ハットリ乾燥
自分で見る用に一応文章でまとめたものを置いています.意味わからない字の羅列を見せるのは気が引けるので作りました.
個人店愛がやまない。 特におじいちゃんおばあちゃんがやっているアットホームなお店には無意識に足を運んでしまう仕様になっている。おいしくて買っているのか情で買っているのか分からなくなる。資本主義、競争社会において仮にも商業でやっている行為に慈悲で購入するのは消費者として正しい振る舞いなのだろうか。先日、池上彰の授業で「商品の購入は一種の投票なんですよ」と言っていた。売れる商品はこの世に残り続ける。自分が本当に世の中に残ってほしい好きな商品を選んで買うことは、商品さらにはお店の存
中通り沿いに住んでいる。 大通り沿いではなく「ちゅう」通り沿いである。車幅は一車両分しかなく道としては大きくないが大通りと大通りを縦につなぐ道で、ドライバーにとっては重要な抜け道になっている。信号のない民家の中を抜けていく道なのでほとんどの車両が犯罪的なスピードで疾走していく。 朝の7時ごろから交通が忙しくなる。 家賃4万の老朽化した家屋。2トントラックの通過でねじの緩いテレビ台がジダダダダと派手に振動。明け方に寝ようとも、自衛隊の起床ラッパのように7時に起こされる。 最
部屋がペペロンチーノのにおい。 昨晩24時に暴食したペペロンチーノ。その残り香は翌朝に枕元へ訪れ、優しく目覚めを誘った。事実、ガーリックの強烈な臭気が鼻孔を女王様のように踏みつけ、たたき起こした。この状況で他人が来訪すれば評価はマントルまで落ちるだろう。男の生活感は道端の乾いたゲロより見たくない。 布団を投げ飛ばし、蛇口をグインとひねりドバドバと水をポットに入れる。シャワーを浴びシャンプーの泡を飛び散らせながらふと気づく。 普段より、すべてが荒々しい。 すぐに合点はい
毎日ラジオを録っている。 時たま魔が差して見に行く収録のアナリティクス。身内の数を除けばほぼ始めたてのツイッター閲覧数と同等。アナリティクスと呼べるほどサンプルが集まってない。ひらがなで「しゅうけい」が正しい。意気揚々と元気に笑いを織り交ぜながら収録する自分が頭に浮かぶ。抱きしめたくなる。強く、強く。大丈夫、大丈夫。 毎夜毎夜、クラウド上にこの世界のどこに向けられたものでもない音声が放たれる。デジタル社会の膨大なデータ管理は既に社会問題になっていると聞いた。私はその元凶を生
もめんとがドラマに出るとツイッターで知って、テレビの前で待機。 番組開始直後から顔に軽傷を負った女性が涙ながらに恋人に訴えるシーンが流れる。この物語をここから見始める事はできるのだろうか。話の内容を追える自信がない。なぜ彼女は傷を負ったのか、なぜ男は女性の訴えを真摯に受け止めないのか、そもそもいつ二人は恋人関係になったのか。単語のレベルが高すぎて内容把握に気後れする英長文のようだった。 映像に出てくるのはおおよそ5番手くらいまでの演者さんのみで、彼らが入れ代わり立ち代わり映
洋次郎さんは小さい頃ザリガニを飼っていたらしい。 いつ見てもつぶらな瞳で口元をわしゃわしゃ動かす姿に癒される日々。 ある日、水槽を覗くとザリガニが2体いた。 分身したかのような、全く同じサイズのドッペルゲンガーがいた。 少年は雷鳴に打たれたような衝撃を受ける。 しかしすぐに理解した。 脱皮だ。 よく見ると片方は弱弱しいセピア色をしている。 洋次郎さんはなぜか当時の気持ちのまま息巻いて言う。 「ハットリでもさ、あいつ自分で脱皮してんのに、知りませんよぉ?みたいな顔してんだ
「今日お父さんがゴディバのチョコ持ってきてくれるって」 母が夕飯の準備をしながら携帯電話を首に挟み僕に言う。小3の僕でも高いチョコという事だけは分かった。リビングに来た兄と弟もゴディバのニュースを聞きそれぞれ「マジで?」「なにそれ?」と返す。 玄関の引き戸の音と共に低い声が聞こえた「ただいま」 ゴディバが帰ってきた。 今日に限って玄関に出迎える3兄弟「おかえり!チョコは?」 すると父さんはくたびれたレザー鞄からくしゃくしゃのアルミホイルを取り出した。広げると中に丸いチョコの
「〇〇っていう映画見ましたか?」と聞いたら 「あ、それ〇〇監督のやつですよね、見ようと思ってたんです」と言われタイトルで聞いた自分が恥ずかしくなると同時にこの人に語れる事なんてなにも無いと悟り、「女優さんが綺麗だったから見たんですけど」とそれなりに何か言おうとした自分から3段階くらい落として、飄々と直感で生きてる、でも自らの肌感を大事に生きている故に時に知識者よりも常識に囚われない鋭い視点を持っていたりする的な、大人になっても素直な感覚を忘れていないキャラにシフトチェンジした
