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ヒプナゴジア,ヒプノポンピアで見た幻視/スピリチュアル・リーディングとの違いは/ "怖いこと言われそうで怖い"地上の女神たちへ

皆様、お元気でいらっしゃいますか。久々の更新です。センシティブなテーマを扱う数話分をまとめて掲載しています。初期の恋愛系マガジン読者様向けの内容です。ふと見つけてしまったかた、応援スキだけでも励みになります💜またTwitterでお会いしましょう。




(前回『置かれた言葉はタロットのように/自分のことが書かれている気がして/ スピリチュアル・リアル』の続き↓)




私に出来ることと、クライアント様が必要としていることの交わるところには何がある?

スピリチュアル。・・・私はメディアを賑わすような派手な魅せ方は持たないけれど(そもそも酷く内向的で人前で話すことが苦手)、今マイナス100の位置にいると感じる女性の心が、マイナス50やゼロ、プラス1になるお手伝いを担わせていただけるのではないかと、どこかで感じていました。そしてそうさせていただこうと、宇宙や神様に立候補し続けたのです。

不調のときに見る夢と,ヒプナゴジア,ヒプノポンピアでの幻視,ばらばらの自己

あれはいつのことだったでしょう。今の仕事を始める前だったので、20代半ばより前だったことは確かです。既に働ける年齢ではあったものの、家から出るエネルギーが残っていなかった私は、充分な医療を受けることも出来ず体調が悪化、精神的にも極限状態に近付いていました。

夜眠りにつくと、ヘリウムの入った風船みたいに私の体だけが上空に浮かび、地面からどんどん離れていってしまう夢を繰り返し見ていました。酷い不調の際に決まって見る夢です。夢の中で私は「このまま上空へ昇ると死んでしまう、魂があの世に行ってしまい、肉体に帰れなくなる」と感じており、ぐっと堪えて地上へ戻ろうとします。

この繰り返す夢のうち大半は、これは夢だと気付ける明晰夢で、私は早く起きよう起きようとするのでした。悪夢から覚めてそのまま再び眠りにつくと続きを見てしまいがちなため、深夜であっても起きていようとします。

全く眠れない訳ではなく、起きては過食し過食に疲れては眠ることもしばしばで、今思えば血糖値も普通じゃなかったのかもしれません。とうとう私は、寝入りばなヒプナゴジア目覚めヒプノポンピアの際、入眠時幻覚(hypnagogic hallucination)といわれるものを見る程になってしまったのです。

入眠時または出眠時の半覚醒状態になると、部屋に掛けてある自分の衣類のシルエットがゆらりと歪み、恐ろしいことにいつも必ず「天井から吊り下げられた私自身の体」の姿に、見えてしまうのです。

「これは私だ。いや違う、掛けてある洋服だ。ちゃんと目が覚めて!でもどうしてこんなに生々しく私の姿に見えるの?もしかして本当に死んでしまったの?違う、早く起きなきゃ!」

しかし何度起きあがろうとしても、肉体は横たわったまま意識だけがすうっと幽体離脱のように持ち上がり、肉体はついて来ないのです。私は腹を括り、本当は恐怖で目を逸らしたい、その生々しく吊り下がった目前の人影を敢えて凝視しました。

「あれは掛けてある洋服だと分かっていても、どうしても私自身の姿に見えてしまう。そしてとても怖い。これが幻視というものなの?」

恐ろしさの中にも、冷静さと、どこか懐かしく悲しい、温もりのある感情があることに気付きました。可哀想に、私。こんな姿にならないと自分を愛せないなんて。否、まだ死んでいないわ。少しでもいいから治療を受けようと観念し、残り僅か数千円となってしまった現金を持ち(とうとう過食さえ出来ない)、何とか起きることが出来た平日の朝、これまでも受診したことのある心療内科クリニックを訪ねました。

私の主訴を聞いた医師は終始飄々としており「幻覚は基本的に自分で幻覚って気付かないんですよ。あなたはおかしくなんてありません」とニッコリ。私は「そうなんですね」とほっとしたそぶりを見せました。本当はネットで調べてある程度知っていたのですがそれは口に出さずに。

