“Duke 4-1 Zone”を採用した感想

“Duke 4-1 Zone”とは、通常の2-3 Zone Defenseに、

・ネイル(フリースローラインの中点)のOFはアウトサイドが対応する

・中心DF以外の4人がポジションチェンジを行う

というルールを加えたものである。

これにより、誰もが一度は聞いたことがあるであろう”Zoneはハイポストにボールを集めることで攻略可能”という常識を覆すことができると考えられる。

今回は、こうした特徴を持つ現代型
(といっても、考案されたのは数年前)のZone Defenseを、自チームで実際に運用してみた感想に書いていく。



私が実際にこのDefenseをチームに導入するにあたり、選手達から真っ先に言われたことがある。

それは、

“ポジションチェンジが難しい”

というものである。

厳密には、

“ネイル→ウイングへの移動が難しい”

のである。

反対に、ウイング→ネイルorスロットへの移動は比較的容易に導入できたように思える。

なぜネイル→ウイングへの移動が難しいのか?

この理由を自分なりに考えてみると、やはり最大の原因は、

”ネイルDFにとって、
ウイングは死角にある”

という点にあると思われる。

死角であるが故、その場所の現状の認知が難しく、移動が困難であるように思われる。

しかしながら、実際の試合ではネイル→ウイングへの移動が必要な場面はある。

そこで我がチームでは、新たなルールを追加した。

それは、

“1-1-3の形からDFをスタートする”

“トップ→ウイングへのパスは必ずウイングDFが対応する”

“それに合わせてネイルDFはウイングへと移動する”

というものである。

これにより1回のDFでのポジションチェンジの回数が以前よりも増加し、
移動への”慣れ”が生まれたことで、
スムーズなポジションチェンジが可能になったように思われる。


ここからは、実際に運用して気づいた懸念点について書いていく。

一つ目は、

“ポジションチェンジが起こるためローテーション回数が増加し、Box Outやカウンタードライブへの対応が難しい”

という点である。

Box Outについては、通常のZone Defenseと同様に、”特定のマークマンを捕まえにくい”という特性があるため、このZoneにおいても難易度が高くなっているように感じる。
特に自チームでは上述の通り、意図的にポジションチェンジの回数を増やしているため、なおさらBox Outが困難になっているのである。
またカウンタードライブについても、ローテーション→クローズアウトの回数が増えるため、必然的にカウンタードライブへの対応が難しいように思える。

二つ目は、

”中心DFに対するPost Upに弱い”

という点である。

これは、我がチームのような180cm前後のスモールセンターが中心DFを務めた際に発生するものである。
私はこのZone Defenseには、
①ネイル中心のZone Attackに強く、②アウトサイドでノーマークが生まれにくい、という強みがあると考えている。
しかしながら、中心DFにPost Upされてしまうと純粋な1on1での勝負となってしまうのだ。
そのためPost Doubleを仕掛けざるを得ないのだが、そうするとKick Outに対して3人(実質2人)で対応しなければならない。
この状況は、上述の”②アウトサイドでのノーマークが生まれにくい”という強みを失ってしまっているのである。

これら2つの点は通常のZone Defenseにおいても考慮すべきものであるが、純粋に2ptエリア内に人数をかけるZone Defenseと比べて、より懸念すべきものであると考えている。


ここからは、近年は都道府県大会や地区大会レベルでも主流になりつつある”PnR中心”のZone Offenseに対する守り方について書いていく。

私はPnRに対しては基本的に、
①Guard Switch
②Peel Switch
の二つで対応可能であると考えている。

①Guard Switchとは、Zoneの前側に位置する2人の間でのSwitchである。このZoneの特徴である”ポジションチェンジ”を行うとで、PnR後も同様の形を保つことができる。
これにより、主にMiddle Lane方向へのSide PnRに対応することができる。

②のPeel Switchとは、「ボールマンDFが抜かれた時に、隣のDFがカバーして、抜かれたDFはカバーしてくれたDFのマークマンを守る→抜かれたらそのまま隣のDFとSwitchする」というものである。
(①のGuard SwitchもPeel Switchの
一種ではあるが)

以下参考↓

私は主にBaseline方向へのPnRに対する守り方として②Peel Switchを推奨している。
これにより、Ball man DFとウイングDFとの間でSwitch→そのままポジションチェンジが可能となり、Switch後も元のZoneの形を保ちつつ、PnRに対応できると考えている。


以上が、私が自チームで実際に”Duke 4-1 Zone”を採用してみた感想である。
当然ながら、このZoneは決して”無敵のZone”ではなく、他のものと同様に弱点を持っている。
だがこれまで鉄則となってた”Zone相手にはネイルにボールを集める”という考えに対するDF側の一つの返答であり、これに対してさらに返答できるOffenseを実行できるチームはまだ少ないのでは?と考えている。
少なくとも、私の地区でこのZone Defenseに対する新たな答えを出したチームはいない。
この状況は自チームのことだけを考えれば好都合であるが、これでは地区全体のレベル、特に戦術面におけるレベルが上がっていかないように思える。

最後になるが、私は種類を問わず
自チーム内で実際にZone Defenseを持たないことには、Zone Offenseが
上達するとは難しいと考えている。
“ネイル中心”のZone Attackが悪いはけではないものの、現在の主流は
“PnR中心”のZone Offenseになりつつある。
“PnR主体のZone Attack”という選択肢を持つためにも、まずはネイル中心のZone Attackでは攻められない状況を作る必要がある。
そのきっかけとして、
この”Duke 4-1 Zone Defense”を
一度試して欲しいと思う。

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