと気に留めなかったが、ネットで検索してみると"それでは足りないほど"の治安レベルだった。

曰く、一人で公共交通機関に乗るのはダメ、空港からはエアポートタクシーのみ利用OK(高い!)、所持金は各ポケットに分散させる、夜には出歩かないetc. この条件反射的な反応は、今年最悪の判断だったと後悔するほど不安要素の総合商社。若王子さんもかくやである。

さらに問題が1つ生じてしまう。

金曜日の夜にマニラ空港へ到着するフライトなのだが、またもやKは一方的に「生憎だが俺は土曜日に仕事が有るので、晩飯から一緒の予定になる。カラオケ店の女性を手配したので、観光場所を事前に相談のうえ案内して貰うように」とのメールを送って寄越したのだ。
(ちなみにマニラの日式カラオケは非常に健全かつ安いです)

彼から与えられた情報は、メールアドレスとMarielという名前、20歳くらいでタガログ語と英語がOK、で以上だった。以上って何だよ!と口にしてしまった記憶もある。

焦った私は、それから出発までの10日間で(多くはない)マニラ市内の観光地を諳んじられるほどに対峙することとなった。

救いだったのは、そのMariel嬢がLINEのアカウントを持っていたことで、それにより残りの1週間で一気に観光の計画が捗ったのである。
地図を見ながら周りたい場所を伝え、渋滞が激しいから無理と言われれば別の候補と入れ替え、どうにか4ヶ所を巡る半日の観光プランを仕上げた。

 

そして出発の2日前に、再びKからのメール連絡が入る。

「午後半休を申請したので、Marielとの待ち合わせ場所には俺も合流し、土曜日の午後は市内観光に勤しむとしよう」だそうだ。

奴は終始その調子で、私や周囲を煙に巻くのである。

→後編に続く

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