符亀の「喰べたもの」 20230205~20230211

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 125です。

各書影は「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

限界煩悩活劇オサム」(1巻) ゲタバ子

対腐女子特化の除霊師とオタクに優しい非実在ギャルの2人が、荒ぶるオタク感情を現世に残してしまった腐女子霊を祓っていくギャグ漫画です。

怨霊に自身の感情を叫ばせて除霊する設定が上手いですね。キャラの信念を感情豊かに表現させるだけで面白いのに、それを除霊というストーリー軸に絡めることで何の話なのかわからなくなるのを防いでいます。特に第2話では、「怨霊と主人公の除霊師がハマっているソシャゲの設定と、それに狂わされる2人」「主人公がハマっている映画の設定とそれに狂喜する主人公」「除霊のための設定の開示と一般人であるギャルの反応」という3つの軸が絡まって進み、とても濃厚な作劇になっています。

また、主要キャラが「オタク」「ギャル」「怨霊」「高笑い系お嬢様」と感情表現が激しすぎてもおかしくない属性で固められており、そんなキャラたちが自他の好きについて語りまくるおかげで薄っぺらいテンプレキャラに見えにくくなっているのも上手い設計だと思います。

キャラ付けの方法論として、自分の核となる感情や好きなものをそのままぶつけ合うだけでストーリーが進むように設定を最適化するという力業を見せてくれており、面白い作品でした。


河畔の街のセリーヌ」(2巻) 日之下あかめ

先生の教えだけを頼りにパリを訪れた主人公が、本を作るために職業体験にはげむ物語。No. 105以来の登場です。

前回取り上げた際は主人公の造形や役割について全く言語化できていませんでしたが、2巻まできてようやく少しつかめてきた気がします。まず本作の主題は、この時代のパリに生きる人たちを描くことです。その目的を果たすためには、主人公の信念が強すぎて、世界の描写に色眼鏡がかかるようではいけません。ゆえに、主人公は「月からきたような奴」になります。

ですが単に世界をフラットに見るだけでは、主人公として好感を持ちにくいです。その点本作では、主人公に感情は出させつつ、それを読者の抱く反応と一致させることで、その感情を強く意識させない (月からきたような印象を崩さない) うえで主人公に共感させて、愛着を持たせているのではないかと感じました。

キャラ造形にはそのキャラの芯となる考えが必要だと思っていたので、そうでない描き方でも面白い作品が作れるとわかったのはいい収穫でした。3巻以降では、それで面白いと思わせられるような世界の描写の仕方についても吸収したいですね。


ミムムとシララ~ドラゴンのちんちんを見に行こう~」(3巻(完)) 端(原作)、佐藤夕子(作画)

世界のちんちんすげー!!!!


巧みな設定と狂気じみた熱量が合わさった2作と、丁寧な世界観描写が魅力な1作が同時に摂取できた、奇妙な週でした。こいつらに挟まれたセリーヌがかわいそうだよ。


一般書籍

読破まであと約100ページ!


Web記事

情報提示の話

アニメで「どれだけ迅速に、簡単に、説明くさくなく、世界観やキャラの情報提示ができるか」の勉強方法をまとめたツイート群です。

視聴者が物語を見るための態度を決める手がかりとして、「世界観とその象徴」と「視聴者のアバターになる主人公」を挙げてらっしゃったのが、私が言語化できていなかった部分でありがたかったです。また「リコリスリコイル」の例では、「ジャンルとしての世界観の提示→主人公の提示→本作の特徴づけをする世界観の提示」と先の2つを混ぜて提示していることが示されていて、そういうやり方もあるのかと解像度が上がりました。


アイドルマスターの5ブランド合同ライブ、「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」に行ってきました。アイマス初現地どころか初の大型ライブの現地参加かつ初のコール解禁ライブということで不安もありましたが、結果的には1日目終わりに即2日目のチケットも買って両日参加するぐらい満足しました。ブルーレイも買いました。

インプットとしてよかったのは、やはりコールを体験できたことですね。参加するまではコールにやや否定的な立場でしたが、やってみると良さがわかった気がします。

2日しかコールをやっていない浅い人間の見方ですが、コールのよさとは「脇役でありながらも主役側と一体化できる」ことなのかなと感じました。まず主役のキャストさんたちがいて、その人たちが求めてくれるから舞台装置として盛り上げた結果、会場全体で1つの作品を作る体験ができる。そうした体験がコールの良さであり、ゆえに主役となる演者さんたちが中心としているのが大前提になる。同じ人数が全員で盛り上がっているだけでは同じ体験はできないし、まして自分が主役になろうとしては別の何かになる。

これまではコールを「みんなで盛り上がる原始的な気持ちよさ」が全てだと思っていましたが、体験してみて少しは深く理解できた気がします。非常にいい勉強になりました。アイマスサイコー。

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