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スタートアップが事業を大きく伸ばすAI戦略の立て方

プロダクト開発を行うチーム、特にスタートアップ企業にとって、未来化・AI化することは不可欠です。

・AIなどは今の事業には関係ない
・AI化するほどの豊富な資金はない
・将来レコメンド等は考えているが未だ不要だ
・そもそもAI化の本質的な意義とメリットがわからない

等と考える人も多いかもしれません。

が、私の経験上『初期投資を非常に小さくしながらAIを仕掛ける方法』はたいてい見つかります。その上で今すぐ出来ることや、資金調達/製品開発に直接関係することも多くあります。

ただ、そういった情報はピンポイントではなかなか届かないことが多く、ネット上にある情報では、貴社の事情に整合するかの判断が難しいのが現状です。

そこで私は今、「ハーベストループ」という新しいAI戦略のフレームワークを提唱しています。これは尾原和啓さん(実業家・IT批評家)と共に2021年4月14日に出版しました。同日、Amazonのビジネス書ランキングで1位になるなど好調な滑り出しでした。

さて、

このフレームワークはスタートアップに有効なのか?

ということなのですが、現在のところとても有効だと感じています。実際に、アドバイザリー先が現段階で6社ほどありますが、ハーベストループをSaaS等のプロダクトに仕込んだ結果、時価総額20倍/MAUが年間300%成長など、それぞれかなり堅調な伸びを示しております。ある程度は実績のあるフレームワークなのではないかと考えています。

しかしながら、読むだけでは中々つかみ取りにくい「コツ」のようなものが存在しているのも事実です。そこで本記事では、ノウハウを少しだけ共有したいと思います。

事業を大きく伸ばすAI戦略「ハーベストループ」とは

いまやAIがもたらすさまざまな機能というのは、実は自社で一から開発しなくても、よそから借りてくることが可能です。

実際、Google や Amazon、IBMやMicrosoftなどの大手が数多くのAIモデルを安価で提供しており、我々はそれをレゴのパーツのように必要な機能を組み合わせるだけで、AIを自社事業に取り込むことが出来ます。

逆に考えると、AIを「活用する」だけでは、エンジニアリングの工数がかかる上にそれほど大きな差別化につながるわけでもないというのがこれからの時代です。

ではどうすればいいのか?そのヒントが「戦略化」にあります。

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戦略化というのは、「勝ち続ける仕組み」をつくるということ。

具体的には、「データが貯まる」ので「競争優位が持続する」というループ構造を作って、事業が進捗すればするほど他社には真似できない圧倒的な強みを手にしていくという戦略デザインが大事になってきます。

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これには

どんなデータであれば、どんな強みに転化できるのか

ということを解像度高く持っておく必要があります。ここの考え方を体系的にまとめたのが「ダブルハーベスト」の本旨になります。

スタートアップこそAIの使い方を「仕込んでおく」こと

さて、スタートアップや中小企業の現場に戻ると、やはり今の事業自体でリソースがほぼほぼとられているという事情があり、「AIなんて縁遠い」と感じられている場合が多いように感じます。

むしろそこの方が『ダブルハーベスト』の戦略論のメインターゲット。例えば、労働集約型で営業利益率が低く、追加のコスト負担に耐えられないせいでデジタル化・AI化の波に取り残されてきた企業群だったりすれば、本書のフレームワークによって、より大きな「収穫」を手にできます。

スタートアップでいえば特に

・マーケットプレース
・D2C (パーソナライズ商品)
・XaaS (XXX as a Service)

辺りの業態に相性がいい話かと思いますが、それ以外にも顧客接点を握る数十店規模の飲食チェーンやヘアサロン、学習塾、生産現場をもつ中小メーカーや地場産業、作業現場に出入りする建設業者、農林水産物の加工現場をもつ食品加工メーカーや畜産業、製材所、物流のラスト1マイルを担う運送業者など、

あらゆる産業が対象になる考え方だと考えています。

最小の努力でAI戦略の仕込みを始める

AI導入を最初から無理だと思っていたり、未だ早いと思っていたり、勘所を間違えていたりするケースが多いなと感じています。そして、AI自体を今すぐにフル実装せずとも、勘所的に正しい「データ収穫」をしておけば将来、大きく事業強化できる可能性があります。

大事なことは常に、最小の努力で仕込みはじめる、というアクションに落とし込むことです。

そしてこれは決して「実装」を意味しないというのが大事です。ループ構造を作り、データを貯め始めるのが最も大事なファーストステップになります。

そしてスタートアップに限っていえば、「事業パーパス」をとてもシンプルにまとめやすい故、パーパスのブラッシュアップから入るのが正攻法です。具体的には以下のようなステップになります。

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そして事業パーパスが明確であれば、意外と簡単にAI化の指針を得ることが出来ます。

思考フローとしては、「どうAIを使うか」と考えることはありません。「どういう未来を作るか」を徹底的に考え抜いた結果、そこには大抵の場合AIが必要になる未来がある、というような順番で考えます。

#1 事業パーパスの明確化

何事もパーパス設定がないと何も始まりません。事業推進上、どうしてもパーパスが現実思考っぽくなってしまう傾向がありますが、パーパス定義で一気に目線を引き上げます。起業家個人の情熱と完全にアラインメントを取るアプローチで設定します。

堀田個人がSingularity UniversityのExecutive Programに参加して学んだMassive Transformative Purpose の考え方をインタラクションの中で発見していく、起業家やプロダクトオーナーにとって最も刺激的なプロセスです。

大事なことは、どんなパーパスであれば事業戦略に落ちやすくて、なには事業戦略とかけ離れた「ただのスローガン」の様になってしまうかということへの理解です。ここの発想方法はダブルハーベストの「おわりに」にも記述したものではありますが、正直、自分で思いつくのが難しいものです。

#2 ハーベストループで成長戦略を描く

パーパスが定まるとAIの戦略が定まります。つまり、何を目的にして何を資産とし、どのようなUXでどのような戦略にしていくかを策定します。

具体的には以下の要素を詰めていきます。

・パーパスに対してAIが役立てるパターン
・戦略型の決定
・目標となるKPI軸の設定
・どのようなデータを貯めるのか
・どのようなキーUXになるのか
・業務オペレーションをどう回すとAI化しやすいのか

スタートアップの場合、「コストリーダーシップ戦略」などで突っ走るよりも、最終的にパーパスに基づく「UX向上」で勝ち抜くのが大抵のパターンになります。

つまり、究極的には「UXを継続的に育てるデータとはなにか?」を正確に捉えるのが大事です。

#3 実行フェーズ

それらの方針づけがなされると、その次は実行フェーズに移ります。実行フェーズにおいて最も大事なのがデータ型の決定と、そのデータ収集に必要なUXのスケジュール、そして最小の努力でAI化を進めるための実行プランです。

AIのプロジェクトマネジメントは、画面デザインではどうしても成し遂げられないコミュニケーションと不確実性マネジメントのコツがあります。主にチームと役割の面から整理していきます。

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