「軽い安定剤を出しておきますね。寝る前に飲んでください。洋服は見えないところに収納するといいですね。はい、今日はいいですよ」

帰り道は、行き道よりもっとつらくてふらふらになり、世界は分厚い透明の膜を張り解離していました。お金がない、どうしよう。医者はお金持ちで収納スペースも多いんだろうな。先生、希死念慮のせいか、魂と肉体がずれている感じがしてきついんです、ともう一人の私が出て来ます。今頃。

あのクリニックにもカウンセリングはありました。一人の臨床心理士は、スラリとした大変美しい女性。「私もなりたい仕事に就けなくて、拒食と鬱になったことあるんです」と微笑まれました。「仕事って、もしかしてモデルですか?」と私。当てられて嬉しそうな彼女。「身長が足りなくて、」と、彼女は打ち明け始めました。

もう一人の心理士さんは、母より年上の女性。「あなた、まだ若いから大丈夫よ。私の半分も生きていなんだから。心療内科なんて、私たちが若い頃はなかったのよ。あなた、お子さんは?結婚もまだなの?いくらでもやり直せるわよ。うちなんて、」彼女のお話を聴いては頷きました。

こうなる原因は、人の心を勝手に読み頼まれてもいないのに喜ばれようとする、ややこしい思考パターンを持った私側にあるのは分かっています。でも今は、私のせいで人が不快になるのは見たくなかったのです。それにしても、深読みしても大きくは外れないこの特技、実は占い師に向いているのでは?でもそんな超マイナーな職業はまず無理、スクールにすら通えないから、なんて自虐的に考えていたのでした。

こんなスピリチュアルが普通ならば、私はスピが嫌いだ。ヴィジョン・リーディングの光景は

処方された安定剤を飲んでも効くどころか目が冴えてしまったその夜、私は眠ることを諦め、インターネットの中で救いを探していました。そこで辿り着いた霊感占い師さんに、勇気を出して相談メールを送信したのです。

彼のサイトは「駆け込み寺」と銘打ってあり、「お気軽にご相談ください」と目立つところに記されていたので、きっと何らかの道が開けるのではないかと信じて。

「恋愛も健康も何もかも上手くいっていないが、経済的に厳しくて占いを受けることができない。何かアドバイスをいただきたい。お金が入ったら正式に申し込みます」という恥ずかしい内容でしたが、私は至って本気でした。返事は、直ぐに届きました。

夜も働いているのかな!ああ、まさに駆け込み寺って感じ!

ドキドキしながら開いたメールでしたが

「大丈夫!生きてるだけで丸儲けですよ!頑晴れ!ご連絡有難う御座いました」

とだけ。

翌日、更新された彼のブログは「幸せになりたいなら、まず与えなさい」というタイトルでした。

”最近、自分が奪われることには敏感で、人から奪うことには鈍感な者が多い。奪うというのは金銭だけではなく、時間や労力もだ。近年流行っている若い女性の摂食障害は、奪い過ぎの病である。食物や親、生かされていることへの感謝が足りず、真実の自分に見合わない見栄を張りすぎた結果、自然のサイクルから外れた。神からの警告だ。しかし救いはある。有料メンバーになると、神から私だけに託された秘密をお教えします!入り口はこちら”

私は絶句しました。すごい書かれようだわ。「真実の自分に見合わない見栄」か。はは、虐待されていることを隠して生きて来たのは見栄?まあ確かに、普通に見られたいという見栄かもしれないけれど。

「お気軽にご相談ください」というのは、あくまで有料サービスの申し込み前提なのね。正直、このブログ、霊感商法ですよね。時代は平成なのに。

スピリチュアルって、霊能力って何?言った者勝ちの世界?こういうのがスタンダードなスピリチュアルならば、私はスピリチュアルが嫌いだ!

スピや占いに傾倒した人たちに特有の、妙に悟ったふうの語りも白々しく見えてくるわ。そしてね、高額サービスの利用者だけが受け取れる神様の言葉って・・・。少なくとも私は好きじゃない。これで救われる人もいるのかもしれないけど、私は違う。じゃあ私は、どんなスピリチュアリティを求めている?

