ハルキ文庫

「何か書きたい。」そんな笑っちゃうくらい幼稚で純粋な気持ちに駆られて始めました。実体験…

ハルキ文庫

「何か書きたい。」そんな笑っちゃうくらい幼稚で純粋な気持ちに駆られて始めました。実体験をフィクションとノンフィクションの両面で表現してみようかなと思います。(関東在住40代会社員)

最近の記事

真夏のこごえ 3

ヴゥーン… 真夏の密室を急速に冷やそうとエアコンがフル稼働する音がやかましく鳴り響く中、男女が口づけをしあう艶めかしい音が響いている。 僕と優香は先ほどまでの、重苦しい空気が嘘のように、互いを求め合いうように口づけを交わしていた。僕は優香を抱き起し、ベッドの上で互いに向き直り、僕は優香の顔の輪郭を両手で支えるように手を添えて、夢中で優香の口をむさぼった。口を離すと、絡み合う舌は糸を引き、優香の薄目が怪しく光ると、僕はまた口づけをしながら、そして、自身の服を脱ぎだした。

    • 夏夜のこごえ 2

      物語は最後の盛り上がりを見せる場面に突入していた。 赴任先で婚約者とは別の女性と、情愛と淫蕩に溺れる日々を送っていた主人公が、人生の晩年に、自分が愛したヒトから届いた手紙を読むシーンだ。 だんだんと引き込まれていき、次の文へ次のセリフへと駆り立てられるように、僕は文字を目で追う。 電車に揺られ、雑踏が騒々しく、窮屈に身を屈め、そして座り心地の悪い椅子に腰かけさせられても…群衆の中で自分の陣地を得て、周囲に見えないバリアを張り巡らせているような気分になれるからか、僕は電車

      • 夏夜のこごえ 1

        日記とか、体験談とかを書かなくなって、もう10年くらいになるでしょうか。 何年か前から、ふと、文章を書きたくなる衝動に駆られたことはあったのですが、その度に結局、億劫になってやめてしまっているというのを繰り返しておりましたが、ようやく時間に余裕ができたっていうのと、何せこのむせかえるような夏の匂いに中てられて、久しぶりに(性懲りもなく)書いてみようかなって思った次第です。 とはいえ、ずいぶんと間も空いて、書く中身にも自信がないので、できるだけひっそりと、再開したいっていう

      真夏のこごえ 3