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【DAY 21】あなたを居眠りさせた映画 「2001年宇宙の旅」

DAY 21
a film that you dozed off in.
あなたを居眠りさせた映画

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「2001年宇宙の旅」(1968)
スタンリー・キューブリック監督
キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダグラス・レイン

大昔。類人猿がヒョウなどの外敵や他の群れグループと戦いながら暮らしている。ある日、突然出現した黒い巨大な板の存在により、彼らは骨を武器として使うことを学んだ。敵対する群れのボスを殴打して勝利、そしてこれが、道具を使って圧倒的な進化を遂げた、人類の起源であった。
2001年。宇宙ステーションがすでに出来上がり、月の開拓が行われている時代。ある日、月の地下で、黒い巨大な板が発見された。その18ヶ月後、ボウマン船長(キア・デュリア)とプール副船長(ゲイリー・ロックウッド)は、人工的に冷凍させた科学者3名と共に、探査のために木星へ向かっている。ある日、宇宙船を制御するAIであるHAL9000が、ボウマンに、ミッションに対する漠然とした不安を話し始める。そのおかしな挙動を恐れた2人は、HALの回路を停止しようとする。しかし、それを知った彼は、科学者3名の生命維持装置を停止させ、パイロットの2人も抹殺しようとする。

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僕は映画が大好きだけれど、観ながらうつらうつらとしてしまうことはある。家で観ているときにはまあまああり、その場合は巻き戻して観れるけれど、映画館で観ると十中八九、中盤で居眠りしてしまう。これは別に、つまらないから、ではないし、つねに製作者へのリスペクトも持っている。だって、僕としては、ものすごく観たい気持ちでいっぱいなのだ。なのに、いつのまにかがくんと首が落ち、2、3分のストーリーが飛んでしまう、ということがある。

これ、医学的な根拠ゼロで勝手に自己分析するに、映画を観ていることが楽しすぎて、「ものすごくリラックスしている」状態になり、それで寝てしまうんじゃないかな。しかも、静かなシリアスな作品よりも、刺激的な映像ばかりのアクション超大作の方が、うたた寝をしやすい傾向があるようだ。逆に、国際線の飛行機の中でイヤホンをしながら小さな画面を見ているときには、ちっとも眠くならなくて、かえって時差ボケの原因になる。たぶん、エコノミーの狭い席で隣に外国人が座っていて、緊張しているんだと思う。

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そんな僕じゃなくても、寝てしまう人が続出であろう映画、これはなんといっても「2001年宇宙の旅」だ。

あらゆる映画ランキングで必ず上位に登場する名作だ。ファンだと公言する映画監督や映画評論家も多い。公開されたのは1968年。またアポロ11号は月面着陸を果たしていない時代。週刊少年ジャンプが創刊され、タカラから「人生ゲーム」が新発売され、川端康成がノーベル文学賞を取った。世界ではベトナム戦争真っ最中で、日本では全共闘が台頭し始めた。大昔だ。

そんな時代に作られたのが奇跡としか言いようのない映像。滑らかに表情を動かす類人猿や、無重力でふわふわ浮くペン、宇宙船の壁を歩く乗組員など、ハイレベルな特殊効果は、現在でもぜんぜん通用するレベルだ。カメラとセットを一緒に回すトリックの「壁歩き」は、最近でも「インセプション」(2010)でクリストファー・ノーランが同じことをやっていた。また、未来っぽい衣装や、宇宙ステーションの内装など、「いかにもSF」のデザインは、この映画以降いっさい進化を止めた。いやむしろ、現実がこの映画に寄せている、とも言えるのかもしれない。

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そんな誰もが認める超大作は、一方で、誰もが眠りにつく映画でもある。難解なストーリー、セリフが少ない、BGMがクラシックである、宇宙空間のゆったりとした動き、という条件が揃っているからであろう。僕も、ラストの超絶ワープからの惑星直列とモノリスによる神々しい十字架、そして現れるスターチャイルドという、あの怒涛のお祭り映像が観たくて、これまでに5回くらい観てるんだけれど、例に漏れず、どうしてもそこにたどり着くまでの間に、決まって毎回、うとうとしてしまっている。

でも、今回イヤホンで爆音で聴いてて分かったんだけれど、この映画、定期的にアラームがなるため、そのままぐっすり眠りこまないようなつくりになっているのだ。例えば、月のモノリスが木星に向けて出した「ピーーーー」という発信音や、生命維持装置のエラーによる「ピッピ、ピッピ、ピッピ」というブザー音など。その度にがばっと起こされるから、なんとか話にはついていける。よくできている。

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