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A.R.E.

KuMA Advent Calendar 2023の13日目の記事です.


A.R.E.とは

今年の流行語大賞にも選ばれたA.R.E.とはAim,Respect,Empowerの頭文字をとった阪神タイガースのスローガンだ.

阪神の岡田監督は言葉を省略することが多く,「アレ」や「そらそうよ」といった言葉をよく使う.

そんな岡田監督はオリックス監督時代の2010年に交流戦優勝が近づいた中,選手たちにプレッシャーを与えないよう優勝のことを「アレ」と言い換え見事優勝を果たした.

そのことにあやかってか今年の阪神のスローガンになったのだが,もともと解説中にろくにチーム状態を知ろうともせず的外れなチーム批判をしていた岡田の就任に批判的だった私は,「アレ」と濁している時点でAimが定まっていない,OBへのRespectを求める前に選手や前任監督の矢野をRespectしろと思っており,スローガンにも批判的であった.


シーズン前の練習を見るため沖縄へ

私にとっての阪神

私は阪神ファンとして生まれてきた.何かファンになるきっかけがあったのではなく,当然のようにそう育てられてきたのだ.

シーズン中は朝起きてまずニュースのチェック,昼は選手の登場曲を聴きながら作業し,16時には公示の確認,17時過ぎにはスタメンを確認し試合に備える.18時からは中継を見て一喜一憂し,勝てばニュースを見ながら祝杯,負ければイライラしながら酒を飲んで忘れる.

シーズンオフの現在はニュースが少なくなってきているが,補強情報や契約更改などを楽しみに待ち,選手の成績を振り返ったり,動画を見直したりしてはニヤニヤしている.森下の逆転タイムリーは何百回見たかわからない.

一日の半分近くは阪神のことを考えて過ごしているが,そんな阪神が今年18年ぶりにリーグ優勝を達成し,38年ぶりの日本一になったのでその要因を語る.

東京ドームでの伝統の一戦

優勝できた要因

役割の明確化

岡田の就任に批判的であった主な理由としては,明らかに実力が伴っていない選手の重用をほのめかしていたこと,時代錯誤な発言が多いことだった.
しかし蓋を開けてみれば序盤こそ謎の采配が続いたものの,選手の実力をしっかりと見極めた適切な起用で,発言と実際の行動は全く違うものであった.

年寄りはいらない,外国人は多くても6人と補強に積極的ではなく,試合後挨拶の廃止,データの持ち込み禁止など前年と大きく変える要素が多く,シーズン前は不安な要素もあった.しかし一方で,守備位置の固定をはじめとした守備意識の改善,レギュラーと控えの線引き,盗塁等はサインで行うなど,積極性を重視した前政権とは違い,選手個人個人がプレーしやすい環境を作ろうとしていたことは感じられた.

まず大山,佐藤の守備位置の固定.これは前政権でポジションを試合ごとに変更されていたこともあり,守備の負担が大きかった分今年は打撃成績が上がったようにも思う.

そして中野のセカンドコンバート.ショートの候補は他に小幡と木浪しかいないため,山本,渡邉など候補の多いセカンドを空けたほうが良いのではと思っていたが,木浪が定着し大成功であった.木浪は送球面で中野よりも優れていたため,併殺が増えるなど大きく守備は改善された.

控え選手には左右の代打として糸原,原口,状況に合わせた代走として島田,熊谷,植田が起用された.前年度までスタメンとして出ていた選手も多く難しい状況だったと思うが,それぞれの役割を果たしてくれた.

先発は村上,大竹,伊藤を柱に,適度に休ませながら運用したことでシーズン通してクオリティが高かった.忘れてはならないのが中継ぎ陣の活躍だ.岡田監督は継投のタイミングが早く,長いイニングであれば桐敷,ピンチでは島本,8回には相手に合わせて岩貞,加治屋,石井などを使い分け,9回には守護神岩崎と盤石の体制であった.

打線に関しては近本,中野が出塁し,ルーキーながら勝負どころに強い森下,岡田がチームの核として4番に据えた大山が返し,佐藤,ノイジーが続くというまさにになっていた.下位打線も繋ぎのバッティングができる坂本,自ら出塁しランナーも返せる木浪と相手投手に休む間を与えなかった.

役割を明確にし,それぞれがやるべきことをこなしたからこそこの結果が生まれた.

優勝へのマジックが再点灯した試合

四球

岡田の功績としてよく挙げられるのが,四球の査定を上げたということだ.
確かに出塁という点では四球はヒットと同じである.上でも述べたように積極性を重視する前政権では必然的に四球は少なかった.

今年は近本,中野,大山の四球数が激増し,大山は最高出塁率のタイトルを獲得した.ソフトバンク近藤からの影響や本人の成長ももちろんあるだろうが,チームの戦略として機能していた.

これは投手にも言えることで,コントロールの良い阪神投手陣をフレーミング技術の高い坂本が受けるということもあり,四球を出して自滅をするということは殆どなかった.

