符亀の「喰べたもの」 20231008~20231014

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 160です。



漫画

青春リビドー山」 位置原光Z

エロ漫画雑誌の巻末ギャグ漫画をまとめた短編集です。

掲載誌が掲載誌なので普通にヤることヤってるんですが、その度に笑ってしまうので参りました。「ギャグ漫画ではまあヤらんだろ」という思い込みは結構強力なようで、それが破られるたびに、しかもそんなにフリもなく雑におっぱじめる度に、ゲラゲラと笑ってしまいました。

逆にいうと、そこまで行かんだろというラインを越えていない話にはちょっと物足りなさを感じたのも事実でして。とはいえ全ての話でライン越えの下ネタをされたらそれはそれで飽きたり引いたりするでしょうから、なかなか難しい話だなと思います。なおライン越えてる話は体感7割ぐらいあるので、やっぱ普通にヤりすぎな気もしてきました。


アスミカケル」(1巻) 川田

武術家だった祖父の介護により寝技だけ上達した少年が、総合格闘技の世界を目指す物語です。

総合格闘技をよく知らない人 (私) にも伝わるような盛り上げ力がすごいですね。カタカナの技名をあえて説明せず矢継ぎ早に並べることで、多様な技を繰り出せる主人公とそれを見極めて対応する相手の技量を推察させつつ、地味になりかねない寝技をラッシュにして盛り上げる。独自性と王道な盛り上がりとを両立した見事な漫画力だと思います。

その上で気になったのは、1話の主人公の強みがよくわからない時間の長さです。介護も兼ねて武術家の祖父と稽古を重ねている描写は早めに出てくるものの、平常時の主人公の弱さと総合格闘技の世界の顔出しという今後の展開への仕込みのような描写がずっと続くことに対し、思ったよりも主人公に何ができるのかわからないストレスが強かったなと感じました。その分最後のアクションシーンのカタルシスはすごかったので、このやり方もありなのかもしれませんが。あとアレとかアレの1話どうだったのかなと思って見返したら、主人公の強みだけは早めに示していてさすがだなと思ったりとかして。


あの子は少女の振りをして」(1巻) 田中文

幼少期のトラウマから女性とうまく関われない先生と、彼に興味を持った女子校の王子様とのノットラブストーリーです。

王子様のキャラがいいですね。先生にとってはトラウマと破滅を想起させるファムファタールなのに、他の人には、いや先生にすらほっておけないかわいらしさとカリスマ性がある。だからこそ、先生へのアプローチにも悪意を感じにくく、まるで神が人外の理屈で人を愛そうとするような、ヤバいものを見るような独特の感覚が味わえます。そしてそんな多面性が、次の展開で何が来るのかを予期できなくし、ページをめくる際のドキドキにつながっているのだと思いました。

あとね、タイトルの意味がわかった瞬間に鳥肌が立ちましたね。趣味悪すぎて。


急に帰省することになったせいで冊数は読めませんでしたが、先週ヤバいことになってたので、今回はこれでいいということにします。


一般書籍

絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか 空間の絵本学」 矢野智司、佐々木美砂

絵本における物語や空間構成の構造を分析することで、絵本の世界や「絵本の力」を解き明かそうとした一冊です。

絵本における、そのメディアの特徴や消費者である幼児の直線的な語りと対応した「関係が積み重なる」構造と、その類型としての「積み木型」「入れ子型」という分類が面白く、非常に勉強になりました。そのうえで個人的には、この論の前提となる「均衡回復」という考え方が一番印象に残りました。理由は2つで、1つは、これまで私が学んできたストーリー論においては物語の前後で何かが変わっていることが必要とされていたため、変わらないことをむしろ魅力と考える価値観が私にとって新しかったからです。もう1つはボードゲームの文脈に関係しており、状況こそ変わってもプレイヤーの選択肢は基本的に変わらない「ラウンド」という構造が、この均衡回復と相性がいいように感じたからです。均衡が破壊されようとしているピンチをなんとか切り抜けることを繰り返す、サイクルが複数あることでクリアした快感という報酬が何度も味わえる、そんな構造のボードゲームを作れないかと思案中です。

新しい考え方を複数インプットでき、非常にいい読書体験ができました。途中挙げられている絵本の例も発想が面白いものが多く、そういう面でもオススメです。


Web記事

スイカゲームのゲーム配信に対してジャストフィットする構造

スイカゲームの「時間制限は特になく、途中で雑談に逸れても問題ない」点が、ライバーの配信に最適であると説いた𝕏での投稿です。

確かに、非常に場当たり的で終わりがないゲーム性により早く手を打って次どうなるか見せてほしいという欲が視聴者に生まれにくく、雑談中に来た視聴者もゲーム画面を見るだけで状況がわかるため、プレイの中断を躊躇する必要がないのは強みだなと思いました。あと「時間制限でプレイヤーの判断力を奪うのは簡単だけど、そりゃ麻薬みたいなものでゲームデザインの地力は全然上がってないですよ」っていうのが刺さりましたね。以前雑に時間制限かけて面白くしようとした前科 (未遂) があるので。


『ベルセルク』特集 三浦建太郎×鳥嶋和彦対談

2016年の「ベルセルク」アニメ放送中に公開された、原作者の三浦建太郎氏と元ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏との対談記事です。

鳥嶋氏が編集として三浦氏に物申す様子が見られるなど、非常に濃い対談でした。個人的に面白いと思った話は、拳がこっちに飛んでくる「北斗の拳」と同じようなことをしたかったが剣だと直線的な軌道になってしまうので代わりに人を飛ばしたところと、編集者にとって大事なことは作家の出した素材を見てどこをどう使うかを見極めることという話の2点ですね。


葬送のフリーレンのアニメを見始めました。原作を知っているせいか、ほぼ全話で泣きそうになります。仕事の操作間の待ち時間で見てるのであんまり感情を揺さぶらないでほしいんですけども。しかも主題歌がいいんですよね。OPの「そういう話だったのか」と思わせてくれるような歌詞もいいですし、EDの盛り上がるサビや連動した映像も見事ですし。毎回OPもEDも飛ばしていないアニメは一年ぶりです。そもそもアニメちゃんと完走したのが一年前 (ぼっち・ざ・ろっく) がラストなんですけども。

あ、あと英語の勉強をなんとなくで久しぶりに始めました。とりあえずDuolingoで耳を鳴らしつつ毎日英語に触れ、それだけだと簡単すぎるのでDropsで単語の勉強もする感じでダラダラやっていきます。うす。

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