ムーンライトながら
https://www.tetsudo.com/news/2398/
東京から名古屋の先の大垣までを結ぶ「ムーンライトながら」号という夜行列車があった。繁忙期の一部だけ走る臨時列車で、コロナ禍の影響で昨春から運休していたものがいよいよ「3月のダイヤ改正以降運行しません」というアナウンスが流れた。
青春18きっぷとセットで語られる列車であり、条件の良さからコミケ戦士たちの御用達でもあった列車が過去帳入りする。
https://twitter.com/Namba_NIT/status/1352586997026623488?s=20
このニュースに際して思うところはまさにこのtweetの通りだし、ここから先に書き連ねることも変わらないので、あまり興味のない方はブラウザバックで問題ない。
ここ数年は3月号の時刻表で1年をやり過ごすことが多かったので、時刻表を開けば必ずその名前が載っていたし、実行するしないにかかわらずプランニングは常にしているのである程度意識にも上る列車ではあったけど、twitterアカウントを開設した2009年7月以降に乗車した記録がなかった。
最古で2010年のものが入っていたきっぷボックスを掘り返してみても、青春18きっぷは多々あれど、ムーンライトながらの指定席券は出てこなかった。
ということは、あの列車を使っていたのはほとんど高校生の時のことになる。青春18きっぷを初めて使ったのが2005年の夏だったからそんなに長い期間お世話になったわけでもないようだ。もはや最初がいつどのような行程だったのかもすぐには思い出せない。
年明け早々、夜に家を出て小田原から自由席扱いになる7号車の運転台横で夜明かししたのが一番印象深い。この時は名古屋で降りて伊勢に向かい、初詣もそこそこに当時好きだった「半分の月がのぼる空」というライトノベルの聖地巡礼をやったのだった。
これが2006年のことなので(mixiを漁った!)、ムーンライトながら遍歴のごく初期の方の出来事だと思う。指定席にありつけなかったのはこれが最初で最後だった。
思えば西の方にはそんなに縁がないので、乗っているつもりで乗ってない列車だった。それでも、「自分の座席がない状態で夜明かし」というのは貴重な経験で、これに比べたらそのほかの夜行は「座れるだけマシ」、「横になれるなら文句はない」と思えるようになった。
そうはいっても、携帯は充電したいし、それなりに年を重ねて(もう10年分積んでる)多少身だしなみにも気になりだしたりで、自然と選択肢から外れていたのかもしれない。加えて、青春18きっぷ期間外でも昼間に鈍行乗り継ぎを選択することがあるくらいには昼間の東海道筋が好きというのもある。これは今でも時間が許せばやる。
ムーンライトながらに限らず、辛うじて定期運航を維持しているサンライズも含めて(最早これしかないが)一般的な旅客列車として運行される夜行列車は特に設備面において現代が求めるニーズに応えきれていないという現実はある。この列車は若干の時代のいたずらが作用しつつミクロにもマクロにもベストなタイミングで運行を終えることとなった。
さようならムーンライトながら。たとえ存続してももう乗らなかったであろう列車が、昨今の例とは違って終わりが明示されたことを嬉しく思う。
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