符亀の「喰べたもの」 20220515~20220521

今週インプットしたものをまとめるnote、第八十七回です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

大阪マダム、後宮妃になる!」(1巻) 田井ノエル(原作)、カズアキ(キャラクター原案)、馬場彩玖(漫画)

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カーネルサンダース像の身代わりに道頓堀に落ちて死んでしまった大阪マダムが、中国豪商の娘に転生して後宮に送り込まれる話。

私が関西出身なため関西人らしさあふれる主人公をひいき目に見ている自覚はありますが、面白かったです。関西人以外の主人公への好感度を上げるための手として、後宮入りして主人公が動きにくくなる前に、キャラ説明の話を1話目として入れているのも上手いですね。その一発目の成功は環境が整えられた(親から与えられた店舗の再建)うえでのものなので、ただ転生してきただけの少女が成功を収めても、ある程度の納得感があります。こうして主人公のホームで能力を発揮できたエピソードを先に示すことで、その後の活躍に説得力を与えられています。

このように好感度を稼いでしまえば、あとは後宮入り後もそのキャラを貫くだけで面白く感じてしまいます。正直一部に粗はあると思いますが、キャラの行動に筋が通っているおかげで、作品全体がチープでつまらないようには感じませんでした。作品に対する説得力の持たせ方および読者の楽しませ方として、どこが重要なのかを見直すいいきっかけになりました。


ウマ娘シンデレラグレイ」(7巻) 久住太陽(漫画)、杉浦理史(脚本)、伊藤隼之介(漫画企画構成) (原作: Cygames)

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オグリキャップを主人公とした、「ウマ娘」のコミカライズ。第五十八回以来の登場です。

これまでのメインストーリーとサブプロットが1レースに収束する演出により、「クライマックス感」が強く感じられました。宿命の相手との決戦というメインディッシュに、副菜は未だ戦ってはいなかった強者の参戦、ダークホース(ウマ娘だけに)の挑発、サブキャラの成長イベントに恩人の再来と、改めて書き出してみると本当にてんこ盛りで面白くなってきました。

これだけ盛っても食傷気味にならないのは、それだけメインプロットの山場感がすごいからでしょう。この一大イベントに全プッシュしないのは失礼さすら感じるほどの一戦を控えているからこそ、そこにどれだけ盛っても許される。逆に言えば、単品でも十分盛り上がるメインに、さらにサブプロットを動員する欲張りっぷりが、この漫画をこれほどまでに熱くしているのだと思います。


超人X」(3巻) 石田スイ

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超常的な力を持つ「超人」が増加した世界で、人工的に「超人」を作り出す注射器により力に目覚めた高校生の物語。第六十六回以来の登場です。

2巻までは気づいてませんでしたが、死んでも死にたくないという気持ちにより蘇生できる「レイズ」の設定が便利ですね。蘇生できる分メインキャラも殺せて派手なアクションをやりやすいですし、本当に死ぬ可能性もあるので気も抜けません。しっかり絶望感を出しながら、「いやでも…さすがにレイズするよな…」と一縷の希望にすがってしまいます。

「レイズ」により(いったん)キャラが殺されうるシビアさと高い画力で描かれるアクション、そして厨二力の高い能力が合わさり、読んでいてハイになれる作品に仕上がっています。きもちいいです。


今週は毛色の違う3作がインプットでき、それ以外にも何作も読めたので、いい週だったのではないかと思います。雑なまとめだな!


一般書籍

途中で長らく止まっていた古典を久々に読み、やっぱり面白いなと思い直しました。読み終わるのは6月末かな。


Web記事

世界の七不思議系のドラフトゲームについて

「複数枚のカードから1枚をピックするタイプのドラフトゲーム(ブースタードラフト)」について、長所短所の両方を考察されたnoteです。

最近ゲームのPDCAサイクルについてぼんやりと考えており、長所の2番目である「予想と確認の試行回数が多い」というのがその観点から気になりました。もう少し考えがまとまってきたら再読するべきかもしれません。


シン・ウルトラマンのいいとこわるいとこ(ネタバレあり)

シン・ウルトラマン(土曜日に観ました)のまとめ記事として、一番私の感想に近いものです。もう少し具体的に書くと、「いいとこ」は①~③が完全に同じで④以降も言われればそうと感じたところ、「わるいとこ」は①がまさにそうでそれ以外はまあそうかもしれないぐらいのスタンスです。

シン・ウルトラマンについては、このnoteの最後でもう1回まとめます。


@arther456さんの伏せ字ツイート | fusetter(ふせったー)

同じくシン・ウルトラマンに関しての記事で、私が見えていなかった、観客のウルトラマンに対する印象についてのものです。

こういうメタ視点での分析は見返しにくい(私が2回目を見ないので)映画では難しく、まとめていただいて助かります。


今週は、本やWeb記事以外に2ついいものを摂取できたので、そちらについて最後に書きたいと思います。

1つ目は、上に出てきているシン・ウルトラマンです。冒頭でシン・ゴジラと同じ流れにある作品ながら別のスタンスであることを観客に伝え、異質な動きや絵面から「みんなが知ってる」ウルトラマンの動きへと変化していく様は、上記ふせったーの記事にあるように観客の印象を操作する方法として優れていたと思いました。「クライマックス感」が弱かったのは残念でしたが、それは「いいとこわるいとこ」で書かれていた「テーマがはっきりしている」が故のものだったのかなと思います。つまり、メインテーマ1本で勝負していたのが、「クライマックス感」を出すために収束するサブプロットの無さ(および滝くんエピソードの唐突感)につながったのかなと思います。余談ですが、庵野秀明展も既に拝見しておりまして、庵野さんのデザインと良いものを作ろうとする執念に心を動かされた上での視聴でした。デザインワークスも購入しましたので、そちらのインプットも進めたいと思います。

もう1つは、バンダイナムコのIPに関する曲が披露されるフェス、「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」の2nd公演です。私の好きなバンドが出演されるということで、2日目(日曜)分のアーカイブチケットを購入いたしました。結果、機会がなく触れてこなかった「ラブライブ!」の方々のパフォーマンスが素晴らしく、衝撃を受けました。「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の方々については、ブランコを漕ぎながら歌っていたのが興味深かったですね。ステップを交えた振り付けが消えるのでファンが真似しやすいうえに息切れして歌がおろそかになるリスクも抑えられて、そして単純にかわいい。「サンシャイン!」の方々は、歌っている際の表情が楽しそうで、それでパフォーマンスの印象が上がるという発想がなかったので驚きました。これらはライブパフォーマンスについての感想ですが、曲も好みのものが多かったので音源あさりたいと思います。

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