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オールドマネー、ニューマネー

kinaさんからお金の使い方にご質問いただき、ちょっと普段では話しにくいお金のことを書きたいと思います。まあ、オールドマネー、ニューマネーの概念のことです、知ってるかな?

ニューマネー New Money = nouveau riche (フランス語 “new rich” ヌーヴォーリシュ) =日本語で、成金:ラッキーな境遇で自分一代でお金を稼いだ(または宝くじなどに当たった)億万長者を指します。以前は貧乏の経済階層ランクに属しており、新しく手に入れたお金が社会的上昇を可能にし、それを誇示するように目立つ消費行動をするのです。例えば上流階級の一員であることを示すブランド商品やサービスの購入をしたくてたまらない、ということです。虚飾、下品。

あくまでも例として

オールドマネー Old Money : 古いお金は世代間の富、世代から世代へと受け継がれてきたお金、つまり、そういう古いお金タイプの億万長者は小さい頃からお金に対する教育が行き届いています。いわゆる紳士、上品。ただし、イギリスでは貴族の良い家柄に属していて、実際には貧しい生活をしていて(破産していることもある)という現実もあり。

例:夫が若い頃、北京でツアーガイドのアルバイトをしていた時、ツアーにロックフェラー家の末裔の一人が参加していたそうです。ロックフェラー家といえばアメリカの名門一族(億万長者)ですが、この方の身なりは何十年も着ていそうなツイードジャケットに肘あてがしてあるもの、しかも博学で人柄が上品で話しやすく、とても良いお人だったそうです。


日本が戦後一気に経済大国になり、一億総中流となった時、パリのエルメスで買い物をしまくる日本人に対して、フランス人がnouveau richeとして嫌がった(現在は中国人がnouveau richeの代表格)のはちょっと過去のことになりつつありますが、一気にお金持ちになると、お金に対する教育に欠けていることが多く、注意が必要なのです。

とはいえ、私自身もお金に対する立場はなかなか複雑なので、ちょっと過去のことを書いてみます。

私は普通の家庭(会社員の父と看護師の母)に生まれ、普通に東京郊外で育ちました。何をどう勘違いしたのか若かった私はあまりよく考えることもなく、私立の医科大学(関東女子医大)に入学してしまいました。

入学初日、慣例でクラス全員100人の合宿で始まります。高校で運動部所属の私は合宿といえば、運動部合宿、つまり朝から晩まで汗水流している奴隷のようなイメージがあり、大学前のバスにはほぼジャージ姿で乗り込みました。指定された席に向かうと(アイウエオ順)(私の苗字は「や」)そこに山田さんが先に座っていました。私の座る席に、山田さんはカバンを置いていました。

LVのバケツ型

私に気づいたら普通なら「あ、すみません」と自分の荷物はよけるのが普通なのに、山田さん、私が「あの、ここ. . .」とおずおずと指摘するまで、このLVバケツをこれ見よがし(のように感じられた)に置いたままだったのです。山田さん、ギョッとするほど美人で、黒髪のワンレンストレートロングにフルメイク、膝丈のスカート、スラリとした足を組んでいました。その時の衝撃は今でも忘れません。

そうなんです。

今ではちょっと変わってきているのかもしれませんが、その頃、関東女子医大といえばお嬢様大学で、クラス100人の女生徒の>50%は実家が医者の娘たち。なんとも場違いな煌びやかな世界。みんなでお揃いのネーム入りジャンパーを作ろう>10万円徴収、みんなでフォトアルバムを作ろう>10万円徴収、買い物行こう>10万円みたいな感じで、全くついていけません。クラスに男子でもいればバランスが取れる(かもしれない)話題も、乗馬、ヨット、別荘、車、旅行(&高級ホテル)、コスメ、ときりがありませんでした。

何度も登校拒否になりそうでしたが、アルバイトしながら、その格差を埋めるのに必死でした。大学時代にアルバイトをして買ったものはブランド志向そのものであり、そういうクラスの他の子と同じ「階級」の一員であることを示す虚飾でしかなかったのです。

私には小学校に上がる前の6歳からの幼馴染で同級生の男友達兼ボーイフレンドがいました*が、大学卒業後、彼とデートをしていて、ソブラニーカクテルをふかしている私に彼は、「アゴにニキビできちゃって」と心配したのです。

タバコです

その時に虚飾に気づけばよかった。でも私は幼馴染の彼をそこで「大キライ!」になってしまいました。代わりのボーイフレンド探し、合コン(大学同士、サークル同士など数限りなくあった)、で、私の標的はお金持ちのおぼっちゃまですが、もちろんそういう人は私に見向きもせず、付き合ってくれる医者の卵ボーイズはなぜか2回目のデートで、「全然面白くない」人ばかり。超美人でイケイケの女医友と恵比寿にあるアイリッシュバーに逆ナンパをしに出かけた際に今の夫と出会った時にはまだ虚飾真っ只中でした。

夫は年の功ということもあったし、多分外国人的視点があるということもあったし、夫によるNew Money的なお金の使い方概念を覆す再教育が成功したのです。夫は好きなだけブランド物をみる買い物にも付き合ってくれたけど、本当にそれが欲しい?本当にそれが好き?それはどうして?の質問攻めで、「友達が持ってるから」「流行りだから」では納得してもらえず、それならこれはどうか、それならあれはどうか?それはどこの国で作られ、どんな歴史があり、どんな企業で . . . と、どこまでも広く深く他の選択肢を総なめで一緒に探してくれたのです。夫のことを面白いと思ったのはほぼ「興味ない=否定=知らない」と言うものがなく、ヨットであれ、軽井沢の別荘であれ、高級車であれ、シャネルのマトラッセであれ、ある程度の会話を持続することができるほどの知識を持っておくことは大事だと思うような人で、自分はそれを所有するほどのお金持ちではないと言うことは全く問題にならないし、それで引け目を感じることは全くないという(知識)自信家というところでした。夫は金銭的には貧乏だったけれど知識リッチだったのです。そして本当に好きなものは納得のいくまで吟味をして比較して熟慮して一番良いものを買う、そして売り手をタジタジさせるほどの知識・質問・会話で良好な関係を作り、値段を下げさせるのもいとわないのです。

私も今では、誰がどんな風にお金を使おうとも(高級車、ファーストクラス旅行、5つ星ホテルなどなど)全く引け目を感じることもなくなり、目を逸らすこともなく、やっかむこともなく、興味津々で目を皿にして見たり、耳ダンボで聞いたり、大袈裟にも卑屈にもならずに会話に参加したりすることができるようになりました。そして貧乏ではないけれどもお金はケチケチと1円でも無駄にしない心意気をいつも忘れません。

もし宜しかったら、お金の話、皆さんの感覚も教えてください。


*ちなみに、彼はいまだに私の幼馴染、同級生、友達、ボーイフレンドのまま繋がっています。昔タバコ吸ってたよねと笑われます。最後に会ったのは数年前、sakuさんが投稿していたこのお庭で、デートしました。

**固有名詞をわざと変えました。


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