スカウティング

阪神の現在の主力はほとんどが生え抜きの選手である.主力となった大山,近本,佐藤,森下のような能力の高い野手を1位で獲得し,育成力の高い投手に関しては上位だけではなく村上,岩崎,石井など下位で獲得した選手を育てるといった戦略を行っているように見える.2016年から3年間監督を務めた金本,2019年から4年間監督を務めた矢野が将来を見据えた指名を続けてきたからこそ,そして何より素晴らしいスカウト陣のおかげでこのメンバーが揃ったと言える.

人気選手,ロマン枠の放出等

人気選手や一芸に秀でた選手,実績のある選手は実力にかかわらず起用されやすい.そういった選手が様々な要因でチームから離れたことも,選手起用の上で良い効果があっただろう.

ムード

金本監督が就任した2016年,超変革をスローガンとして積極的な若手起用を行った.その代表的な選手が,今年7月に脳腫瘍で亡くなった横田だった.横田は高卒3年目でこのシーズンを迎え,オープン戦で.393もの高打率を残し開幕スタメンに選ばれるなど将来を期待されていた.

そんな横田の追悼試合として行われた7月25日の巨人戦,ここから阪神の勢いがさらに加速したように思えた.ベンチでは糸原と原口が,ブルペンでは岩崎と岩貞が常に良いムードを作ってくれていた.チームの中に状態が悪いからと勝手にマウンドを降りたり,試合に出られないからとふてくされたりする選手は誰一人としていなかった.

チームが勝っていたから雰囲気が良かったのかもしれないが,チームのムードが,そして横田が後押ししてくれたのは間違いない.

日本シリーズ第1戦

連覇に向けて

昨日,2024年シーズンの新しいスローガンが発表された.

A.R.E. GOES ON

再び岡田監督がよく使う「おーん」といった相槌にかけたものだろうが,連覇に向けて突き進むようなスローガンとなっている.では連覇に必要なものはなんだろうか.投手陣に関してはここ数年ずっと安定しているため,多少不調の投手が出ても問題ないだろう.野手陣に関しては主力と控えの差が大きいため不安な部分がある.それらも含め気になる点を挙げる.

選手特性の把握

岡田監督はその場その場の采配は素晴らしいが,監督1年目ということもあってか選手の特性を活かしきれていないのではと思うことも多い.シンカーが良く左打者が得意な石井を右打者に当て続ける,左投手が苦手な原口を対左の代打として起用する,ライトの守備は上手いもののレフトの守備が不安定な島田をレフトの守備固めとして使う等々.当初先発で起用しようとしていた岩貞を中継ぎに戻したり,木浪に休養日を設けたりするなど,時間が経過するにつれ変化している部分も多いので来年に期待したい.

守備

岡田によって守備が良くなったとよく言われているが,今年の阪神のエラー数はセ・リーグ最多である.勝負どころでのエラーは少ないという主張をする人もいるが,日本シリーズ第5戦の中野と森下のエラーのように,結果として打ち勝っている,もしくは抑えているから目立っていないだけなのだ.もちろん守備範囲や球場の影響を考えると決して悪くはないのだが,佐藤の悪送球や小幡のイージーミスなどが減れば,更にチームは強くなるだろう.

若手の台頭

今シーズンのチーム編成としてはショート,ライト,レフトが空いており,そこを争うという形で開幕した.個人的に佐藤のサードは不安であり,外野を2つ空けるというのは難しいとも思ったため,ノイジーをサード,佐藤をライトにして,ノイジーが悪ければサードには糸原や渡邉を起用したほうが良いのではないかと考えていた.佐藤のモチベーションの問題もあるのだろうが,この編成の大きな理由としてはプロスペクトが外野に多いからだろう.実際今シーズンも森下を始め小野寺,前川などが活躍し,次世代の選手として野口,井坪らも控えている.日本シリーズ最終戦で先制3ランを放ち英雄となったノイジーだが,シーズン成績は良くない.この両翼を若手が埋められるようになってほしい.

もう一つ若手が出てきてほしいポジションがある.キャッチャーだ.今シーズン坂本はゴールデングラブ賞を獲得した.2年前,優勝が絶望的になったタイミングで起用され始め,素晴らしいリードでチームを引っ張った.優勝には届かなかったが,今後優勝するなら間違いなくそのときのキャッチャーは坂本だと確信していた.そんな守備に優れた坂本だが,打撃成績は悪く来年31歳とこれ以上の上積みはあまり期待できない.近年,キャッチャーは併用がメインになってきている.坂本に打撃で差を作れるよう,榮枝,藤田,中川らに期待したい.

私の部屋
優勝記念グッズに5万円程使った

おわりに

KuMAの活動に一切関係が無く,誰の得にもならない記事ではありますが,もしここまで読んでくださった方がいれば少しでも阪神,もしくは私を知ってくれたのではないかと思います.
時間に余裕があれば,来週は世のため人のためになることを書きます.

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