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起業家の才能をつぶすコーチングと、それを突破する思考

近年、起業家にとって
コーチングが必要だという流れにあり
それ自体は良いことだと思います。

一方で、よくあるコーチングの方法論は
暗中模索のイノベーションを志す起業家
またスタートアップの中心人物達に対して
上手に適応できていないように感じます。

これでは効果が薄いだけではなく、
最悪、起業家の可能性を潰しかねず
起業家/イノベーターを応援する立場として
看過できる状況にありません。

そこでこの記事ではコーチングが機能する
認知的な仕組みを紐解きながら、
どういう調整によって
起業家の真のチカラを引き出すのかを
考察する記事になります。

心理的非柔軟性からの解放

そもそもコーチングで目指すことは
自分の真に大切にしていることを見つめ
その延長線上にあるゴールへ向かう
心理状態をデザインすることです。

起業家・イノベーターに関わらず
多くの人は、様々な義務感や思い込みで
心理的に凝り固まってしまいます。

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イメージはこのような感じで
コンプレックスや承認欲求・外圧等
色々な要因によりがんじがらめになると
変わらなきゃいけないと思いながらも
どんどん変化を嫌うようになります。

このような状態を

心理的非柔軟性
Psychological Inflexibility

と呼びます。

コーチングには
様々な流派や方法論がありますが、

基本的には深い傾聴のプロセスを通して
心理的非柔軟性を紐解くのが
最初のステップになります。

認知的フュージョン

では心理的非柔軟性をどう紐解くのか?

第一歩は現実と思考を分離することです。

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心理的非柔軟性の原因は全て
自分の考え方に依存しているのに、
それを「現実」と勘違いします。

この状態を認知的フュージョンと呼びます。

フュージョンは融合という意味なのですが
まさに現実と思考が無意識的に融合して
同一視してしまうという
我々の脳の特徴のようなものです。

これは実際は、生きる上で必要不可欠です。

例えば、我々は自然と熱い鍋に
触れないように行動することが出来ます。

これは、「熱い鍋を触ると火傷する」
からなのですが、実際に火傷している
わけではないので現実ではない。

思考にすぎないわけです。

このように思考と現実と同一視して
触らないように無意識的に判断することは
ほとんどの場合むしろメリットになります。

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とはいえ心理的非柔軟性の高い状態、
つまり色々不安だったり重責を負ったり
経済問題・家族問題とかも諸々重なり
気持ち的に身動きが取れないのであれば、

心理的柔軟性を得るために、
思考と現実と分離していく事が必要です。

これを通して思考体系を客観的に把握し
その中で大切にしている価値観を見つめ
思考の優先順位を再定義することで、
行動に変化を与えるプロセスを促すのが
コーチングの大きな枠組みです。

自身の価値観に腹落ちして
本当にやりたいことに打ち込むことが出来る
心理状態をデザインすることは
人の気持ちを本当に救うことが出来ます。

その意味でコーチは
大変意義深い職業だと感じます。

価値観の事例

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ここで仮の事例として、エンジニアという
職業の人の価値観を探るとします。

この人が幼少の頃、
例えば友達との時間を最大化するために
サッカー教室に通っていたとしたら
本当のWANT TOはサッカーではなく、
友達と遊ぶことかもしれません。

この場合サッカーの練習自体は外圧なので
それほどやる気が出るわけでは
ないかもしれず、そこでは花開きません。

しかしながら大学になっても
サークルのムードメーカーとして
同じ行動パターンが見て取れたとします。

その場合、この人の価値観は
「集団の雰囲気を良くする」
ということに実は執着していて
テーマ自体は実はそれほど論点ではない
ということがあります。

この人が例えば
特にやりたいことがなかったけど、
仲間がみんな進んだから選んだ。
また両親や先輩のススメで選んだだけで
本当はエンジニアリングには
それほど興味がない場合、
エンジニアリングは価値観上
重要ではありません。

だとしても「働かなければならない」や
結婚を控えているなどの外圧により
エンジニアを辞めるわけにもいかず
心理的非柔軟性の状態に陥っており
惰性でエンジニアを続けていたとします。

その場合はエンジニアリングの知識を使い
仲間とのコミュニケーションが必要な職種
例えばプロジェクトマネージャーの方が
実は向いている可能性があります。

このように大事なことは、価値観を知り
価値観に素直になることです。

コーチングの「傾聴」というプロセスは
ここを深く掘り下げる事をいい

我々は「人生を通底してやりたいこと」
WANT TO
と呼んでいます。

価値観定着のための手段

上記の「思考」と「現実」の同一化問題、
つまり認知的フュージョンは、
我々の脳内で自動的に起きてしまいます。

従って「現実」の認知を変えるために
どうしても行動が必要となります。

例えば、第一歩を踏み出したり、
今までやっていたことを辞めたり
宣言してしまったという行動が起きて

初めて我々の思考を
長期的に変えることが出来ます。

従ってコーチング多くの方法論では、
目標設定行動管理をして、

前回のセッションで約束した行動を
本当に行ったか否かを確認します。

例えば「水曜日までにやります!」
などと周りに宣言してしまったので
タスクに対する本気度が高まるなど

「実際に何かが進んでしまっている」
という既成事実を作ることにより
優先順位を変えることができます。

【核心】行動管理の問題点

さて、ここまでのコーチングプロセスは
認知心理学的にも美しく整合した
とても良くできた枠組みだと思います。

しかしながら、こと起業家や
スタートアップのチームなど
イノベーションに関わる我々にとっては
この方法には1つ大きな問題があります。

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起業家が立ち向かわなければならない
真の目標を考えた時には

