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法律関係の雑記

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#LLM留学

【アメリカ相続法①】被相続人の処分の自由の限界~アメリカに遺留分の制度はあるのか?~

導入

富裕層へのアドバイスを行う場合には、日本の相続税の問題に加えて、海外相続に関する質問もあわせて来るときがあります。そこで、アメリカの相続の仕組みを知っておくことは有用です。ここで、簡単にアメリカの相続の仕組みのもっともの骨の部分、Freedom of disposition(処分の自由)とその限界について触れておこうと思います。

Freedom of Disposition

アメリカの

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【アメリカ相続法②】SP州からCP州/CP州からSP州に転居する夫婦の財産について

導入

上記の記事では、community property statesとseparate property statesの二つの夫婦財産法の体系がアメリカにはあることをお伝えしました。
ここで、問題となるのが、では、この州間を転居した場合には、夫婦の財産はどう取り扱われるのか、ということです。

論点(SP州→CP州の場合)

伝統的な抵触法の考え方では、動産(movable property

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【アメリカ信託法】信託の変更における委託者の意思ーイングランド法と日本法との比較ー

導入

個人向けアドバイスの中で海外準拠法の信託についてみる機会もあり得ます。アドバイスの中核は日本の税法の観点でしょうが、英米法の基礎的な部分はわかっていた方がよいでしょう。今回は信託の変更を例にとってその基礎的な部分をイングランド法(及び日本の信託法)と比較しつつ、論じてみようと思います。

信託の変更がどのような場合に認められるか

アメリカでもイングランドでも、委託者及び全受益者が同意して

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