胡座の姿勢を取り、瞼を閉じます。

何もしていなくても朝起きた瞬間から酷くつらいのは、抑うつ状態のせいかもしれない。そして本当は人の批判をしたい訳でもない。自分が「快適」と感じる範囲が狭くなっているのは分かってる。

ふぅぅっと深いため息をつきます。雑念は宇宙に昇華します。目を閉じた中、私をぐるりと包む空間。電球の残像が消えるのを静かに待ちましょう。

ふいに、ざざざーっと明るいグリーンの草原が現れました。奥行きのあるパラレルワールド。ちらほらと黄色・白・赤・紫などのお花が揺れています。風に乗って届く草の香り。鳥の囀りはとても近い。素足で踏む温まった地面。近くには小川。

なぜ私たちは、自然に触れると癒されると知っているのでしょう。気持ち良いから。その刺激はとても穏やかで依存がなく、だけど時にはっとさせられることも。ああ、私のヒーリングもそんなふうでありたい。

次に、薄紫の花たちがひらりはらりと私の周りを囲みました。その流麗さは、幼少時代に憧れた新体操のリボンさながら。場面が変わり、沢山の書物が置かれた部屋で猫を撫でる少女。彼女がこちらを振り返ると、それも私でした。イマジネーションの世界は、いつも神秘的なメッセージを送ってくれます。読み解くのは、私。

これは幻視や妄想ではなく、鮮やかなエネルギー・リーディング、ヴィジョン・リーディング。

(作者注。以下は更に重め。必要な方以外、読み飛ばし推奨です)

子を堕した彼女,麻酔から醒めるときの幸福は,オレンジカルサイト

「水鏡先生、私、お金がなくて。少ししかお話出来ないです。あと、こういうの初めて使います」

過去を振り返り深い瞑想をした翌日に迎えたお客様は、あの頃の私にどこか似た気配を持つ若い女性でした。私たちは引き寄せ合ったのでしょう。

「先生のブログ、いつも読んでます!ブログを見て電話しました。あの、やばい悩みだけどいいですか」

「勿論、私でよろしければお聞かせください。ブログを見ていただけてとっても嬉しいです」

「私、今日彼氏の子供を堕ろして帰ってきたんです。手術が終わった後、目を開ける前に気付いたんですけど、誰かがずっと手を握ってくれてたみたいで。大きくてあったかい手。彼氏の訳ないし、あ、妊娠が分かってから音信不通なんで。院長先生は忙しいから付き添っている訳ないし。それで少しずつ麻酔から醒めていくと、その人、消えていったんです。手の感触がはっきりあったので、夢じゃない気がして。あれは天使だったのでしょうか。守護天使ってやつですか?手術を受けるまで死にたかったのに、起きたら久しぶりにスッキリして幸せな気持ちだったんです!悪霊が取れてまさに目が覚めたみたいな。あ、子供が悪霊という意味ではないです、ホントに。で、クリニックのお会計のとき、院長先生がプロデュースした化粧水までもらったんです。サンプルとかじゃなくて普通のサイズでエステにあるみたいなやつです。めっちゃラッキーじゃないですか?池袋のーークリニックです。早口ですみません。お金がないので、占いはすごいコンパクトにお願いしていいですか?ブログに書いてあった波動修正もヒーリングもお願いしたいです」

彼女は泣いていました。

全身麻酔から覚醒する際、幻視のようなものを見たり、夢か本当か分からないような体験をする人もいることを私は知っていました。私自身、麻酔からの覚醒時に、やけに爽快で多幸感を覚えたこともありました。元々体が弱かった関係で、手術後の回復室も何度か利用し、手術を終えた人が麻酔から醒め切る前に寝言やうわ言を言っていたり、時にせん妄を起こす様子も何度か見ていました。

かといって限られた時間の中で、彼女にこれらを伝えてどうなるでしょう。ましてや「お金がないので占いはすごいコンパクトに。波動修正もヒーリングも受けたい」というご依頼に「幸せになりたいなら、まず与えなさい」と説くような場面でもありません。

