見出し画像

CO2-食糧生産Cycle: 尿素の合成 カーボンサイクルテクノロジー(4)

未来の食糧生産を考えるとき、欠かせないものは何か?

水、土、太陽、二酸化炭素、酸素:光合成と呼吸に必要な原材料だ。生まれついての気性からか、自然に興味を持ち、勤めたのは製紙会社の原材料部の研究所、いつも未来の原材料のことを案じて生きてきた。今は家具メーカーで木材のことを心配している。(ウッドショックはいつか書きたいと思っています。)

さて、土の中には植物の成長に欠かせない必須元素と呼ばれるものがいくつかある。その筆頭格が窒素だ。窒素は光合成装置や酵素を構成するタンパク質の骨格元素の一つである。窒素と土中有機炭素量は比例するが(『森の土を未来へ繋ぐ』)、森林土壌が削られると窒素が少なくなるため、作物が育たない。そこで登場したのが「緑の革命」の主役、窒素肥料である。合成方法が確立したのは意外に遅く、1913年に尿素がアンモニアと二酸化炭素から合成できると発明され、その後工業化され急速に広まった。

近年、天然ガスを原料とした尿素製造が増大している。水素、窒素、二酸化炭素をつくり、次にこのうち水素と窒素をアンモニアプラントへ送りアンモニアを製造し、最後にアンモニアと二酸化炭素を尿素プラントへ送り尿素を製造する。

2NH3 + CO2 → (NH2)2CO + H2O

この二酸化炭素を、石炭(黒い石)や石灰岩(白い石)を火力発電所やセメント工場から大量に排出される二酸化炭素を回収して尿素合成に利用するというのはどうだろうか?CO2が食糧生産に循環されるのである。尿素は、中国やマレーシアから安価なものが船に積まれてエネルギーを使って輸入されている。今一度、国内での食糧の自給生産に、この炭素循環を考えても良いように思うが、どうでしょうか?(コメントで色々とご意見いただければありがたいので、よろしくお願いします)

ところで、尿素は水によく溶け、土の中でアンモニウムイオンと二酸化炭素に分解するであろう。二酸化炭素の一部は水に溶け炭酸水として植物の根を活性化することにも働き、場合によっては吸収され炭酸同化作用にも使われるかもしれない。いずれにしても、アンモニアの窒素にせよ二酸化炭素の炭素にせよ、元々は地球誕生の頃から、地球上のどこかに存在していたわけで、それが長い年月の間天然ガスなど様々な形を変えて地球のどこかに存在し、循環しているわけである。これを理解してバランスよく分配制御することができれば、それこそ「S D Gs」に貢献できると思うのである。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?