予測不可能性の中で奇跡を起こすこと
が求められています。

特に今、色々な産業の地殻変動が
同時並行的に起きている中で
目の前に現れたチャンスを
パッと掴むマインドこそ求められており

今我々が予測出来る程度の世界で動いても
イノベーションは何も生まれません。

つまり、

目標設定行動管理のような
予測可能性を前提とした方法論では
起業家に必要な視座は生まれません。

大きな志をもって起業した起業家たちが
色々なプレッシャーに潰されていき、
気づいたら短期思考に陥っていることは
本当に頻繁に起きています。

この中で行動管理的な手段を取ったとして
予測不可能性の高い市場で
夢を再度大きく持つことが出来るようには
思えません。

これを個人の資質と片付けるのではなく
再現性をもった方法論で
夢を引き上げ続けるための伴走者こそ
起業家のコーチであるべきです。

現状の外側のゴール

では、どうすればよいか。

その答えの中で
一番理にかなっていると思うのが
現状の外側のゴール設定」です。

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現状の外側のゴールとは、

どうやればよいか検討もつかないが
やれたらとんでもなく凄いこと

これを、自身の価値観(WANT TO)に
忠実に設定することが大事です。

これをスタートアップ起業家にあてると

「XX業界を根本から変革する」

のような大きな目標を立てることが
現状の外側のゴール設定にあたります。

このような現状の外側のゴールが、
企業文化の根幹になるべきです。

つまり起業家にとってのコーチングとは、
このとんでもない目標自体を
具体的に解像度たかく設定し
維持すること・アップグレードすることに
焦点が当たるべきです。

イノベーティブな脳の状態

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何故、現状の外側が大事かというと、
イノベーションが起きる脳の状態とは
方法がわからなくてモヤモヤしている
認知的不協和状態だからです。

モヤモヤしているからこそ

これは大ヒントだ!

というように
色々な事柄や知識をゴールと関連付ける
思考方法になります。

これにより、
大きなチャンスをチャンスと認識して
機敏に動けるようになるのです。

いつでもゴールと関連付けるには、
四六時中、寝てる間でさえも
そのゴールに本気である必要があります。

現状の外側のゴールで大事なのは、
ただ言う・宣言するだけじゃなくて
本気で出来ると信じ抜く気持ちです。

このゴール達成への自己効力感の高い
心理状態をEfficacyと呼びますが、

このEfficacyを感じられるよう導くのが
起業家向けコーチの
大事な仕事の1つになります。

本気で信じるには、
今やり方が分からなくても、
それは実際に狙えるのだと
コーチ自身が理解しなければなりません。

起業家の才能の自覚、価値観の整理から、
大きな目標も実際に為せるという確信、
そのために今どうあるべきかの確認。

これ全てが整合的に描けて初めて
本気で現状の外側のゴールを
信じ抜くことが出来るようになります。

従って

・1兆円の時価総額とは何か
・業界が震撼するとはどういうことなのか
・最高なチームの状態とは何か
・ミッションや戦略とは何か

こういうことへの理解がないコーチでは
恐らく起業家の一番の役割である

成し遂げたい志を設定すること

に対して、サポートできるとは
到底思えません。

だから起業家にとっては、コーチこそ、
イノベーションのプロである
絶対的必要性があると考えています。

その上で大事なステップ

予測可能性を前提とできないのであれば
行動管理のような手段では通用しません。

一方、現状の外側のゴールを設定しても
我々人間は日々の業務に追われてしまい

いつもどおりのルーチンに戻ります。

これでは僕らのマインドの優先順位を
変えることは出来ません。

そこで、認知的フュージョンの仕組みを
上手にハックします。つまり、

日々の生活にゴール要素を埋め込むことで
ゴールが現実をごちゃまぜにする

思考と現実の境目が見えなくなる我々なら
ゴールと現実を混ぜられるわけです。

そのために何が出来るか。

いくつかの手段がありますが
例えばコンピュータのパスワードを
"1trillionDollars"にするとか、
目につくところにゴールを飾ったり
自己紹介で未来を説明するようにしたり、
スマホのスクリーンだったり。

また、会社名だったり、
コーポレートバリューなども使えます。

とにかく至るところに
ゴール達成時の未来先取り成分を混ぜて
僕らの認知的フュージョンの中に
ゴール世界を混ぜていくことが
とても大事になります。

まとめ

コーチングを起業家向けにするには、
行動管理とは別の、

現状の外側のゴールの設定と実装

が必要になります。

そこで、起業家向けコーチとしては、
通常のコーチング技術だけでは足りてなく
ここまで踏み込んでコーチングすることが
求められています。

僕自身も数に限りはありますが、
コーチングを行っています。

半年間月1回セッション (40分/5万円/月)

目線の維持が生命線の起業家にとって
確実に価格以上の価値が出せるはずです。


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