私は涙を流していることを悟られまいと、落ち着いた声で伝えました。

「それは〜〜さんの守護天使で間違いないと思います」

「ああ、やっぱり。看護師さんが、寝ごと言ってたけど夢見てた?もう少し休んで行かれますかって心配してくれたんですけど、体が軽くて、帰りに安い定食屋さんでご飯食べて来ました。ノーメイクだったんで駅のトイレでちょっとメイクして。元気過ぎて笑っちゃいます。気付いたらそのお店、全員男性客だったんです。サラリーマン風の。メイクしてよかった。天使が、世の中には頑張ってる男の人も沢山いるって教えてくれたんですかね。元彼、働いてなかったんで。あはは、言えば言うほど虚しいですね」

「"頑張っている男性"は、あなたのような優しい女性に出逢いたがっていますよ。ご飯食べれてよかったです。あなたは今とても守られていて、天使だけでなく、ご縁のある守護霊さんや精霊さんが総出なのでしょうね」

「ホントですか。すごい」

「少しずつ、その光が肉体に届いているんですが、傷付いたエネルギーの修復は、今後もじわじわと続きます。急に落ち込むことがあっても焦らないでくださいね。ゆっくり休める時間を取り、横になってでもいいので、守護する方々が放つエネルギーにアクセスしてください。強く念じなくて、軽く共鳴するようにしてくださいね。守護してくれる石はオレンジカルサイト。なければ、暖色系の物を身に付けたりオレンジの光に守られているイメージをするだけでも構いません」

私の話の途中で彼女は、先程とは全く異質の、酷く暗い声を発しました。

「先生、私、バチが当たりますかね。自分の赤ちゃんを殺した人殺しですよね」

(彼女が一人きりになったときに思い詰めるだけでなく、ここで話してくれてよかった・・・)

「大丈夫、バチなんて当たりませんよ。私はあなたの幸せな未来を確信しています。ご事情がおありだったのでしょう?じゃないとそんなに苦しみません。こうやってお話してくださり、ありがとうございます。ご自身の心身を大事にして、繰り返さない様にして欲しいと天使も聖霊も願っています」

「天使と聖霊」

「私も願っていますよ」

「でも優しくしてくれるのは、こっちがお金払っているからでしょ」

「あなたの貴重なお金を使っていただき、私に胸の内を打ち明けてくれたあなたに感謝し、心から幸せを願うのは変ですか?」

彼女はまた、泣いていました。

まもなく時間は終了し、私も言葉足らずで、どこかやけくそになってしまったことを恥じ反省しましたが、直ぐに評価の欄に満点の星と「ありがとうございました。救われました。新しい彼氏ができたら報告します!」と書き込みがあり、救われたのは私だと涙しました。

一通りお礼を書いたあと、「毎週木曜日に、ご縁のあったかたへ一斉ヒーリングを始めました。〜〜さんもよろしければ受け取ってくださいね」と書き加えました。

本当は毎日お祈りしているのだけど、明日が木曜日だったから。何の予定のない日でも、電話で繋がっていない明日も来週も、彼女や他のクライアント様が、少しほっとするきっかけとなればいいなと・・・。

もう怖くない,でも怖いこと言われそうで怖い彼女たちへ

彼女からはその後、SNSを通してご連絡がありました。あの約束を律儀に守ってくれたのです。「彼氏が出来た。沢山働いた日は、寝る前のほんの1分くらい、彼氏や仕事の仲間が呼ぶ声がこだまして賑やかだ。怖くはない。手術の日に見た天使と彼氏が重なるヴィジョンを見た。でもあの日見えた天使は幻覚だったのかなと思う。病院に行ったら怖いこと言われそうで怖い」とのこと。

私は医者じゃないけれど、私もそういうのあります、入眠時心像かもしれない、眠る前に脳が情報を調整してくれているのだと思う、気になるときは心療内科に相談するといいですし、そこまで怖いことは言われないのではないかなと伝えました。そして、ご連絡いただきありがとう、心から嬉しいです、どうぞお幸せにとも伝えることが出来ました。

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