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労務管理に求められるデザイン性

北都システムの城内です。
最近入ったばかりの労務コミュニティTERAKOYAのAdvent Calendarに参加してみようと思い立って、急にnoteを立ち上げています。
noteの使い方も、書くネタも定まらないまま、書き始めています(笑)
労務 Advent Calendar 2021 の 19日目です。

日頃は、総務部長として、総務・人事・情報システムの統括マネージャーを担当しているので、カバー範囲が広い方ではあるのですが、そのなかでも「労務管理」のジャンルは実務経験が長い方です。

長年の経験から、労務管理はデザイン性が問われる仕事だなと感じることが多いので、今回取り上げてみます。

労務管理の"デザイン性"って何?


こんな言い方する人、いないですよね?
私も、いま思いつきで書いたのでw

労務管理は、勤怠管理・給与計算・社会保険・福利厚生・安全衛生といった企業において欠かせない業務領域になるわけですが、基本的には、法律の定めに沿って、漏れなく手続きを進めたり、逸脱しないように管理するのが主たる役割です。

それと並行して、従業員が働きやすい会社づくりを進めていくために、さまざまな勤務体系、休暇制度を検討するセクションでもあるわけすが、ここで「法律を守ること」と「働きやすい制度」の両立が必要になってきます。

この「制度設計上の工夫」を上手に組み込めるかどうかで、労務管理の効率が大きく変わってくる、ということを”デザイン性”と表現しました。

「社労士=働きやすい制度づくりのプロ」ではない


実は、この制度設計上の工夫を学ぶ場が意外とないのが、労務管理の世界。
いろんな会社で働く総務人事の皆さんは、みんな手探りでやっています。

社会保険や労働管理のプロである社労士さんに相談する場合、
「こういう制度を作りたいんですけど、法律上、問題ありますか?」と聞き
『違法になっちゃうよ』『それは給与課税だよ、社会保険の報酬だよ』といったジャッジをしてもらっていることが多いです。

ジャッジはしてもらえるけど、私たちが期待する答えとは限らない。
「結局、どうすりゃいいの?」は我々で知恵を出すしかない。

法律上はクリアになっても、制度としては中途半端な効果になっちゃう。
あるいは、やりたい制度のままだと、法律上の管理が煩雑になっちゃう。
この両立にアタマを悩ませているのが、総務人事の皆さんなんです。

一例として、年次有給休暇を取り上げてみますね。

初年度の有給休暇付与タイミング


皆さんの会社では、入社初年度の有給休暇付与タイミングはいつですか?

・法律どおり、入社6か月後に10日付与
・試用期間を経て、入社1〜3か月後に10日付与
・試用期間を経て一部(例えば5日)を付与、6か月後に残りを付与
・入社したその日から10日付与、という会社もあると思います

ここに「年5日の有休取得義務化」が入ってきました。
有給休暇が10日以上付与される従業員が、取得義務の対象となります。

・法律どおり、入社6か月後に10日付与
 →4/1入社であれば、10/1から1年以内に5日間の取得が必要

・試用期間を経て、入社1〜3か月後に10日付与
 →4/1入社、試用期間3か月であれば、7/1から1年以内に5日取得

・試用期間を経て一部(例えば5日)を付与、6か月後に残りを付与
 →4/1入社であればトータル10日付与となる10/1から1年以内に5日取得

・入社したその日から10日付与
 →4/1入社であれば、4/1から1年以内に5日取得

毎年4/1を基準日として、4月〜翌3月の1年間で有給休暇の更新管理を行っている会社でも、初年度の5日取得義務化は対象期間がバラバラです。

「佐藤さんは、5/1入社で、11月付与から10月の間に5日間で」
「高橋さんは、8/1入社で、2月付与から1月の間に5日間で」
ややこしい〜ってなりませんか?(笑)

結果、私の会社では、どんどん前倒し付与になっていきました。

【だいぶ昔】入社3か月後に10日付与
      (慣習的な試用期間終了後の付与ルールでした)
【前回まで】入社日に3日付与。3か月後に残り7日付与
      (入社直後の大型連休でも休みが取れるように3日前倒し)
【現  在】入社日に10日付与。4〜9月入社は10日。それ以降は5日付与
      (取得義務化を受けて、入社日に10日付与しちゃうことに)

5日取得義務のチェックも、ざっくり運用です。
「年度の途中で入社した人も、10日付与の人は3月までに5日取ろう」とし
一応、5月〜9月の例外メンバーだけ、多少気にする程度にしています。

入社直後に付与して、もしも短期間で退職されたら付与しすぎでは?
という心配もあるでしょうけど、そこは管理上割り切っちゃうことに。
従業員としても、前倒しで付与されることはウェルカムですしね。

こうやって、法律が変わるたびに休暇制度のアップデートを繰り返して、法律を守るとともに、管理の手間が増えないように、従業員にとって使いやすい制度になるように、デザインを都度見直しています。

新型コロナウイルスで、ワクチン休暇を導入した会社も多いと思いますが
「ワクチン休暇は、接種日だけにする?副反応は何日までにする?」
「あまり特別休暇増やすと、今年の有給休暇取得率下がらないかしら?」
「でも、全社員に有給休暇で追加付与すると、打たない人の残日数は?」
みたいなことも議論されたのではないでしょうか。

自分たちの会社にとってのベストプラクティスが難しいんですよね。

労務管理って大変なのよ


皆さんが思っているほど、労務管理の仕事は簡単じゃないのよ。
法律を知れば知るほど、迷宮入りしてしまうこともあるのよ。
ということをお伝えしたかったわけです。

労務コミュニティTERAKOYAは、iCAREの佐川さんに紹介してもらいまして、それも、佐川さんがtwitterで困っていたのを私が見つけて、ちょっとしたアドバイスをしたことがきっかけでした。

労務管理は、本当に、こういう助け合いの場が重要です。
TERAKOYAのなかで、少しでもお役に立てるよう頑張ります。

健康経営の電子書籍リリースしました。
興味のある方は、是非お手に取ってみてください。


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