中目の美容院で予約を入れた.東京に来たという実感が一気に沸く.上京して早2年.まだ新鮮にこんな気分になれるなんて.いかに自分がピュアな人間かと嬉しくなる.そしてすぐ、人生経験の希薄さというピュアの裏返しの意味を悟り、28歳という年齢ならピュアというよりもう一方の意味だろうと悲しくなる.日々の出不精な生活を憎む、そして取り返しがつかない時間の残酷さに打ちひしがれて今日も今日とてamazarashi. さらっと中目と書いてみる.しかし上記の文を書くような人間が略すような人間では
・割らずにかぶりつくキットカット ・目的地付近で手に持つストレートキャップ ・防波堤の壁画を描いた当時の高校三年生 ・信頼してた人が平気で「cheers!」 ・「お互い関西弁でいいやん」からの緊張感 ・不思議ちゃんというか言語化が下手 ・BBQ片付け時の燃えるゴミの甘さ ・圧倒しない限り年功序列
「おにぎり温めません」 とプリントされたTシャツを着て生活しようかと考えている. 「おにぎり温めますか?」の質問に「本当にそう思うかい?」と返したくなる.毎回「大丈夫です」と返答する時間を人生で合算すれば膨大なロスタイムが生まれる.審判がピッチ外から数字の表示された看板を高々と持ち上げる.「アディショナルタイムが出されました!アディショナルタイムは45分!丸々もう一試合!」 このロスタイムがなければ、大事な人が飛行機で旅立つあの日に空港へ間に合ったのかもしれない.部活の試
鬼を懲らしめる番組のシミュレーションに行った. 凍てつく如月の山中.日づけ的にはもう少しで春なのに信じられない寒さ.寒冷前線がこのあたりを10本ダッシュしたのだろうか. 番組が仕込んだ鬼が至る所から現れる.僕等モルモットはこれを新鮮なリアクションで迎える.えぇ!こんなところから!?いやぁこれは分からなかった!まんまと鬼にやられる方がスタッフは喜ぶ.初めて行った午前中に気付いた. その日のステージはいつもと違った. 僕らはボートを漕いで湖を進んでいく.すると向こうから鬼の
これを看板商品にするパン屋は信頼できない. 「パンという固有の食べ物に何を合わせればおいしくなるのか」 すべてはこの問いから始まった.この答え無きテーマに挑む過程で様々なパンが誕生した.小麦の甘味に酸味のアクセントとしてレーズンを.もちもちのパンに食感を加える為にクルミを.これらは全てパンのおいしさを引き立てる為に考案された.表すなら「パン×○○」であり、パンあったうえでのコラボレーション. 一方で、焼きそばパン. 完全にパンを追い越している.焼きそば本来のポテンシャルで
本音が実際の会話で聞けることはほとんどない.しかし時に強く感情が揺れ動いた瞬間だけ思わず本心を口にする反射的な心の叫びがある.少女漫画で憧れの先輩が恋敵に奪われそうな場面.普段は内気なヒロインが咄嗟に「待って!」と2人の手をほどく.これを感情の断末魔と呼ぼう. 大学院2年生の頃、学会発表で秋田大学へ行き、その帰りの東北新幹線で研究室の同級生と少し遅い昼ご飯を食べていた.季節は木枯らし吹く秋の暮れ.まさか就職しないままこの年の寒気に触れるとは.身の震えが寒さなのか未来への不安
「へん」にはその漢字のもつ性質を表す役割がある.木へんは木に関係する.サンズイは水に関係する.誰しもが「サンズイ=水系」という式があるはずだ. だからこそ、漫才の漫にサンズイが付く事に違和感を感じてしまう. 芸人の世界にいれば否が応でもこの漫才という言葉に触れる. 香盤表のコンビ名の隣に「漫才」 賞レースの用紙に「とにかく面白い漫才」 養成所のチラシに「君も漫才師になろう!」 この文言を見るたび同じ疑問に悩まされる. 初めてこの言葉を見た人は「サンズイの付く漢字に才能の
ラーメン屋に大量の漫画がある意味が分からない. 第一に、どう見積もってもラーメン屋に費やす時間と釣り合っていない.飲食店にかかる時間はおおよそ30分.それに対しびっちりと収納されたあの漫画は全て読破するのに太陽と月が3回入れ替わる時間を要す.仮に回転率重視のラーメン屋であれば30分という時間もレディースのみ許される「女性がまだ食べてる途中でしょうが」時間だろう.男なら20分、漢なら10分.ただでさえ読むのが遅い自分は知らない漫画を一巻から読み始めた場合、主人公が冒険に出る前