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CO2-微細藻類バイオ燃料Cycle カーボンサイクルテクノロジー(3)

微細藻類の仲間には、細胞内に炭化水素を貯め込むものがある。微細藻類をプールのような場所で大量培養し、この炭化水素を抽出して石油代替し、ジェット機などの液体バイオ燃料とする取り組みが始まった。

藻類は、太陽光と水中に溶けた二酸化炭素を利用して光合成により増殖し、余剰な有機炭素を炭化水素に変換する。ここで光が十分に届くのは水面直下であり、光合成速度は光量が律速要因となる。広大な面積のプールを用意し、培養液を循環させるのにはエネルギーが必要である。

もう一つの律速要因は、培養液中の溶存二酸化炭素濃度である。大気中の二酸化炭素分圧に比例するため、ハウス栽培のように培養槽の上部の二酸化炭素濃度を高めるのは現実的でない。そこで、石炭燃焼やセメント製造で発生する二酸化炭素を大気中に拡散する前に分離回収し、培養液の二酸化炭素濃度を高めるサイクルを考えている。ここでは、高効率・低燃費に溶存させる技術が求められるため、二酸化炭素の功罪(3)や(4)で書いた中空糸膜モジュールやpH調整技術が活かされることを期待している。

排出CO2量を削減し、新しいエネルギーソースを生物の力で創造することは、持続可能な環境社会を実現するために、本丸の取り組みであると思っている。

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