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トレーニングの干渉作用

皆さんこんにちは。ジムトレーニング担当の鈴木です。

今回から、「トレーニングの干渉作用」をテーマに数回にわたりお伝えしたいと思います。

球技系のスポーツでは、10㎞ほどの走行距離を移動する持久力と、スプリント、ジャンプ、タックルなどのパワーも必要とします。持久力に加え、爆発的なパワーや筋力のどちらも求められます。陸上でも、400mの選手は特に、スピードも持久力も必要なのは言うまでもないでしょう。

そして、どちらの能力(筋力&持久力)も高めようと、複数のトレーニングを行った場合に、別々にトレーニングを行った場合よりもトレーニング効果が減少してしまうという研究や報告があります。これをトレーニングの干渉作用と言います

1980年に行われたある研究で、アスリートを「筋力トレーニングのみ」「持久トレーニングのみ」「筋力&持久トレーニング両方」の3グループに分け、10週間のトレーニングを行いました。
当然、筋力トレーニングのみのグループでは筋力が向上し、持久トレーニングのみのグループでは持久力が向上しました。しかし、両方トレーニングしたグループでは、筋力トレーニングのみよりも筋力の向上幅が小さく、持久力向上は持久トレーニングのみよりやや小さい、という結果になりました。この研究を皮切りに、干渉作用に関する多くの研究がなされています。そんな中、最近の報告では、干渉作用による原因や特徴が以下のようにまとめられています。

~干渉作用についてのまとめ~
1 持久トレーニングは、筋力、筋肥大、パワー向上を阻害
2 持久トレーニングの頻度や時間が長いほど干渉作用の影響がでる
3 筋力トレーニングの持久力への干渉作用の影響は小さい(大きな体重増加がない場合)
4 トレーニング初心者では干渉作用が影響しない場合があるが、競技歴が長く、競技レベルが高いアスリートほど干渉作用が大きい。

このように同時に筋力、持久力を向上させるというのは、難しいことがわかります。特に、持久トレーニングが、筋力向上に干渉する傾向が高いです。④の特徴があることから、トレーニングを始めたばかり、もしくは学生などの育成年代については当てはまらないこともある為、走り込み&筋トレで能力が向上することがあるかもしれません。しかし、競技歴が長くなっていっても、その経験をもとにトレーニングを続けていると、パフォーマンスに変化が見られないという状況になるでしょう。

ピリオダイゼーションでもやるべきトレーニング段階を踏む必要性をお伝えしましたが、それと同じような考えで、今は持久力を高める時期、今は筋力を向上する時期、というようにある程度メリハリをつけることが大切といえるでしょう。

次回は、筋力を向上させながら持久力向上が難しい理由についてお伝えしたいと思います。

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