符亀の「喰べたもの」 20210502~20210508

今週インプットしたものをまとめるnote、第三十三回です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

裸一貫!つづ井さん」(3巻) つづ井

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オタクで腐女子(1話より引用)な作者とオタクで腐女子(1話より引用)な友人4人が楽しむ様子を描いたコミックエッセイです。

5人全員がアクティブでクリエイティブでクレイジーなため、実体験を元にしたエッセイのはずなのに頭おかしい系コメディとして読めるのが凄まじいです。おもろびとを5人集めることの強さが凝縮されています。約2文殊の知恵で遊びたおすとこうなるんですね。

エピソードだけでなく、漫画技法的にも面白く読める作品です。上述の通りヤバい方々が真剣に遊んでいるため、この本には笑っていいのか引いていいのか分からなくなるような行動が頻出します。このままだと読者も混乱してしまいますが、それを防いでいるのが、誰のセリフかが分かりやすいようにフキダシ付近に挿入されている顔のイラストです。これのおかげでキャラを出さなくてもリアクションのセリフが載せられるので、1コマに行動と反応との両方を載せても、画面が渋滞しません。そしてこれらが同じコマにあると、読者はその両方を一気に視認でき、どう受け止めるべきかを瞬時に理解しながら読めます。そもそもその顔イラストにも表情が付いているため、セリフを読むまでもなく絵としてキャラの感情がわかるのも、わかりやすさに寄与しています。この顔イラストが挿入されていない場合でも、次のコマにはすぐリアクションのイラストが来るため、どう読めばいいのかわからなくなる瞬間がありませんでした。おかげでエピソードの狂気に没頭できます。それはいいことなんでしょうか。


ダブル」(1~3巻) 野田彩子

全話無料キャンペーン時に5話まで読んで単行本の購入を決めてから約1/3年、ようやく買いました。なお書影は版元ドットコムさんに登録されていないようです。

で、これ2巻までは相当面白いんですよ。ネタバレになるのでぼかした書き方になりますが、1巻はダブルの話として、2巻はアンチダブルの物語として、すごくよくできています。読み返さなくては理解できない部分もありますし、一話冒頭から状況が分かりにくい(たぶん最初のセリフを「ここだ」から「この場面だ」にするだけでもだいぶ違うはず)のはやや目につきますが、数ページ先まで読んでからなら理解できるので面白さで押し流せるぐらいの些細なことかと思います。

その上で、正直3巻をこういう内容にした理由がよくわかりません。今回の記事が難航している理由は主にこいつのせいで、何度読み返しても作者さんの意図がつかめないでいます。決して面白くないわけではなく、2巻までと比べると落ちるだけで、駄作とまでは思いません。ですが本作でやらなくてもいい話に尺を割きすぎている印象は強く、作話上やらなくてはならないというのならもっと後でもよかったはずで、構成に疑問が残ります。4巻以降の話は読んでいないので、そこで巻き返してくれるのかもしれませんが…

と思って調べたら、4巻は来週発売だそうで。それ知ってたら今週こんなに悩まなかったしもっと早く投稿できたんですけど!


野戦郵便局」 池田73号

帝国の発展に寄与しながらも戦場の近代化により活躍の場を奪われた、馬の下半身を持つ馬人。野戦郵便局に配属された馬人と、周囲の人間たちとを描いた読み切りです。

編集さんがtwitterで投稿してらっしゃるように、8~9ページ目が上手いです。キャラの体格面での設定、つまり人間との違いというこの作品のテーマ部分を暗示しながら、キャラの性格を見せて好感度を上げる。周囲の人々の視線や外でしか作業できないことなど今後の展開への布石を打ちつつ、またしてもキャラの株を上げて天丼で〆る。綺麗です。


結局、このゴールデンウィークはあまり漫画を読めませんでした。というか読んだは読んだものの、ここに載せるほどいい点探しができなかった作品が多くてですね。不甲斐ないです。

とはいえ、反面教師的に面白さと感情に関する仮説は立てられたかなという感じはします。あくまで仮説であり、しかも「読者に抱かせたい感情をやや誇張したリアクションを別のキャラにとらせるといい」というボードゲームにどう活かすねんこれみたいなやつですが。その上その通りにやってるのに面白く思えない作品もあるので、さらに詰めないといけませんし。本業に活かせないのにそこまでする意味とは。



一般書籍

取材・執筆・推敲 書く人の教科書」 古賀史健

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名著。今年読んだ本でよかったやつランキング作るなら、多分一般書籍部門第一位になると思います。何度も膝を打ち、なるほどと声に出しながら読みました。なお本書には要するに「表現を盛るな」って内容の章があるのですが、上記の内容は事実なので許していただきたいところです。

冒頭の「ガイダンス」だけ読むと、筆者の思想的な面が強く、かつメディアやライターにいい感情を持っていない人的にはイラっとするような部分もあるかもしれません。しかしその後の章は教科書の名に恥じない客観的なものであり、冒頭の首肯しにくかった部分にもフォローが入るので、心配は不要です。480ページの厚い本ですが、読破するまでの負担は文庫本ぐらいに軽かったです。むしろ面白すぎて可処分時間を奪われそうだったので1日1章までに抑えていたぐらい、スルスル読めます。なお本書には(文章の筋トレとして)オノマトペを禁止することを推奨している章があるのですが、これには言い訳できないので甘んじて罰を受けます。



Web記事

8/28日記(『ダブル』第十九幕までのネタバレ感想)

「ぼくもうダブルわかんないよ~」って検索して出てきたブログです。

第十九話(3巻収録分の最終話)のタイトルの元ネタを読んだことがなかったため、そこに関する考察などがためになりました。逆に言えば、そこを踏まえて第十九話の内容をかみ砕いたつもりになってもまだわからないのが確かめられた形でもあります。


企業勢Vtuber5年目の大きな壁 労働契約期間満了と無期転換回避による引退の可能性

労働契約の観点から、Vtuberの活動に3年または5年の壁がある可能性を挙げたnoteです。

専門家の方が見ている世界を共有してくれる、これだからインターネットは素晴らしいですね。


漫画のインプットこそ少なかったものの、途中で止まっていた「大逆転裁判2」をリメイク記念でクリアしたり、漫画の整理を始めたり、新作の製作を開始したりと、なんだかんだで充実したゴールデンウィークになっていたと思います。

新作ですが、正直既に結構な完成度になっている気がしています。自画自賛ですが面白いです。来週またテストプレイ会に参加するので、そこで鼻っ柱をへし折られなければいいのですが。

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