見出し画像

地域の自然エネルギーを活用したまちづくり 地方再生に向けた岐阜県の取り組み

岐阜県高山市は、自然エネルギーの環境・観光都市づくりを目指している。木質バイオマスによる熱供給に取り組んでいる。高山市が隣接する郡上市石徹白(いとしろ)地域は小水力発電の先進地として有名だ。「清流の国ぎふ」なのである。同じく隣接する飛騨市は「広葉樹のまちづくり」を進めている。世界遺産五箇山・白川郷の地域資源を繋いだサクセスストーリーは、昨日紹介した通りだ。その他にも和紙や和傘、春慶塗など地域資源を活用した特色ある伝統工芸品に長けている。岐阜県には伝統的に地域資源による産業づくりのストーリーが溢れている。

岐阜県飛騨高山地域が長野県と県境を接する中部山岳国立公園には、焼岳の山麓に沿って奥飛騨温泉郷がある。蒸気泉もあり、地熱を利用したバイナリー発電の取り組みも始まっている。地熱を利用したスッポンやチョウザメの養殖事業もあるが、この地域資源を、一方で地域に豊富にある広葉樹資源と組み合わせた「自然エネルギーを活用した広葉樹のまちづくり」ができれば良いなと思っている。前述の未利用木質バイオマスを活用した薪ボイラによる温熱供給も可能だ。

何より優れているところは、地域の資源を需要と繋ぐために、飛騨高山には伝統的な木工や家具産業が現存することである。かつては周囲の広葉樹資源を背景に発展してきたが、近年はほとんどの家具材料を北米等からの輸入に頼っていると聞く。ウッドショックが叫ばれる今日、飛騨高山は、広葉樹資源の最上流に位置しているだけでなく、川中から川下のプレーヤーが揃っている。都会の需要と繋ぐことも、高速道路網が張り巡らされてきた今日では、そう難しいことではないだろう。

岐阜県には地域固有の天然資源をもつ中山間地域が多く、地域資源を繋ぐまちづくりを進める人々が集まってきている。日本の水源としてアルプスが聳え立つが、木質資源を基盤とすれば、エネルギーやマテリアル、食糧生産の各産業分野でも、名実ともに日本の川上となる日は近いかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?